7/16
第七章
あの後、どこをどう走ったか全く記憶にないけど、ちゃんと家にはついた辺り、まだ脳はまともなのかもしれない。
けど心はボロボロで。
顔も情けないほど涙でぐちゃぐちゃだった。
ふらつく足でなんとかベットに辿り着き、力なく倒れ込む。
意思とは関係なく溢れ出る涙を布団に吸わせ、私はじっと宙を見つめた。
甦るのはさっきの光景。
信じていた。
いや、信じていたかったのに。
見てしまった光景は、いとも簡単に私の心を打ち砕いた。
信じたくなかった。
あれが真実なら、彼には私じゃない恋人が他にいたということ。
……いや、そもそも私は彼の恋人だったんだろうか。
私はそう思っていたけど、彼には単なるお遊びだったのかもしれない。
舞台にいたのは私だけ。
一人で踊っていただけの、愚かな道化人形だったんだ。
「……バカみたい」
あの人は大人なんだから、私みたいな子供を相手にするなんて有り得なかったんだ。
そんなことにも気付かないなんて、本当バカみたい。
〜♪〜♪
ふいに携帯が鳴った。
清貴さんかと思ったけど、ディスプレイに表示された名前は違う人だった。
「……はい……いえ……え?…………分かりました」
用件だけ聞いて切った電話。
もう何もかもどうでも良くなって、私はそのまま携帯の電源を落とした。




