16話 そんな事もしてたのか……
「えっと……どこ入れたっけな?」
そう言いながらタマは箱の中に手を入れて探し始める。タマは箱の中をガサゴソと探しながら少しすると目的の本を見つけた。箱の中からアルバムと書かれた本を取り出した。
「あった。あった。これこれ」
「「ちょっと待って(くださいっ!)」」
「うわっ。どうしたっ!?」
本を取り出したタマに洋子とリラが待ったをかける。突然の声にタマが驚いて動きを止めると洋子はたずねた。
「タマが飲み物を取りに行った後に箱の中を見た時には何も入ってなかった」
「そうですね。お姉様が勝手に部屋を探索してたのを見てたので入ってなかったのは見ました」
「そんな事もしてたのか……」
タマは洋子の行動に対して呆れた様子で見る。それに対して特に悪びれる様子もなく洋子は言った。
「ん。エッチな本とかのめぼしい物がなかったのが残念だった」
「全く。そこは開き直らないでくれ。まぁ、ダメそうな奴は全部箱の中なんだけどな」
「ん。それが一番気になる。なんで空の箱からアルバムとか出てくるの?」
洋子はたずねる。タマは少し考えてから頭を傾げてから答えた。
「あ~。そういえば言ってなかったっけか? これがパンドラの能力の一部なんだよ。俺はパンドラの力を共有してるから自由に使えるんだ。今やったのはダンボール箱を出入口にして好きなものを出し入れでしてる」
「容量は?」
「すまん。知らん。パンドラ。今ってどれくらい入るんだ?」
洋子が質問するとタマは頭を傾げる。そのままパンドラに聞くとパンドラはタマを見ながら答えた。
「ん~。今はこの家と同程度は入るのです」
「ん。それは凄い」
「ソプラノの力もいいですが、羨ましいですね」
「え? そんなに大きくなってるの?」
羨ましそうな声とは裏腹にタマは驚きの声を上げる。それに洋子が頭を傾げた。
「知らなかったの?」
「色々と出し入れして練習はしてたんだけど、限界までは詰めたことがないから初めて知った」
タマは素直に答える。それに洋子が納得した。
「なるほど。確かにそれなら知らないのも分かる。タマは他に何が出来るの?」
「えっと。作られたダンボールで出来た物を本物のように変換できる」
「他は?」
話を聞きながらタマの言葉を促す。タマは少し困った表情を見せながら答えた。
「えっと……パンドラがしてたから多分できると思うけど、箱を出し入れする際には大きさを変える事が出来るぞ」
「大きさの上限はないの?」
「ないのです。ただ、あくまでもタマの技量次第なのです。今の所はスマホくらいの大きさのものをタマと私の手のひらサイズを行き来するくらいなのです。参考になりましたか?」
「ん。ありがとう。参考になった」
洋子はパンドラに礼を言う。その後にタマは洋子達にたずねた。
「そういえば洋子達はどんな能力が使えるんだ?」
「えっち」
「なんでっ!?」
「あはは。タマちゃん。一応、家によってはツクモ神の与えてくれる力は隠すのが一般なんです。バレたら対策を取られちゃいますから」
「もしかして……まずかった?」
リラの説明にタマは不安そうな表情で2人を見る。それに洋子が頭を横に振った。
「んん。そこまで。秘匿している家もあるけど、本当に不味い情報以外は隠してない。私は玉藻に憑依し貰う事で狐のツクモ神の神通力や妖術を使えるようになる」
「私もお姉様と同じですね。ソプラノと契約することで水の中で呼吸ができるようになったり、癒しや活力を与える支援歌や呪いを振りまく呪歌をお願いしています」
洋子とリラがそう言うと一緒に連れて来ていた玉藻とソプラノがタマに向かって口を開いた。
『ようは初対面で聞かないように注意すれば基本は問題ないのじゃ。秘匿してるなら先に言うからな』
「そうね。気にし過ぎもよくないわ」
「ん。そういば玉藻もソプラノもタマには甘いけどなんで?」
「そうですね」
洋子が玉藻とソプラノにたずねる。玉藻が代表して答えた。玉藻は霊体のままタマの頭を撫でながら答えた。
『それはこやつが近くにいる事でツクモ神としての力が活性化するから居心地がいいからの』
「それは同意ね。後、私の歌を褒めてくれたし」
「そんな感じなんだ」
「ダメですよ。2人共。タマは私のです」
玉藻とソプラノの言葉にパンドラは2人を遮るようにタマの前に移動する。それを見た玉藻は答えた。
『別にとりゃせんよ。こやつは共有した方が面白いしの』
「そうね」
「むぅ。それならいいのですけど……」
「心配してくれたんだろ。ありがとな」
少しむくれた様子のパンドラにタマは微笑む。それにパンドラが嬉しそうに言った。
「もちろんです。私のダンボールの戦士なのですから……むむっ!」
「どうした?」
話の途中でパンドラのアホ毛の部分が唐突に浮き上がる。まるで電波を受信したように動いた後にパンドラは言った。
「今のやりとりで条件を達成したのです? これは教えた良いでしょうね」
「どうした? パンドラ」
タマは頭を傾げる。パンドラは真面目に答えた。
「実はタマが使える技が増えたのです」
「増えたのか。なんでそんなにためらってるんだ?」
「これはある意味で最終手段であるのと同時に素直に危険だからです」
「直球だな。そんなに危ないのか?」
真面目な様子のパンドラにタマは意外そうな顔で聞き返す。少しするとパンドラが真顔で答えた。
「危ないのです。だから真面目に聞くのです」
「分かった」
いつになく真剣な言葉を投げかけるパンドラにタマは姿勢を正した。
「話は聞いてくれているようですね」
「ああ。それでパンドラ。何を教えてくれるんだ?」
タマはたずねる。パンドラは軽く深呼吸をする。その直後にパンドラはゆっくりと答えた
「禁忌の箱というの力です」
タマの能力であるダンボール・ボックスの説明とパンドラの教える技についてのお話。




