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 第9話 【狂乱アイリス】 4 



 「なっ、アリスッ……!」


 完全なる敵対の視線が新太にまっすぐとつき刺さる。

 やはり、昨夜起きたことはそんなに簡単には許せない。

 学園長室に足を踏み入れた新太を見てアイリスはそう思った。


 ーー学園長。やっぱり、ウチは騎士アリスの退学を望みますッ!


 だからアイリスは鬼の形相で新太を指差しそう叫んだ。

 一方の新太は顔色が悪く、もはや抵抗する気もなかった。

 扉を開ける前、新太はまだアイリスが学園長に『昨夜の件』を伝えていないことにかけていた。

 あわよくばアイリスを説得して何事もなかったことにしようというプランが頭にはあった。

 しかし、実際に新太が入室した時にはすでにおそかったのだ。

 【性転換トランスセクシャル】が他の生徒にバレたら退学、ということを学園長と約束してしまった以上は腹をくくるしかない。新太はそう心を今この瞬間固めようとしているのだ。


 (アイリスさんも退学を望んでいるみたいだし、はぁ……。入学二日目で学園生活がエンドロールを迎えることになるとは、トホホ。もはや笑えてくるよこれ)


 と、新太が自暴自棄になりかけている時だった。

 トントン、と脇を誰かにこずかれる。

 アイリスはぶつぶつと『変態』だの『下品』だの文句を言っていし、残るは一人しかいない。

 

 「君、退学したくないよねぇ」


 アイリスに聞こえないような小声が耳元でささやかれる。


 「当たり前でしょ。なんとかできないんですかこの状況」


 新太も空気を読み小声で返答する。


 「うん。だから、なんとかするんだよぉ、今から」

 「本当かよっ……」


 顎鬚を撫でながら自信ありげに宣言する学園長。

 それに対し、疑念を抱かずにはいられない新太であったが、この男が顎鬚を触っている時はなぜだかなんともいえない説得力があるような気がした。

 ここは、学園長コイツを信じてみてもいいんじゃないか。

 

 


 


 


 


 


 

 

 



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