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プリンセス達の花詩集  作者: 白百合三咲
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赤い花びら恋の色 第5話

ステージには小さなテーブル、その上に花瓶と花束がセッティングされると虞姫が現れます。

「虞姫様、何を披露してくださいますか?」

審査員の夫人が尋ねます。彼女は全子がたてたお茶を頂いた夫人です。

「私はフラワーアレンジメントをしたいと思います。」

虞姫はテーブルの上の花束を広げます。

 



 先日突然婉容に連れられて洋館にたどり着きました。そこは花屋でした。色とりどりの花が並べられてる中虞姫は赤い花に目を留めます。

「けしの花だわ」

それは虞姫が毎日部屋に飾って水変えをしてる花でした。

「虞姫様、花を生けてはいかがでしょうか?」

婉容はプリンセス大会に生け花を提案してきたのです。

「そんな、他のプリンセスはダンスとかもっと賑やかな事されるでしょ?婉容様だってピアノをお弾きになると。」

「虞姫様」

婉容が首を横に振ります。

「他の方の事はいいのです。虞姫様ができる事をやればよいのです。」

婉容の言葉で虞姫は花束を買いました。赤いけしの花の他には白菊の花を買いました。  



 虞姫は白菊の葉を鋏で切り落とします。急須に入った水を花瓶に注ぎ白菊を入れました。次にけしの花の茎の先を切っていきます。しかしどれも長さが違います。茎の長い花は白菊のすぐ右側に添え茎の短い花は白菊の前に添えます。


「完全しました。」


虞姫の前には白菊の周りに赤いけしの花が咲いた花瓶が完成しました。

「あら、これで終わり?」

「花は綺麗だけどそれだけというか。」

「そうね、婉容様のピアノやアントワネット様のヘアアレンジと比べると盛り上がりに欠けるわ。」

会場はざわつき始めました。


「静かに。」


審査員の夫人の1言で会場が静まり返ります。

「虞姫様、こちらの花のテーマは何ですか?」

夫人が虞姫に質問します。

「この花は戦に赴いた項羽様に向けて生けました。」

虞姫は項羽の話を始めます。

 「項羽様は戦に赴く度私にけしの花をくださいます。この花は君の化身だと。私はその言葉を胸に花瓶にいけ、部屋に飾っています。私がけしの花の化身なら項羽様は白菊。離れていても心はお傍にという気持ちで生けました。」

虞姫が話終わると会場から拍手が響き渡りました。




「婉容様、トップオブプリンセスおめでとうございます。」

今年のプリンセス大会はピアノで会場を1つにした婉容が優秀しました。帝国ホテルのラウンジでは彼女のお祝いがマリー、栄子、そして虞姫と共に行われました。

「婉容様のピアノ演奏軽やかで楽しかったですわ。」

「ありがとう、虞姫、貴女も準優勝おめでとうございます。」

虞姫は婉容の次に票を多く集め準プリンセスに選ばれたのです。

「虞姫様のお花素敵でしたわ。わたくしもフェルゼン様に花を贈ろうかしら?」

「素敵じゃない、私は芳子に赤い薔薇の花を贈るわ。」

マリーと婉容はそれぞれの恋人を思い浮かべてます。

「失礼致します。」

そこに虞姫の侍女がやってきました。

「虞姫様、項羽様から文でございます。」

「まあ、項羽様から?」

虞姫は手紙の封を急いで開けます。

「虞姫様、項羽様に何かあったのでは?」

婉容が尋ねます。

「ええ」

虞姫が満面の笑みで答えます。

「項羽様が戦からお戻りになられたわ。」



                      FIN

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