14話 本当にこれ着るの?
メイドの花蓮の送迎でタマ達は大きな服屋へと訪れていた。店内に入るとタマは口を開いた。
「うわぁ。おっきい」
「服がいっぱいです」
様々な服の並ぶ店内にタマとパンドラが圧倒される。それを見た洋子は自慢そうに言った。
「ん。よくお世話になるお店。色々と取り揃えてる」
「選び甲斐がありそうです」
2人はやる気満々といった様子でそう言うとタマの両サイドから抱える。そのまま店の奥の方へと連れて行かれた。
「え?」
タマは2人の行動に訳が分からずに交互に見る。通路の中の複数ある部屋の1つへと連れ込まれると洋子が口を開いた。
「ん。こっちはVIPルーム。常連が色々と楽しむための専用部屋。予約を取ったからしっかりと楽しめる」
「はい。どういうコーデにするかは事前に決めてるのでタマちゃんは渡された服をお着替えするだけで大丈夫ですよ」
「後、連れのツクモ神も楽しめるように予約する人も多いから予約を取るのも大変だった」
「えぇ……」
洋子とリラの説明と手際のよすぎる動きにタマは困惑する。
「はい。タマちゃん。これ着てください」
そうこうしている間にリラが服をタマに渡す。受け取った淡い色の服を見たタマは言った。
「えっと……本当にこれ着るの?」
「そのために選んだので着て見せてくれると嬉しいです」
「わ、わかった。試着室は……」
リラが純粋な笑顔を見せるとタマはうなずく。試着室を探して周囲を見ていると洋子が言った。
「試着室はあっち」
「分かった。洋子。ありがとう」
「ん」
「服の着方は私が教えるです」
「パンドラも助かる」
「任せるのです」
タマは受け取った服を持ってパンドラと共に試着室へと入る。しばらくすると試着室のカーテンが開いた。
「これで……いいか?」
タマはモジモジした様子で出てくる。その格好はフリル多めの淡い色のワンピースであった。服と同色のシュシュで金髪を纏めており、その姿はかわいい妖精のようであった。
「……いいね」
「ふふっ。やっぱりこういったふわふわした服も似合いますね」
洋子とリラはタマを見てから感想とつぶやく。見られているタマはすぐに試着室のカーテンで体を隠した。
「ああ。もったいない」
「ん。似合ってるよ」
リラと洋子がそう口にするとタマはカーテンにくるまった状態で言った。
「うぅ。そう言われても……いつも来てる服よりもヒラヒラしてるし、薄いし」
「ほらほら。タマ。隠れてたら着せ替えの意味がないのです。可愛いのですからもっと堂々としてください」
「パンドラ……」
パンドラの言葉にタマの頭がカーテンから出てくる。
「ん。パンドラの言う通り。玉藻も応援してあげて」
「そうですよ。ソプラノも」
洋子とリラがそう言うとどこに隠れていたのか洋子とリラの隣に玉藻とソプラノが現れた。
『うむ。堂々とした方が後で恥ずかしい思いをしなくて済むぞ』
「そうね。タマ。似合ってるんだから出て来てもっと見せてちょうだい」
「そうですよ。せっかくのお着替えなんですから」
「……うぅ。分かったよ。出てくれば良いんだろ」
玉藻とソプラノに言われてからタマは渋々と言った様子でゆっくりと出てくる。今度は洋子が新しい服をタマに渡した。
「ん。今の服は堪能したから次はこっち」
「これは……布地少なくない?」
洋子が渡した服を見たタマはたずねる。洋子は言った。
「ん。確かに今着てる服より布地は少ない。だけど、カッコいいよ?」
「カッコいいの?」
「ん。ロックな感じ」
「……着替えてくる」
タマはそう言うと服を持ってカーテンを閉める。少しすると着替え終わったタマが出て来た。
「なぁ。流石にこれは別の意味で恥ずかしいんだけど?」
「今度はお団子ヘアなのです」
タマの服装はへそ出しのシャツと黒のファー付きのジャケットとチェーンの付いたショートパンツのパンクな姿であった。黒のサングラスを頭にかけており、頭のてっぺんには大きな髪で作ったお団子が乗っていた。
「これはこれでいいですね」
「ん。小さいタマがこういう格好をしても似合うと思った」
提案した洋子が満足げに答える。
『変わった格好じゃの』
「そう? たまに聞く音楽の人もこんな格好があったから悪くないと思うわよ?」
ツクモ神側からの反応も悪くない様子であった。
『うむ。こうして見ていると参加して見たくなるのぅ』
「リラ。参加しても?」
「私も髪型だけじゃなくて服装も選びたいですよ」
「もちろん歓迎ですよ。一緒に考えましょう」
「ん。歓迎」
リラと洋子はツクモ神達の参加を歓迎する。それにツクモ神達も盛り上がる。
「俺の意見は?」
「残念ながらしばらくは着せ替え人形になってください」
「そんなぁ。逃げちゃダメ?」
「ん。まだお会計済ませていないから逃げたら泥棒になる。ついでに服は試着室にあるからパンドラに頼んで回収してもらった」
「パンドラッ!?」
タマは慌てた状態で着替えの方を見る。置いた着替えはそこにはなく、パンドラを探すとパンドラは洋子の隣に逃げ込んでいた。手に小さなお菓子の箱を持った状態でパンドラは目を逸らした。
「たまには悪いとは思っているのです。ですが、お菓子が悪いのです。限定のお菓子が」
「既に買収済み」
「買収済みっ!?」
あまりの出来事にタマは愕然とする。洋子は言った。
「これで逃げ場はない。そろそろ観念してどんどん着替えるべき」
「無駄に抵抗するよりも早く着替えた方が早く終われますよ? それとせっかく色々と着れる機会なので楽しんだ方が良いですよ?」
「うっ」
洋子とリラの言葉にタマの心が揺れる。しばらくすると観念した様子でタマは言葉を続けた。
「えぇいっ!? 俺も男だ。何でも持ってこいっ!?」
「なんでも?」
タマの言葉に洋子が反応する。それにタマは怯むが、すぐにうなずいた。
「おっおう。言われた奴はなんでも着てやるぞ」
「ん。それなら没にしてた分も追加で」
「タマ。今度はこっちなんかどうです?」
「タマちゃん。これなんてどうですか?」
『うむ。ワシとお揃いの服なんてどうじゃ?』
「これなんかも良さそうね」
タマの言葉に洋子とリラが新しい服を持ってくる。持ってきた服は今着ている服よりも明らかに際どい服やコスプレ衣装らしきモノまであった。
「え? これらを着て行くの?」
「まだまだたくさんありますから」
「ん。なんでも着ると言ったのはタマ」
「……きてやらぁ!」
そういうとタマはやけくそになりながら洋子とリラ、パンドラとソプラノ、玉藻の選んだ服を着て行くのであった。
タマの着せ替え大会のお話。
何も思いつかなければ次回はタマの家へのお話の予定。次の更新は5/10(日)頃の予定です。
ここまで読んで下さりありがとうございました。次回もお楽しみに。




