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第十三章
「清貴さんっ……痛い……」
力強く私を引っ張っていく清貴さんに抗議の声を上げるけど、力が弛むことはなかった。
何度か転びかけるのをなんとか堪えながら、清貴さんを見上げるけど、その表情は読み取れない。
「あら……桜と、清貴くん?」
前方から聞こえた女の人の声に清貴さんの足がやっと止まる。
「ご無沙汰してます」
にこやかに清貴さんが挨拶した相手は、ホテルのロビーで寛いでいた私の父と母だった。
二人は驚いた顔で私達を見ていたけど、それより驚いたのは私の方。
だって清貴さんが突然、深々と頭を下げたから。
「清貴さん!?」
「桜ちゃんを……娘さんを俺にください」
慌てる私達家族に構わず、清貴さんはそうはっきりとした口調で告げた。
「え……?」
突然のことに私は戸惑ってしまう。
そんな私に気付いたのか、清貴さんが手を握ってきた。
そして顔を上げると、いつもの微笑みを私に見せる。
「ずっと考えてたんだよ。桜ちゃんが大学生になるまで待とうと思ってたけど、案外敵は多いみたいだから」
もちろん負ける気はさらさらないけどね、という言葉とウィンクのおまけ付きに何も言えなくなってしまった。




