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第六章
「……大丈夫か?」
先を行く雅の後にゆっくりと続きながら、私の隣を歩く雄大が口を開いた。
「うん、心配かけてごめん」
雅や雄大に気を使わせてしまうほど、私の状態は酷かったんだろう。
「何があったか知らないけどさ、俺らは桜の味方だからな」
「……うん」
いつもは頼りない雄大だけど、友達想いなやつだから。
力強い言葉に荒んでいた心が少し軽くなった気がした。
お礼を言おう、と雄大を見上げた瞬間、私は別のものに気をとられ立ち止まった。
「……桜?」
動かない私に気付いて、雄大もちょっと先で立ち止まる。
けれど、雄大の問いかけに答える余裕は私にはなかった。
「な……んで……?」
私の視線の先にいたのは紛れもなく清貴さんだった。
しかも、綺麗な女の人と一緒。
二人は私になんか気付くはずもなく、とあるお店の前で楽しげに談笑している。
……あぁ、やっぱりか。
自分のバカさ加減に嫌気がさし、私は乾いた笑みを浮かべた。
「桜……?どう……」
「……ごめん、やっぱ帰るね」
心配そうな二人に向けた精一杯の笑顔。
そして私は逃げるようにその場から走り出した。
後ろで二人の声が聞こえた気がするけど、もう頭の中はぐちゃぐちゃ。
全てのことから逃げ出したくて、私は無我夢中で人混みの中を走っていった。




