第14話 【戦闘能Eランク】 3
しかし、アイリスはその言葉に表情一つ変えないまま新太の前で立ち止まり言った。
「想像するの……【人形】を八つ裂きにする瞬間を」
それは嫌味ではなく単純なアドバイス。
けれども新太の耳にはどうしてもそれが自分への嫌味に聞こえてしまう。
できる人間がそうではない人間に行った言葉はひねくれた捉え方をされる。
「さっきから想像は完璧にできてるんだよ。そこでは俺が【人形】を粉々にしてる。でも、それがどうしてか現実にならない。なんにも起こらないんだよ、魔法が」
うつむいて新太は返答する。
周りがうまくいってる中、取り残されてただでさえ劣等感を感じているのに、それを成功している人間に指摘されたらもはやそれは屈辱でしかない。
アイリスは普段よりテンションの低い新太を不思議そうに一瞥し、やがて呆れたように目をそらした。
「……せったく、教えてあげたのに」
「え?」
消え入りそうな小さな声は雑音にかき消され、新太は聞き取れなかった。
「……なんでもない!」
そう言ってまた自分の場所に戻っていくアイリスの背中はどこか起こっているようだった。
が、そんなことはどうでもいいくらいに。
早く戦闘魔法を使えるようにならなければ、と新太は焦るばかりだった。
(まぁでも、いつかは俺だってアイリスさんみたいに……)
淡い一筋の期待が、その時はまだ新太の胸にあった。
《俺は性転換して回復魔法で学園無双することにした。 第十四話 完》




