11話 辻占いって何?
遅くなりましたが、更新です。
タマ達は教室から離れてから靴箱と教員室周辺の受付を見ると人でごった返していた。
『野球やりませんかぁ?』
『オカルト研究部で青春しましょうっ!』
『依頼もこなせる武術研究部に入って強くなりませんかぁ?』
耳をすませると様々な部活の大きな勧誘の声と言葉として聞き取れない様な言葉が集まった音が組み合わさって非常にうるさい空間であった。
タマは頭上と隣にいる2人に聞こえるように思っている事を言った。
「うわぁ。めっちゃ人がいるな」
「タマだと押しつぶされそうです」
「そうだな。パンドラも同じように潰されそうだな」
パンドラの言葉をタマは言い返すとパンドラは同意する。パンドラは不機嫌そうな表情になるとタマの頭上で浮き上がった。
「私はそもそも飛べるので問題ないのです。ほら」
「あ。パンドラ。危ない」
「ぐべっ」
タマの頭上を浮かび上がった瞬間。タマが声を掛けると同時にパンドラの体に押されて出て来た他の生徒の肘がぶつかる。タマの超ぞ真上を通り抜けた肘の主は慌てた様子で振り返って頭を下げた。
「ごっ!? ごめんなさいっ!? 大丈夫ですかっ!?」
「あたた……。だ、大丈夫ですよぉ。私も不注意だったのです。急いでるなら行ってもいいのですよ」
「はっはい」
肘を当てた生徒は浮かんだ状態のパンドラに謝罪する。悪気はなかったのも分かっているのかパンドラは許すと肘を当ててしまった生徒はもう一度頭を下げてから人ごみの中に消えて行った。
パンドラはゆっくりとタマの目の前の方にフラフラと移動するとタマに言った。
「タマ。降りたいので手を上げてくださいです」
「ほら」
パンドラの指示にタマは手のひらを出す。パンドラはゆっくりとタマの上に降りる。そのままパンドラはタマの手のひらの上で腰を下ろした。
「ふぅ。酷い目に合ったのです」
「災難だったな」
「もっと慰めて欲しいのです」
「よしよし。痛かったな」
タマは慰める。タマの言葉に微妙な表情で言った。
「……なんか違うのです」
「それならさせるなよ……」
パンドラの反応にタマは顔をしかめる。休んでいるパンドラを手から頭の上に戻すと洋子にたずねた。
「いつもこんな感じなのか?」
「多分違うと思う。確か今日から依頼が受けられるのと部活動の勧誘の期間だから人がごった返してるんだと思う」
「ああ。両方だからか」
「ん。どうする?」
洋子はたずねる。タマは答えた。
「とりあえず部活動見てみたいかな。洋子。いいかな」
「了解。行こうか」
洋子がそう言うとタマと一緒に人ごみの中にはいると密集した人の流れの強さにタマは苦しそうにつぶやいた。
「う……ぐっ。きつい。ってか見えない」
「ん。これは……ムリ。靴箱の近くで合流しよう」
「わかった」
洋子の提案にタマがうなずくと動き始めた人の流れに沿って2人は別れる。流れに逆らわずにしばらく進んで行くと徐々に人が少なくなって見知らぬ場所に出た。
「ふぅ。やっと人のいない場所に出たか。パンドラ。悪いんだけど、もう一度浮き上がってここがどこら辺か教えてくれないか?」
「仕方ないですね。少し調べるので待っててくださいです」
パンドラはやれやれと言った様子で浮き上がる。タマは見上げるとパンドラは周囲を見回す。少しするとパンドラは戻って来た。
「ただいまです」
「おかえり。どうだった?」
戻って来たパンドラに早速と言った様子でたずねる。パンドラは答えた。
「遠くの方に私達が居た場所が見えたのです。ただ、ここから靴箱に行こうと思ったら上手い所で流れに乗ってからタイミングよく切り替えないとたどり着けないです」
「うげっ。そんな事になってるのかぁ」
パンドラの報告にタマは顔をしかめる。タマは言葉を続けた。
「うーん。こうなると合流を考えたけど厳しいか。パンドラ。申し訳ないんだけど、洋子にしばらく合流は厳しい事を伝えて来てくれないか?」
「えー。あそこまで密集した場所の上は怖いので行きたくないのですよ」
タマの言葉にパンドラが嫌そうな声を上げる。その反応をされるのを予想していたのかタマは言った。
「後でお菓子1つおごるよ」
「今日はグミの気分なのです」
パンドラは求めるモノを口にする。タマはうなずいた。
「わかった。帰りに寄ろう」
「交渉成立なのですよ」
パンドラはあっさりと手の平を返して返事をすると天井ギリギリの位置まで浮き上がって移動し始める。パンドラが見えなくなるとタマは口を開いた。
「ふぅ。これで洋子の方は大丈夫だな。パンドラが戻るまで待つとするか」
タマは今いる位置から少しズレて邪魔にならないように壁際へと移動する。手持ち無沙汰になるとタマの背後から声が聞こえた。
「もし? もし?」
「ん?」
タマは振り向く。背後にはタマと同じ位の身長の少女がいた。同じ学園の制服を着ており、同じ学園の生徒であるのが分かる。その上から黒いフードの付いたマントを羽織っており、顔は見えなかった。
少女はタマを見てから言った。
「よかった。反応してくれた」
「どなた様?」
タマは見知らぬ少女に頭を傾げる。少女は言った。
「私は占い部の者です。あなたに辻占いを授けます」
「占い部? それよりも辻占いって何?」
タマは困惑する。占い部を名乗った症状はそのまま言葉を続けた。
「1週間後。巨人がやってきます。狙いはあなたと共に居るツクモ神。解決にはあなたの力が決め手になります。困った時は自宅に友人を招くと解決に近づくでしょう」
「どういうこと?」
タマは気になる内容に思わず聞き返す。少女はタマの言葉に反応せずに言った。
「確かに伝えました。それでは」
「待って。辻占いって何っ!? うわっ!?」
タマは呼び止めようとするが、タマの目の前に強い風が当たる。思わず目を閉じてから目を開くとそこには少女はいなかった。
「いない?」
狐につままれたた顔でタマは呆然とする。周囲を見回すが、先程の少女の姿はどこにもなかった。少しすると頭上からパンドラの声が聞こえた。
「タマ。戻りましたよ」
「あ。パンドラ。おかえり」
「ただいまですよ。それにしてもどうしたんですか? そんな狐につままれたような顔をして」
「さっきちょっと変な人に辻占いされてな」
「辻占いって何ですか?」
タマの言葉にパンドラは頭を傾げる。タマは同じように頭を傾げた。
「さぁ?」
「知らないで言ったのですか?」
「辻占いって一方的に言われたからな」
「そうですか。何を言われたんですか?」
パンドラはたずねる。タマは覚えている内容を答えた。
「なんか巨人がパンドラを狙ってるって。巨人って多分紅蓮達が言ってた奴だよな?」
「なるほど。洋子と合流して確認した方が良さそうですね」
タマの言葉にパンドラは少し考えてから真面目な表情で答えた。
「あの中を案内するのは嫌ですがとりあえず場所は把握してるので私が案内するのです。着いて来てください」
「分かった」
パンドラの案内でタマは洋子の元へと向かうのであった。
人ごみの波に呑まれてから一方的に占われるお話。




