第12話 【二人の部屋】 1
「使用するのは土、【創造】!」
床から現れた無機質な白壁が部屋を二分する。
女子寮の一角にある新太とアイリスの部屋は、右隅に二段ベッドがある構図である。
そのため、二分した場合どちらかの領地にベッドがあり、一方はないということになってしまう。
「俺は左にするよ」
罪悪感からベッドではなく硬い床の方を選んだのは新太。
アイリスの前では完全に男口調である。
「むぅ……わかった」
依然として不機嫌さは変わらずだ。
(昨日まで口を聞いてもくれたなかったんだから、これでもだいぶいい方なんだよね)
新太としてはこれから徐々に仲直りしていければ良いという考え方だ。
壁を介して左右に分かれた二人は隣の音こそ聞こえるものの、視覚的には別室も同然だ。
ベッドに体重がかかり、軋む音。
それを聞いて新太は少しベッドがないことを後悔した。
(これじゃあ、寝れないかな……)
斧や壁などの比較的、硬いものは多少雑に作っても問題ないために作れるのだが、【創造】で柔らかい質のベッドをつくることは相当な技術能がいる。
冷たい床に体を預けるしか方法はない。
ーーぐぅぅぅぅー!
隣から聞こえる腹の虫が鳴く音に場が凍りつく。
そして、こらえきれなくなった新太は
「……ぷぷっ。アイリスさん、食堂いこうか?」
吹き出すとともにアイリスに提案を投げかけてみた。
「あ、あぅ……」
風船から空気が抜けるような脱力した声が隣部屋から漏れた。
さっきまで自分が怒っていた相手に醜態をさらしたわけで、アイリスは顔を真っ赤にして枕に顔を埋めた。
帰ってこない返答に耐えかねて、新太は隣部屋を見に起き上がる。
するとそこには二段ベッドの下段で枕に顔をなすりつけるアイリスがいる!
「おーい、アイリスさん? おじゃまするよ……って、俺のベッドに顔を埋めてなにしてんダァァァァァ!」
「え……?」




