18話 違うからなっ!?
そんなこんなでおしゃべりをするだけでも時間は過ぎて行き洋子達が返る時間となった。タマは洋子達を見送る為に玄関まで移動していた。
「今日はありがとうな。楽しかったよ」
「ん。こっちも楽しかった」
「私もです」
タマの言葉に洋子とリラが反応する。それぞれが感想を言うと洋子は言った。
「今度は私の家に呼ぶ」
「お姉様の家ですか。入っても大丈夫なのでしょうか?」
「そうだな。そこって本当に行っても大丈夫なのか? 雑に部屋とか散乱してない?」
リラとタマの言葉に洋子は不服そうな表情で言った。
「2人共。失礼。実家からは遠いからマンションで暮らしてるけど、ハウスキーパーさんとか花蓮に任せてるから綺麗」
「そこは人に任せてるんだな」
「少し安心しました」
「むぅ」
安堵する2人に対して洋子はさらに納得いかなそうな表情をしながらも言い返せないのか押し黙る。
「そうですね。私も今は1人暮らしなので私の所でお泊り会とかどうですか? お2人のパジャマとかも見たいです」
「いいなそれ。楽しそうだ。でも、場所ならウチでもよくない? 今日はおしゃべりで終わったけど、ゲームとかで遊べるぞ」
「むっ。こういう時こそ私の所。映画用のおっきなテレビとかがある。ゲームとかはタマが持ち込んでくれれば問題ない」
「「「むっ」」」
お泊り会という言葉に3人の視線がぶつかり合う。しばらくすると洋子が言った。
「……一旦お泊りについては保留で。埒が明かない」
「そうだな」
「ですね。後日決めましょう」
「ん」
洋子の提案にタマと洋子は同意するように静かにうなずく。話題を切り替える為にタマは言った。
「それにしても駅まで案内しなくて良かったのか?」
「ん。問題ない。花蓮を呼んでる」
タマの言葉に洋子が答える。洋子の言葉にリラが反応した。
「私はお姉様と一緒に乗せて行ってもらう予定です」
「え? いつの間に?」
「タマがトイレに行っている間。私が誘った」
「誘われちゃいました」
リラがそう言うとタマはうなずいた。
「そっか。それなら安心だな」
「ん。まだ日は落ちてないけど、安全に帰れるならその方がいい」
「そうだな」
洋子の言葉にタマがうなずく。同時に家のチャイムが鳴った。
「お客様ですか?」
「みたいだな。花蓮さんかな」
「花蓮が近くにいるならすぐにわかる」
「なんで?」
洋子の言葉にタマが頭を傾げる。
「んん。スマホとは別に連絡手段がある。それでお互いに大体の位置が分かる」
「そっか。なら2人には悪いけど、少し待ってもらっていい?」
「構わない」
「大丈夫ですよ」
「すまん。助かる」
そう言うと洋子とリラは玄関の端へと避ける。タマはサンダルを履いてから玄関の扉を開けた。そこにはタマの幼馴染の創がいた。タマは創に話しかけた。
「あれ? ツクか。どうした?」
「ああ。母さんが桜さんにこれを届けて欲しいって」
そういうと創は桜の花びらのシールが貼られたスマホを取り出す。そのスマホを見たタマは口を開いた。
「あ。母さんのスマホだ」
「あってるみたいだな。呼んでくれるか?」
「母さーんっ!」
「はいはーい。何かしら? ってあら。創くん? こんばんは」
タマは母の桜を呼ぶ。タマの声に反応すると奥の方から桜が出て来た。
「こんばんは。母が回覧板を回収した時に桜さんのスマホを見つけたので持ってきました」
「あらら。そうだったの。拾ってくれてありがとうね」
創の言葉に桜は微笑んでから礼を言う。その後に言葉を続けた。
「ところでどこにあったのかしら?」
「ポストのある足元の方に落ちてたのを拾ったそうです」
「そうなのねぇ。あ。ちょっと待ってちょうだい」
そう言うと桜は奥へと消える。創はタマの他に女子2人が玄関にいる事に気がつくと小さく頭を下げた。
「こんばんは」
「「こんばんは」」
「「「…………」」」
創の挨拶に洋子達が挨拶を返す。そのまま気まずい雰囲気のまま時間が過ぎると外から車の音が聞こえた。
「ん。花蓮が来たみたい。リラ」
「はい。洋子お姉様」
洋子がそう言うとリラを呼び寄せてから玄関の扉へとヌルリと移動する。扉の前で洋子は振り返るとタマと創を交互に見てから言った。
