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12話 知らないのは俺だけなのか

「タマ。ここですよ」


 パンドラに案内されて人の波にのまれながらもタマは何とか外へと辿り着いた。


「……はぁ。いた」


 疲労困憊といった様子でタマはつぶやく。タマの声に洋子は気がついた。


「ん? 時間が掛かるって聞いてたけど、思ったより早かったね」

「……ふぅ。洋子に聞きたいことが出来てな」

「聞きたいこと?」


 タマの言葉に洋子が頭を傾げる。タマは先ほどの占い部とのやり取りを口にした。


「辻占いって知ってるか?」

「ん。なるほど。場所は変えた方がいいか。教室に戻ろう」


 タマの一言に洋子は真剣な様子では返事をする。タマは意外そうな顔で言った。


「信じるんだな」

「ん。占い部の話なら特別。今ならまだ紅蓮も残ってるだろうし、人の少ない場所なら教室の方がいい」

「それもそうか」


 洋子の言葉にタマは納得する。洋子はさらに言葉を続けた。


「それに人が行き来も少なくなってるから戻るの楽になってる」

「そうだな」

「ん。行こう」


 洋子がそう言うとタマの手を引いて教室へと戻る。今度は圧迫するような人の波は消えており、あっさりと教室へと戻る事が出来た。


 洋子が教室を開けると紅蓮とリラはまだ残っていた。


「おかえりなさい」

「おう。おかえり。戻って来たんだな」


 2人がタマと洋子に声を掛ける。洋子とタマの2人は近くの席に座った。


「タマ。辻占いで言っていた事を教えて」

「ああ。それと紅蓮。今いいか?」

「ん? どうした?」


 タマが紅蓮を呼ぶと紅蓮が反応してタマ達の近くへ来る。教室の4人の内3人が集まった様子を見たリラが近くへ寄って来た。


「私も聞いて大丈夫ですか?」

「洋子。聞かれても大丈夫か?」

「ん。問題ない。巨人の件でしょ?」

「ああ」

「うん? こんな短い時間で巨人の事がなんで出てくるんだ?」


 洋子とタマのやり取りに紅蓮が頭を傾げる。そのやり取りにリラが反応した。


「……もしかして占い部案件ですか? という事は辻占い?」

「ん。リラ。鋭い」

「あ~。なるほどなぁ」


 リラの考えを肯定すると洋子がうなずく。それに話を聞いていただけの紅蓮が納得した様子を見せた。


「紅蓮も知ってるのか?」

「おう。学園の占い部って九十九士の家にとっても有名でな。入学した後にもしも辻占いを伝えられるならなるべく話を聞けって言われてんだよ」

「ん。辻占いは占い部の伝統と聞いてる。リラ」


 洋子がリラを呼ぶ。リラはぅ嬉しそうに答えた。


「はい。お任せください」

「リラも知ってるのか?」

「はい。私は姉に聞きました」

「知らないのは俺だけなのか……」


 3人が知っている事にタマは少しだけ気を落とす。それをなだめるようにリラは言った。


「一般家庭の方なら知らなくて当然ですよ。占い部の事は生徒であっても知らない方もいるので気にしなくても大丈夫です」

「そっか。リラ。占い部について教えてくれ」

「分かりました。それでは説明しますね。占い部は学園内に存在する部活の1つです。ですが、部室や部員の構成は誰も知らないという不思議な構築をしています」

「それは……部活なのか?」

「一応、部活という扱いになっています」

「なんで部員についても不明なんだ?」


 タマは占い部の形態に対して頭を傾げた。リラは答えた。


「部員を守る為です。占い部の占いの精度は非常高い事で有名なんです。ほぼ絶対当たる占いとなったら狙う人は多い為に部員を隠しているのです。共通しているのは認識阻害の付いた黒いフード付きのローブを纏っている事くらいです」

「なるほどな。確かにそんな占いだったら狙う相手は出るか」


 リラの説明にタマは納得する。リラは言葉を続けた。


「説明を続けますね。占い部はそういう関係で姿を隠している特殊な部活なんです。依頼も受けていますが、部活での貢献のために辻占いという活動もしてるんです。辻占いというのは占い部の部員が不特定の誰かに対して占うという活動です。主に良くない事が起こる時に現れては解決のカギを握る人に伝えているそうです」

「ん。今回はタマが選ばれた」

「俺が?」

「そう」


 タマは自分を指すと洋子は肯定する。タマは少し緊張した様子で言った。


「……そう言われると少し緊張してくるな」

「大丈夫ですよ。占い部の方がやって欲しい事は伝えてませんか? それを行えば少なくとも悪い事にはならないはずです」

「そういえば言っていたな」


 タマは伝えられた占いの内容を思い出しながらつぶやく。大体の説明を終えたのかリラは洋子に視線を向けると洋子は口を開いた。


「ん。だから、私に聞いて欲しい理由が聞きたい」

「そうだった。聞いてくれるか?」

「ん。いつでも大丈夫」

「紅蓮の言っていた巨人の件だ」

「なるほど。それで俺が呼ばれたんだな」


 タマの言葉に紅蓮が反応する。タマは言葉を続けた。


「1週間後に巨人が来るらしい」

「大輔やウチの占い師達の内容とほぼ一致するな。続けてくれ」

「分かった。それでだな。巨人の目当てはパンドラと俺……らしい」

「タマのツクモ神が狙いなのか?」

「ん。パンドラが狙いなら占いの結果をパンドラがいないタイミングに伝える理由が読めない」

「確かに」


 洋子の言葉にタマはうなずく。パンドラにも伝えて良いはずの情報なのにタマ1人の時に伝えた言葉に疑問を覚える。


 洋子はひとまず話を進める為に口を開いた。


「気になるけど、一旦保留。他に何を言っていたの?」

「解決には俺の力が必要って言っていた。それと困った時は友人を招くといいって」

「ん? タマの家?」

「ああ。招いたら解決に近づけるって」


 タマがうなずくと洋子達が聞いた内容に頭を傾げる。その話を聞いていたパンドラは口を開いた。


「うーん。もしかしたら」

「パンドラ。何かあるのか?」

「確証はないのです。ですが、タマ。1回洋子達を家に招いてみませんか?」

「それは構わないが、3人は良いか?」


 タマはたずねる。それに紅蓮から答えた。


「ん。私は大丈夫。明後日の買い物の帰りとかが良いかも」

「いいですね。ついでにお菓子とかおしゃべりとかしたいです」

「あー。師匠達が集まるなら勘弁してくれ。気まずい」


 肯定する女子2人に困った様子で紅蓮は拒否する。洋子達の話の内容にタマが渋い顔をして言った。


「うへぇ。そう言えばそれがあった」

「今時の服装は分からないので楽しみです」

「ん。任せて」

「私もです。パンドラさんの服も探しましょう」

「良いですね。私も楽しみにしてるのですよ」


 タマとは対照的にパンドラが洋子とリラの言葉に反応する。


「とっとにかくっ!? 土曜日に集合な」

「ん」

「分かりました」

「おう。楽しんできてくれ」


 タマの言葉に3人にが各々に言葉を返す。そんな約束をしながら外の人ごみが落ち着くまで教室で過ごすのであった。

 占い部についてとタマの家に洋子達が行く予定を立てるお話。

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