第14話 【戦闘能Eランク】 2
「なんで、なんで……俺は男なのに戦闘能がこんなにも低いんだ!」
腹いせに【人形】を殴ると、鈍い音がして拳がじんわりと腫れた。
ダサい、ダサすぎる。
自分の情けなさに痛みなどは感じなかった。
周りを見渡せば男子のほとんどはなんらかの戦闘魔法で【人形】を玉砕し、女子はほとんど【人形】に傷跡を残すことはできていない。
だが、そんな中で一目置かれている女子が一人いた。
「……せやっ!」
隣の金髪の女子が妖艶な色の炎で【人形】を灼熱地獄に追い込んでいる!
それは本来、女性にはほとんどないはずの戦闘能に加え、回復能Aランクをマークしている二重能力保有者、アイリス・ステファニーだ。
(あいつ、やっぱりすごいんだな)
数ヶ月前に魔法決闘で勝ったのが嘘みたいに感じられた。
あの時はまだ戦闘魔法が両者とも使えずに、新太のとっさの機転と常用魔法だけで差がついたのだが、今戦ったらおそらくアイリスの一方的な試合になるだけだろう。
なんせ、新太は『攻撃』できないのだから。
(……って、なんかアイリスさんこっちに歩いてきてないか?)
試行錯誤するも一向に戦闘魔法が発動しない新太の元へ、なにやら無表情でアイリスが近づいていく。
「嫌味か、嫌味なのか、嫌味なんだな?」
声の聞き取れる距離に入ってから、間も無く新太は苦笑いで言った。
もはや聞くまでもなく嫌味ということを断定してかかっている。




