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24話 玉藻?

 突然振り下ろされる鬼の拳にタマは目を閉じる。


 しかし、衝撃はタマに来ることはなかった。


 タマは恐る恐る目を開けると目の前には狐耳と尻尾を生やした洋子に憑依した玉藻が振り返って答える。玉藻と樹童子の間には札が空中で制止しており、それが樹童子の拳を阻んでいた。


「玉藻?」

「うむ。そうじゃ。流石に見てられんかったからのぅ。これ。小僧。流石にそれは稽古域を超えとるぞ?」


 玉藻がそう言うと校長は手に持っているストップウォッチの時間を止める。校長は玉藻にたずねた。


「おや? 玉藻様が介入しますか。今回の巨人はそれだけ危険なのですよ。これくらいは対応してくれないと不測の事態では邪魔にしかなりませんしね。対応できないなら参加しない方が安全ですし」


 玉藻は校長に文句を言うと校長は意外そうな顔で答える。


「ふむ。なるほどな。それでも来るのが分かっているならスタートはこちらで決めれるのではないか?」

「それは……そうですね。これについては私の落ち度ですね。申し訳ありませんでした」


 玉藻の言い分が正しいと判断したのか校長は素直に頭を下げる。それに玉藻はたずねた。


「ほれ。頭を下げておるが、どうするんじゃ? タマよ?」

「え? あ。確かに驚いたけど、許します。それでその校長先生が操る鬼と戦うのは変わらないんですよね? 校長先生」

「はい。それについては肯定します。この鬼を相手に逃げ切れるか迎撃するくらいはできない生徒は戦いの場には送り出せません。そこは譲れません」


 タマの言葉に校長は真剣な表情で答える。それにタマはうなずいた。


「そっか。それなら頑張って合格しないとな」

「そうですか。受けてくれますか」

「はい」


 校長が嬉しそうに答えるとタマは返事をする。それを見ていた玉藻は言った。


「うむ。禍根を残りそうだったから手を出したが、丸く収まりそうじゃな。ついでに洋子も一緒に参加させるじゃ」

「え?」


 玉藻の言葉に体を共有している洋子が思わず声を上げる。玉藻の提案に校長はうなずいた。


「それはそうですね。では葛葉君も一緒に参加してもらいましょう。玉藻様もいいですね?」

「え?」

「うむ。許可しよう。洋子。タマと一緒にそこの鬼と戦ってもらうぞ」


 玉藻がそう言うと洋子はたずねた。


「拒否権は?」

「ないぞ」

「だよね。分かった。受ける」


 返って来る答えに予想はついていた様子で洋子は返事をする。


「うむ。それでこそ私の主様じゃ。代わるぞ」

「ん」


 そう言うと玉藻は目を閉じる。少しすると目を開けた。


「えっと……洋子でいいんだよな?」

「ん。あってる。見た目は玉藻が憑いている時の状態だけど、憑依状態を維持したまま私がメインで動く事も出来る」


 タマはたずねると洋子が返事をする。それに対してタマは言った。


「そうなんだ。悪いけど力を貸してくれ」

「ん。友達の力になるのは当然。でも、ある程度は指示に従ってね」

「ああ。戦いについては初心者だから当然だ」


 タマの言葉に洋子は力強く返事をする。校長はたずねた。


「もう大丈夫ですか?」

「ああ」

「ん」


 校長が声を掛けるとタマはうなずいて洋子が手を上げた。校長は洋子を呼んだ。


「どうしました? 葛葉君?」

「ん。ルールの変更はあるか聞きたい」

「うん。そうですね。変更は少しだけ。環君が捕まった時点で負けという事にしましょう」

「ん。承知した」


 校長の提案に洋子がうなずく。タマはふと思った事を口にした。


「そういえば巨人の大きさってどれくらいなんだ?」

「おっと。そうでした。この鬼よりも少し大きい位ですね。能力については完全に未知です」

「ん。やっぱりそれを考慮してるんですか?」

「ええ。なので参加したいのであればこれを乗り越えてください。倒してくれると私が安心できますね」

「ん。それなら倒すまで。タマ。捕まらないように巨人の周囲で動き回って奔走。あの剣は使える?」

「いつでも使えるぞ」


 洋子の言葉にタマは返事をする。箱の中から剣を取り出す。それを見ていた居た校長は言った。


「ほぅ。武器は持っているのですね。今日は良いですが、いつでも戦えるように持っていてくださいね」

「うっ。はい」


 反論できない内容にタマは気まずそうに返事をする。


「よろしい。学習できるのは若い人の特権です。それでは始めましょうか。樹童子」


 校長が操っている樹童子の名を呼ぶ。樹童子は自身の腕を地面に突き立てると草しかない草原からたくさんの木々が生える。生えて来た木々は樹童子体に向かって纏わりつく。木々は重なり合うように樹童子の鎧となって体を覆うと10m近くの樹木の巨人になった。


「まだ大きくできますが、巨人は大体これくらいですかね」

「こうして正面に立たれるとデカいな」

「ん。そうだね。でも、その分だけ私達を捕まえるのは大変な気がする」

「それは……確かに」


 洋子の言葉にタマはうなずく。それに校長は微笑んだ。


「ふふっ。それは試して見てからのお楽しみです。準備は良いですか?」

「ああ」

「ん」


 校長の言葉にタマと洋子はうなずく。


「スタートと言ったら開始です。手加減はしませんが、どうかクリアしてくださいね」


 そう言うと校長はストップウォッチを見ながらタイミングを計る。


「「……」」


 タマと洋子は緊張した面持ちで開始を待つ。


「スタートです」


 校長が開始を合図する。同時に樹童子が動き始めるとそれに合わせて洋子は声を上げた。


「タマッ! まずは良いって言うまで背中を向けて走って!」

「っ! おうっ!」


 タマが洋子の指示に従って巨人から背を向けて走り始める。迫って来る地響きの中でタマは走ると背中から強烈な光が周囲を包んだ。

 初っ端の校長を窘める玉藻と洋子の稽古への加入と稽古開始と同時に洋子が仕掛けるお話。

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