「ん。なるほど。ごゆっくり」
「なるほど。この方がタマちゃんの幼馴染さんですかぁ。恋人さんみたいですね。どう思います? お姉様」
「アツアツかもしれない。リラさん」
「いや。違うからなっ!?」
洋子とリラの反応を見たタマは慌てて否定する。そんなことを言っている間に「あらあら」「まぁまぁ」といった様子で洋子達はからかった後に素早く外へと出て行った。
そんな2人を見た創はタマにたずねた。
「行ってしまったみたいだが、何か不味かったか?」
「気にしなくていいぞ。勝手に勘違いしてるだけだから」
明らかに不機嫌ですと言った様子でタマは答える。それに創は言った。
「そうか。分かった。さっきのは学園の方の友達か?」
「おう。女の子になった俺相手でも変わらずに接してくれる人達だ。あんな感じでたまにからかってくるけどな」
「そうか。問題なくやれてそうならよかった」
創がそういうと桜がタッパーを持って戻ってきた。サクラはタッパーを創に渡した。
「待たせちゃってごめんね。はい。これ」
「これは?」
「お昼の残り物で悪いけど、唐揚げよ。持って帰ったら温めて食べてちょうだい」
「いいんですか?」
創はたずねる。桜は答えた。
「ええ。スマホのお礼よ」
「ありがとうございます」
桜の言葉に創は頭を下げる。桜はそのまま夕飯の準備のためにリビングの方へ戻って行った。
「さて。そろそろ俺も帰らせてもらうか」
そういうと創も用事は終わったタイミングで玄関の方へと向かおうとしたタイミングでタマは言った。
「おう。あ。ツク。1つ聞いていいか?」
「どうした?」
タマの言葉に玄関の方に振り返る直前で創はタマの方を見る。
「俺がもしも家よりもデッカイ相手と戦うとしたらどうすればいいと思う?」
「そんな相手が出て来てのか?」
「ちょっとな。ツクから貰った剣だとどうしてもサイズ的に厳しいと思ってな。あ。もちろん真正面から戦う訳じゃないぞ」
タマがそう言うと創は考える仕草をする。
「そうだな。俺がタマの能力を使うんだったら遠距離の武器か同じくらいの大きさのロボットとか用意するかな。ただ、その大きさのダンボールを用意するのはあまり現実的じゃないのがネックだな」
「なるほど。大きさか……あ」
「何かあったのか。少しな。ツク。ダンボールのロボットも作ってたよな」
「あるな。持ってこようか?」
創は提案する。それにタマは聞き返した。
「良いのか?」
「俺がお前のために手を貸せるのはこれくらいだからな」
「ツク……」
創の言葉にタマは感動した様子でつぶやく。創は短く言った。
「明日の朝くらいに持ってくる」
「そっか。ありがとう」
「気にするな。それじゃあ帰る―」
「おう。気を付けて―」
そういうと創は振り返る。同時に創で死角になっていた玄関の扉の方で先に出たはずの洋子とリラが2人を見ていた。
「「あ」」
洋子とリラが短くつぶやくとお互いに動きを止める。創の表情は分からないが、タマは口をパクパクさせていた。
先に動いたのは洋子達であった。
「……じゃ」
「あわわ。カップルみたいだったですよ。また明日」
そういうと洋子とリラは素早くそっと扉を閉める。顔を真っ赤にしたタマは素早く扉を開けると洋子達を乗せた車が出発したタイミングであった。
「2人共覚えてろよぉぉぉっ!? 」
タマは箸って道路の方へと出ると叫ぶ。声が届いているかはわかないが、叫び終わると後から出て来た創は言った。
「その……なんだ。ご愁傷様」
「うぅ。……ゼッタイ二シカエシスル」
タマは恨みがましい視線を洋子達が去った先へ向けながらカタコトで宣言する。創は刺激したくないのか落ち着かせるような声でタマに言った。
「そうか。俺もそろそろ行くな」
「おう。そうか。気を付けてな」
「ああ」
タマはあっさりと切り替えるてそう言うと創は歩き始める。創が見えなくなるまで見送った後に家の方から声が聞こえた。
「タマちゃーん。ご飯よぉっ!」
「はーい」
桜の声が聞こえるとタマは返事をして家へと戻るのであった。
そして後日。出会い頭に洋子とリラに激辛ミントのタブレットを食べさせて口から火を吹かせる仕返しを成功させるのであった。
帰り際の遭遇とからかわれるお話。




