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26話 目が回るぅぅぅっ!?

 樹童子を一刀両断した直後。タマは空中で暴走していた。


「めっ目が回るぅぅぅっ!?」

「この後どうするんですかぁぁぁっ!?」

「なっ何も考えてないよっ!? ここでいい感じに着地する予定だったからっ!?」

「それは予定とは言わないのですよぉぉぉ!?」


 高速で回転する中で答えるタマにパンドラはキレる。そんなやり取りをしながら止められる方法を考えているとパンドラはたずねた。


「剣は一時的に手放せないのですかっ!?」

「それをしたら剣の強化も消えるから逆に危なくて手放せないよっ!? ってっ!? うわっ!? やばっ!? ちゃっ!? なんとかしないとっ!」


 パンドラの言葉にタマが答えている間にタマ達は地面へと近づいている事に気づく。そのまま地面にぶつかれば無事では済まない状況でタマが慌てると剣の炎の勢いは急に強くなった。


「わわっ!?」


 炎の勢いがそのまま推力となってタマは地面から離れる。高速回転する速度が上がると重力に反発するようにタマ達は上空へと高速で浮き上がり始めた。


 浮き上がるのと同時にもはや手の負えない速度で加速して回転する様子にパンドラは慌てて言った。


「こっ今度は飛んで行きそうですよっ! 回転速度を緩めるのですっ!?」

「うっぷ……そろそろ限界……吐きそう……」

「タマッ!? 今は乙女の意地で我慢するのですよっ!? それでどうにかいい感じで着地するのですよっ!?」


 厳戒の様子を見ていたパンドラは何とかタマをなだめる。そんなやり取りをしていると回転の外側から声がした。


「ん。今助ける」

「洋子っ!? 危ないのですよっ!?」

「んっ。大丈夫。念力」


 声の主は洋子であった。洋子はタマを見ると目が赤く光る。すると高速回転していたタマとパンドラの回転が減速していく。しばらくすると回転は完全に止まって空中で制止した。


 回転が止まると洋子はタマに声を掛けた。


「無事?」

「うぅ……なんとか。ただ、今にも吐きそうな暗い気持ち悪い」

「ん。それは我慢してとしか言えない」


 洋子の問いかけにタマは答える。洋子は軽い様子でたずねた。


「ん。それにしてもものすごく回ってたね」

「本来は降り降ろしだけなんだけどな。俺じゃあ力が足りないから回転して加速してみた。結果は止まらなくなったけどな」

「なるほど。アレンジなんだ」

「おう。そのおかげであの樹童子を1発で真っ二つに出来ただろ」

「ん。見事な一撃だった。ご褒美と罰のために抱える」

「おう。えっ?」


 洋子の言葉に特に考えることなくタマが返事をする。許可を得た洋子はタマを引き寄せてお姫様抱っこで抱えた。


 それにタマは顔を赤くしていった。


「なんでお姫様抱っこなんだっ!?」

「ん。この方が抱えやすい。それと心配かけた罰」

「うっ」


 洋子がそう言うとタマは気まずそうに言葉を詰まらせる。地上へと戻ると洋子はタマを優しく降ろした。


「到着」

「……ありがとな」


 釈然としないながらも助けてもらった事は事実ではあるのでタマは礼を言う。洋子はうなずいた。


「ん。どういたしまして。タマは軽くて感触もモチモチしてて役得だった。お姫様抱っこして欲しかったらいつでも言って」

「それは遠慮する。っと。校長先生。これでOKですか?」

「ん。手厳しい。タマがデレるまでもう少しかかりそう」


 洋子の言葉をスルーしてタマは鍛錬を提案した校長に話しかけた。その反応に洋子は肩をすくめる。

そんな2人の様子を見ていた校長は拍手した。


「お二人ともお見事でした。操っているとはいえ、まさか樹童子を倒してしまうとは思いませんでしたよ」

「「ありがとうございます」」


 校長が褒めるとタマと洋子は同時に頭を下げる。校長は微笑みながら答えた。


「今の戦いで課題は大体把握しました。それについては後で教えましょう。その前に稽古を突破した2人はご褒美を上げましょう」

「やった」

「ご褒美?」


 校長の提案に洋子はガッツポーズを取り、タマは頭を傾げる。


「はい。難しめの試練を突破したらいつも何かしらのご褒美を渡しているのです。今回はこういうのを用意しましょう」


 そう言うと唐突に校長は近くで豪華なおやつを置かれたテーブルとイスが現れる。テーブルに置かれたおやつを見て洋子はたずねた。


「食べていいの?」


 洋子は待ちきれないと言った様子でたずねる。それに校長は微笑んで答えた。


「はい。いつでもいいですよ」

「ん。いただきます」


 校長の許可を取ると洋子はイスに座っておやつを食べ始める。


「んぅ。美味しい」


 おやつを食べ始めた洋子は一瞬で陥落する。それに校長は苦笑した。


「慌てて食べなくてもなくなれば足りなくなれば補充しますので大丈夫ですよ」

「へぇ。それなら俺も慌てなくても良いな」


 タマはそう言うと校長はうなずいた。


「はい。ですので思う存分お楽しみください」

「はいっ!」


 校長の言葉にタマは元気よく返事をする。校長の提案に肩に乗っていたパンドラが校長にたずねた。


「わっ!? 私も参加しても?」

「もちろん構いませんよ」

「やったのです」


 許可をもらったパンドラは洋子と同じように机の方に移動するとおやつを楽しみ始める。校長は残されたタマに声を掛けた。


「環君。飲み物を用意しようと思っているのですが、紅茶とコーヒーのどちらがお好きですか?」

「コーヒーでお願いします」

「分かりました。お砂糖とミルクは机にありますので後で好きに使いください」


 校長はタマの返事を聞くとその場でコーヒーの準備を始めた。

 樹童子を倒した後に回転しっぱなしのタマとご褒美のお話。

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