19話 呼び出し……呼び出し?
洋子達を招いた後の月曜日の午後。午後の授業が終わり、HRも終えてからの放課後。
タマは力尽きていた。
「…………」
「燃え尽きてるのです。真っ白なのです」
着替えた後に机に突っ伏しているタマに対して、机の上でパンドラがタマの頭をつつく。しかし、疲れきっているのか一切の反応がなかった。
そんな様子のタマを見に来たのか洋子はタマとパンドラのやり取りを見て言った。
「タマ。しんでる?」
「……生きてるよ」
洋子の言葉に突っ伏したままタマの返事が返って来る。そんな様子のタマに洋子はたずねた。
「そんなにきつかった? 今日の授業」
「ああ。戦闘学基礎だから模擬戦とか格闘技とかは初回からしないとは思ってたけど、まさか時間いっぱいまでずっと走る事になるとは思わなかったよ……」
タマは今日の授業について答える。今日の授業は洋子に勧められた戦闘学基礎の授業。初授業は体力を計ると同時に体力作りの一環でグラウンドを走る事であった。
洋子はタマの反応に答えた。
「ん。最低限の体力はないと先頭以前の問題だから体力作りは大事。序盤はついて来れてたけど、あっという間に減速してた」
「しょうがないだろ。俊敏ではあるけどすぐに体力が切れたんだから」
洋子の言葉にタマは不貞腐れる。
タマは最後尾をリラと共に走り続けたのだった。
「洋子はすごかったな。男女関係なしにトップでゴールしてたし」
「むん。それなりに鍛えてるんで」
タマの言葉に洋子は力こぶを作ってから自信満々に答える。それにタマは羨ましそうに答えた。
「そっかぁ。なぁ洋子。何か楽に体力をつける方法とかない?」
「体力をつけるなら地道に走り込んだりして運動を続けるしかないよ? 相手は私達の事なんか待ってくれない」
洋子はタマの問いを否定する。タマもそんな上手い話はあるとは思ってなかったのかあっさりと洋子の言葉に同意した。
「うっ。やっぱり近道はないよなぁ。地道に作るしかないかぁ」
「ん。それならたまにでいいから一緒に走ろう? 私は気晴らしになるし、タマは体力づくりできるよ?」
「ん~。考えておく。そういえば洋子は何か用があって来たのか?」
タマは曖昧に答えるとそういえばといった様子で机に伏せた状態で頭を洋子に向けて自身の元に来た理由をたずねる。洋子は思い出した様子で答えた。
「そうだった。タマ。呼び出し」
「呼び出し……呼び出し?」
洋子の言葉にタマは頭を傾げる。誰からの呼び出しなのかをたずねると洋子は答えた。
「そう。呼び出し。学園の校長先生がタマを呼んでるって」
「え? なんで?」
「巨人の件。占い部の方から打診があったみたい。石丸先生経由で連れてくるように言われた」
「占い部の打診だけで校長先生が動くのか……」
「それだけ楽観視できない精度を誇ってるから占い部が重要視されている。とりあえずタマは私と一緒に来る」
洋子は言われたことを素直に答えながらタマを呼ぶ。タマはうつ伏せの状態のまま答えた。
「そうなのか。もう少し回復したいからもうちょっと後でも大丈夫?」
「ダメ。このまま放置すると夢の世界に旅立ちそう」
「流石にそこまでは寝ないよ。でも、分かった。行こうか。うぅ」
そう言うとタマは老人のようにゆっくりと立ち上がる。響くような痛みにタマが顔をしかめると洋子はたずねた。
「辛い?」
「まだ、そこまでじゃないけど体を限界まで使った関係で体を動かすのが億劫かな。明日は全身筋肉痛だろうね」
「なるほど。それならいい方法がある」
タマの言葉に洋子がいい方法があると口にする。その反応が気になるのかタマはたずねた。
「何かあるのか?」
「ん。マッサージ。受ける?」
洋子の提案はマッサージであった。それにタマは2つ返事でうなずいた。
「受ける」
「痛いかもしれないよ?」
「少しでも今の全身の疲労が軽くなるなら少しの間は耐えれる」
「それなら背中を向けて」
「分かった」
洋子は念を押すようにたずねる。それにタマはあっさりと答えるとタマは洋子に背中を向ける。背中を見た洋子は言った。
「見つけた。まずは肩周辺のコリから」
「わ、分かった」
「それじゃあ早速」
「う゛………」
そういうと洋子はタマの肩回りのツボをつく。タマは自身が思っていた以上の強い刺激にタマはうめき声を漏らした。
「おお。我慢できた。凄い。紅蓮とかのたうち回ったのに」
「これくらい……ならな」
タマは強がる。それに洋子は言った。
「ん。それなら手加減はいらないかな」
「え゛っ!?」
洋子の言葉にタマは戦慄する。それに洋子は真顔で言葉を続けた。
「しっかりしておかないと後が辛いよ?」
「くっ!? 男に二言はない。続けてくれ」
洋子の言葉にタマは覚悟を決めてから答える。
「それじゃあ遠慮なく」
「———っ!?」
そこからしばらくの間、タマは入念に洋子のマッサージを耐えるのであった。
学園側の呼び出しとタマへのマッサージのお話。




