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第三章


「桜ちゃん、そこ違うよ」


「え?」


必死になって問題を解いてると、清貴さんの長い指がノートの一角をトン、と叩いた。


「……あ」


清貴さんの指先が指し示す問題を見つめ、やっと計算間違いを見つける。


今日はこれで四回目。


私はため息混じりに問題の解き直しにかかった。




学校終わり、両親共に海外にいる私は、独り暮らししているマンションに帰る。


そして、両親からも私の保護者的役割として認められてる清貴さんに勉強を見てもらっているのだ。


「疲れた?ちょっと休む?」


言うが早いか、清貴さんはキッチンへと消えていく。


何度も家に来てる清貴さんはもう慣れたもので、あっという間にコーヒーを用意してくれた。


「ありがとうございます」


私用の桜の花が描かれたマグカップにはブラックのコーヒーが湯気をたてていた。


「どういたしまして」


対して清貴さんの青いマグカップには砂糖たっぷりのカフェオレ。


「……美味しいの?」


にこにことカフェオレを口にする清貴さんに思わず聞いてしまう。


甘いのがダメな私としては、砂糖たっぷりのカフェオレなんて飲めたものじゃないんだけど。


すると、清貴さんは大きく頷いた後、私に聞き返してきた。


「桜ちゃんこそ、よくブラックなんて飲めるね」


「だって……コーヒーは苦くなくちゃ」


苦いのがコーヒーの良いところ。

そう思ってる私には、コーヒーは苦ければ苦いほどいいのだ。


けど、反対に甘くないと飲めないという清貴さんには理解されないけど。


二人して互いに首を傾げながら、私達はいつもの他愛ない一時を過ごしていた。


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