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 第9話 【狂乱アイリス】 5 


 

 ふと、新太はそんなことを思った。

 けれどもーー


 「ではアイリスくん、こんな考えはどうかなぁ?」


 学園長は突拍子も無いことを言った。


 「君とアリス君、どちらが強いかを魔法決闘で決めるというのは」


 破天荒すぎるその提案に、アリスも新太も困惑を隠せなかった。

 何かあったのか?

 どうしたんだ?

 学園長、やばくないか?

 そのような疑念の表情を互いに学園長に浮かべていた。

 学園長はというと、未だに顎鬚を触りながら不敵な笑みをしている。


 「学園長……それは、一体どういうことですか?」

 「本当です学園長。ここでどちらが強いかを決めたところで、俺たち二人には何の価値もないんじゃないでしょうか?」


 アイリスも、新太もここでは同意見だ。

 互いに、学園長の意図がわからない。

 新太がついつい『俺』と言ってしまったことももはやスルーされてしまうほどの混乱だ。

 ーーが、学園長の次の言葉に二人は納得せざる得なかった。


 「この、黒影魔導学園こくえいまどうがくえんは実力主義なんだよぉ。他の学校とは違って、筆記試験なしで完全に魔法実技試験のみで生徒を採ってる。ということはだねぇ、今回に発生してしまった事件に関してもそのように決めるべき、となるねぇ。つまりは、アリス君への処罰が退学であるかそうでないか決めるのも……実力主義ということだねぇ」


 さらに、学園長は続ける。


 「アイリス君は【二重能力ダブルアビィティ】を持っているよねぇ。でも、仮にアリス君がそれを倒したとなれば、アリス君は成績的にはこの学園が『手放す』にはもったいない生徒ということなるんだよぉ。であるからしてぇ、アイリス君とアリス君が魔法決闘しその勝者が今回の件の主導権を握る、という論理は正しいことになるよねぇ」


 学園長はそう言い終え、顎鬚を撫でるのをやめた。

 この提案を、アイリスは受け入れるのか。

 それとも、新太が受け入れさせるのか。

 互いに一歩も譲らず沈黙は続いた。

 けれども、その沈黙を破る瞬間が、とうとうやってきた……。

 その言葉はアイリスの口から出た。

 

 「わかりました、受けて立ちます。ただしうちが勝った場合、確実に騎士アリスは退学です。いいですか、学園長先生?」


 生唾を飲み込む嫌な音が学園長、そして新太喉からは漏れた。

 これでもし自分が負けたら、退学になってしまうという思いがひどく重く新太の心にはのしかかるからだ。

 けれども、新太はこれを断る手はない。

 むしろ、新太にとってこれは好機だ。

 もし、【二重能力ダブルアビィティ】のアイリスに勝つことができれば大きく双剣魔法祭への自信にもなる。それに、自分のしてしまった罪を帳消しにできる。

 だから、新太はーー。

 

 「学園長、俺も受け入れます、その勝負。俺は、アイリスさんと魔法決闘します」


 決意にも似た心象が、静かに両者の心に巣食う。

 決闘は二日後、行われると学園長によって決められた。

 勝者はどちらなのか、その行く末は誰もわからない。

 ただわかることは、どちらかが勝者になるということだけだ。


 

 《俺は性転換して回復魔法で学園無双することにした。 第九話 完》

 

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