15話 ここが俺の部屋だよ
洋子達に着せ替え人形にされた後。買う服の会計を終えてからタマ達はタマの家の前に到着した。
「到着しました」
運転席の花蓮がそう言うと荷物を抱えたタマ、リラ、洋子の順に車から出てくる。洋子は花蓮に言った。
「ん。終わったらまた呼ぶ」
「「ありがとうございました」」
洋子の言葉とタマとリラのお礼の言葉を聞いた花蓮はゆっくりとうなずいた。
「承知しました。ごゆっくり」
「ん」
メイドの花蓮にタマとリラが礼を言うとこの場を去る。車が見えなくなるまで見送ると洋子は言った。
「服は自分で買ったんだね。確認してないけど、どの服を買ったの?」
「良さそうなの1着と最初に2着だな」
洋子の問いにタマは素直に答える。袋の中にはタマが普段着ているシャツに似たシャツとリラと洋子が最初に選んで試着してもらった服が入っていた。
「ん。選んだ服の分を出そうと思ったけど、なくなっていたから不思議に思ってたけど買ったんだ」
「ああ。少し恥ずかしかったけど、せっかく2人が選んでくれた服だしな。だから、2人分の服は俺も良いなって思った分を選んだんだ。それに母さんからも補助金が出てるから選んでもらった服で良いのがあったら買いなさいって言われてたし……」
タマが照れ臭そうにそう言うと洋子はタマを抱きしめた。
「わわっ!? どっどうしたっ!?」
「ん。タマは良い子」
「撫でるなぁっ!? むがっ」
洋子はタマを撫でる。タマは引きはがそうとするが、しっかりと抱きしめているために呼吸できなくなって暴れ始めた。
「お姉様。タマちゃんが窒息しそうです」
「あ。ごめん」
リラの発言に洋子は慌ててタマを解放する。タマはその場で膝をついた。
「大丈夫ですか?」
「……はぁ。はぁ。助かった。リラ。ありがとう」
「どういたしまして。それとここがタマちゃんのお家ですか」
リラはタマの家を見てたずねる。タマはうなずいた。
「ああ。とりあえず入ろうか」
そういって道路ではしゃぐのは良くないと判断したタマは2人を連れて家の中へと誘導する。家の扉を開ける直前に扉が開いた。
「わわっ」
「あら? おかえりなさい。タマちゃん。パンドラちゃん」
「ただいま。母さん。どうしたの?」
「ただいまなのです。サクラ」
扉を開けたのは母の桜であった。タマは外に出ようとしている桜にたずねた。
「さっきまで世間話してたんだけど、回覧板を渡し忘れたから少し出るわ。それとタマちゃんのお友達ね。こんにちは」
「「こんにちは」」
「母の桜です。タマちゃんがお世話になってます」
「ご丁寧にども。洋子と申します」
「リラです。タマちゃんのお母さん」
桜は洋子達に挨拶する。洋子達も挨拶を返すと桜はタマを見てたずねた。
「早い帰りだったけど、お昼ご飯は食べたの?」
「まだ」
タマは頭を横に振る。タマの返事を聞いた桜は提案した。
「それならお友達の分も用意しましょうかね」
「お願いしてもいい?」
「もちろんよ」
「ん。いいんですか?」
話を聞いていた洋子がたずねる。サクラは優しく答えた。
「昨日から話は聞いてたからもしもの時の準備はしてるわ。だから、遠慮することはないわよ」
そう言って桜はウインクする。そんな桜に洋子は頭を下げた。
「ん。よろしくお願いします。ちなみに献立は?」
「今日は唐揚げの予定よ。お肉を漬けておくだけで準備ができるし、来なくても夕飯に回せるからね。あら。いけない。2人は食べれない物はあるかしら?」
桜は思い出したように洋子とリラにたずねる。
「ん。私はない」
「私も大丈夫です」
2人はうなずくと桜は安堵した。
「そう。2人共大丈夫ならよかったわ。タマちゃんお家の事お願いね」
「分かった」
タマがうなずくと桜は出て行った。サクラを見送った後にタマは言った。
「とりあえず入ろうか。部屋まで案内するよ」
「ん」
「そうですね。お願いします」
そう言うと家の中へと入る。そのまま靴を脱いでからタマは自室へと案内する。タマは自室の扉を開けた。
「ここが俺の部屋だよ」
「わぁ。思ったよりも綺麗にしてるんですね」
「ん。これはシンプルな男の子のお部屋」
タマの言葉にリラと洋子が感想を口にする。リラと洋子が言うように綺麗に片づけられた少年の部屋と言っても過言ではない部屋であった。
「リラはどんな部屋を想像してたんだよ。洋子は俺が元が男なの知ってるだろ。そんなに大きく模様替えなんてすることはないだろ。っと。飲み物用意するよ。麦茶でいいか?」
「ん。それで構わない」
「私もそれでお願いします」
「なら。少し待っててくれ。取って来る」
そういうとタマは飲み物を取りに部屋をでた。タマが部屋を出たのを確認すると洋子は言った。
「ん。友達の部屋に来たらやっぱり探索。アルバムとかあるかも」
「えっと……それはタマちゃん怒りません?」
リラが困惑しながらも洋子を止める。洋子は言った。
「荒らし過ぎなければ問題ない。こういう時だからこその楽しみだからやらないと損。リラは興味ない?」
「興味はありますけど……本当にそうでしょうか?」
リラが頭を傾げる傍らで洋子は部屋の探索を始める。洋子はベッドの下と本棚を調べると残念そうに言った。
「ん。残念ながらえっちな本とかオモチャとかアルバムはなかった」
「ただいま。何にがっかりしてるんだ?」
洋子が落ち込んでいるタイミングでタマは返って来る。洋子は残念そうな声で言った。
「タマが隠しているえっちな本とかアルバムを探してた。ないけど、どこに隠したの?」
「あっても教える訳ないだろっ!? というかなんてもの探してたんだよっ!?」
洋子の言葉にタマが怒る。洋子は特に気にした様子もなく言葉を続けた。
「こんな時じゃないと出来ないから残念だった」
「はぁ。特に隠してる訳じゃないから俺は許すけど、他の人の家とかでするなよ」
「ん。善処する」
「うわっ。不安だ。おっと。お茶」
洋子の言葉にタマは呆れながらも答えると2人の座る机の上に麦茶の入ったコップを置く。軽く喉を潤すと洋子は言った。
「んぅ。タマ。アルバムとかないの?」
「男の頃の写真しかないけど、それでもいいか?」
「構わない。リラも興味ある」
洋子がそう言うとリラは驚いた。
「えっ!? 私ですかっ!? 確かに少し興味ありますけど……」
「滅茶苦茶驚いてるんだけど?」
「ん。話を振った時に興味ありそうな雰囲気だったから確認は取れてる」
「そういう問題なのか? まぁいいや。ちょっと待ってくれ。えーっと……」
そういうとタマはベッドの近くに置かれているダンボール箱を手に取ってアルバムを探し始めた。
タマが友達の洋子達を家に招くのと部屋の探索のお話。




