第10話 【二つの能力を持つ者】 1
そして二日が経った。
新太もアイリスのこの二日間の中で一言の言葉を交わすことはなかった。
お互いにお互いがいないもののように生活を送っていたのだ。
それは当然、寮の中でも同じで完全に2人の部屋は白けきっていた。
(はぁ……とうとうこの日がやって来たか)
寮のベランダから徐々に登っていく朝日を見ながら新太はぼんやりと考え事をしていた。
アイリスはまだ寝息をたてながら寝ている。
昨日、新太は学園長に【性転換】魔法の欠点について説明された。
異性へと自分の性別を変更することができる超高度な魔法なのだが、これは光の魔法らしく
『属性選択は光。使用するのは、【性転換】!』
という風に使われたため、『光がない時』、つまりは夜になると魔法の力が弱まってしまうらしいのだ。
(そういえば、アイリスに股間を見られた時は深夜だったな。ほんと、最悪のタイミングってやつだよな。というか、学園長には夜は注意しろとかしっかり言っといて欲しかったよ。完全に向こうのミスだよねこれ……)
そう思う新太なのだが、もう責任を追及して後戻りなんてことはできない。
今日の放課後、【二重能力】を持つ者と魔法決闘することはもう、決定事項なのだから。
「よし、行こうかな」
まだ寝息をたてて眠るアイリスを横目に、新太は静かに闘志を燃やしながら寮の外へと歩き出していった。




