17話 禁忌?
「禁忌の箱? パンドラの名前が入ってるのか。どんな力なんだ?」
パンドラの言葉にタマはたずねる。パンドラは言った。
「この力は箱を使って古今東西あらゆる時代に存在したの禁忌を一時的に呼ぶのです」
「禁忌?」
タマはパンドラの言葉を復唱する。パンドラはゆっくりとうなずいた。
「そう。禁忌です。神と喰らった怪物。山を呑みこむ程大きな獣。世界そのものを破壊した竜。神に反逆した天使。終焉を告げるラッパ。回復不可能な病魔を呼び込む悪魔。使う者に破滅をもたらす意志ある剣。この世界から追放されて次元をさまよう悪鬼。世界を切り裂く魔剣。様々な災厄の力の一部を詰め込んだ箱の力なのです」
「……それって本当に使っていい力なのか?」
タマは緊張した面持ちでたずねる。
「ダメなのです。基本的に他のツクモ神や世界が手に負えないと放逐したとか封印したとかの類なのです。それに呼び出しても制御する事は出来ないのです」
「自爆技みたいなものか」
タマがそう言うとパンドラはうなずいた。
「そうですね。それが近いです。呼び出したモノ次第では無差別の攻撃があるので逃げるしかないのです」
「倒せないのか?」
「倒せたら苦労しないのです。一度制約する前に確認のために何度か使った事がありますが、ヤバいのが出た時は父様と母様がセットになって拮抗するのがやっとでした」
「確か島沈めたっていうパンドラの親2人でか? どんな怪物だよ……」
パンドラの言葉にタマは過去に話してくれたパンドラの父と母の内容を思い出しながら困惑する。
「あの時は大きな蛇でした」
「大きな蛇?」
「父様の世界の島1つなら余裕で呑みこみそうな蛇ですね。海に居ましたが、大きすぎて父様達の攻撃が全然効いてませんでした。戦いの近くにいた私達への被害は父様と母様が守ってくれたおかげで大したことはありませんでしたが、蛇の移動だけで大きな津波や地震で周辺は大荒れでした」
「……それはヤバい奴だな」
パンドラの言葉にドン引きする。
「なので私達だけの場合は呼び出したら基本逃げて時間稼ぎするしかないのです。ただ、命の危機などの緊急時というのは存在するので条件を満たした時だけ使えるようになってるのです」
「その条件って?」
タマはたずねる。
「ダンボールの戦士の同意なのです」
「同意?」
「はい。私とタマの両者の同意すれば使えるようになるのです」
「なるほど。1人ではできないようになってるんだな」
「そうです」
パンドラがうなずく。その話を聞いていた洋子が手を上げた。
「いい?」
「いいですよ。ヨウコ」
洋子が聞くとパンドラはうなずく。ヨウコはパンドラにたずねた。
「呼び出した怪物はどれくらいの時間居座るの?」
「今のタマだと10分くらいなのです」
「なるほど。選べるの?」
「選べないのです。最低でも戦いの逸話がある神様くらいの強さはあるのです。出すモノが強ければ強いほど周囲への被害も大きくなるのです」
「なるほど。自爆覚悟の技という事?」
「はい。故に最終手段なのですよ」
パンドラは答える。それに洋子は言った。
「なるほど。占いで言っていた決め手はコレだと思う」
「コレって禁忌の箱の事か?」
洋子の言葉にタマはたずねる。ヨウコはうなずいた。
「ん。そう」
「それって危なくないですか?」
「危ない。でも、占いの内容と一致している」
「そういえばそうですね」
洋子の言葉にリラが同意する。タマは言った。
「という事は使う事なるのか?」
「多分そう。でも、占いは絶対ではないから使わなくてもいい」
「ですね。ただ、命の危機の時にはためらわず使ってください」
洋子とパンドラは同時に答える。タマはうなずいた。
「うん。分かった。その時の状況で決めるよ」
「ん。それでいい。とりあえず占いと巨人については保留。紅蓮達に話を持って行ってみる」
「うん。よろしく」
タマがうなずくとリラは言った。
「そろそろタマちゃんのアルバムが見たいです」
「ほら。って言っても俺が男の時の姿だから今と全然違うぞ」
タマは念を押す。リラはそれにうなずいた。
「もちろんです。男の子の時のタマを知ってればもしも球に戻れた時にフォローが出来ますし」
「そんな事まで考えてくれてたのか……。ありがとう」
「いえいえ。男の子の姿も興味がありますしね」
「ん。どんな感じの悪ガキの姿なのか気になる。紅蓮と蘆屋がそんな感じだったから」
「紅蓮はともかく蘆屋もなのか?」
洋子の言葉にタマは意外そうな顔でたずねる。洋子はうなずいた。
「ん。アンナさんに出会う前までは割と活発だった。よく一緒に林の中を走り回ってカブトムシとか捕まえたり、木登りしたりした」
「洋子も活発だったんだな」
タマがそう言うと洋子は少し顔を赤らめながらうなずいた。
「ん。そう言われると少し恥ずかしい。リラは?」
「私は本を読んだりとかビーズアクセサリーとか作ってましたね」
「おぉ。そんな感じだったんだ」
「女の子らしい」
リラの過去を聞いたタマと洋子は反応する。リラは気恥ずかしくなったのか話題を変えるように言った。
「わっ私の事よりもタマちゃんのアルバム開けませんか? タマちゃんの事気になります」
「ん。そうだった。タマのアルバム」
「っと。そうだった。開けるぞ。開けたらどれが俺か探してみてくれ」
「ん。競争」
「受けて立ちますよ」
そう言うとタマはアルバムを開く。クラスの集合写真を見た洋子とリラはタマを探し始めた。
「いた。多分これ」
最初に見つけたのは洋子であった。正確にタマが弾であった頃の写真を指していた。
「正解。良く分かったな」
「洋子お姉様。凄いです」
タマとリラは洋子に感心する。洋子は自慢そうに答えた。
「タマのお母さんとそっくり」
「よく見たらそうですね」
洋子の言葉にリラも思い出しながら同意する。顔立ちはわんぱくそうな少年であるが、髪色や所々のパーツは洋子のようにそっくりであった。
タマの映る写真を見て行きながら洋子は言った。アルバムを進めて行くと洋子は弾であった頃のタマの持っていた剣に気づいた。
「ん。手に持ってる剣は前に持っていたものと違う?」
「ああ。幼馴染のツクって奴がモノ作り得意でさ。よく新しく作った武器とかを使わせてもらったんだよ。ヨウコが見た奴は俺の姿が変わった後に作ってもらった奴なんだよ」
タマが説明すると洋子は納得した様子でうなずいた。
「なるほど」
「仲いいんですね」
「ああ。何だかんだで付き合い長いからな。洋子みたいに駆け回った訳じゃないけど、よくごっこ遊びとかはしてたな」
タマは楽しそうにうなずく。そんな感じの談笑をしていると部屋の外から声がした。
「皆ぁ~! お昼ご飯よぉっ!」
「あっ。ご飯できたみたいだ。行こう」
桜の声にタマは洋子とリラに声を掛ける。2人は返事をした。
「ん。唐揚げ。楽しみ」
「ですね。行きましょうか」
そう言うとタマは洋子達を引き連れて下のリビングへ向かう。お昼を堪能してからタマ達は穏やかな時間を堪能するのであった。
禁忌の箱についての説明と幼い頃のお話。




