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 第9話 【狂乱アイリス】 1 



 「ぜぇぜぇ、はぁはぁ……遅れましたっ!」


 教室の扉がとてつもない勢いで開いたかと思えば、したたった汗でシャツがすけすけになった女子生徒が入ってきたのだから、新太は全クラスメイトの視線を一度に買うことになった。


 「あー、騎士さん? 入学二日目から遅刻なんて、気がゆるんでるぞー!」

 

 クラス担任の桐生萌花きりゅうもえかが頬を膨らませながら言う。

 その様子はまるで小動物が口いっぱいに餌を頬張ったそれであり、不覚にも新太は笑いそうになる。

 茶色の髪の毛と口からのぞかせる八重歯。

 リスのようだ。

 もはや新太は萌花に叱られているときにそれしか考えることができなかった。

 

 (ふぅ……なんとか耐えた)


 適当な遅刻理由を述べ、席に座る。

 依然としてクラスメイトからの視線は全滅してはくれないが、そこはどうにか心のフィルターでシャットアウトする。

 そんなことよりも今はもっと大事な、それも今後の学園生活に関わることを確かめなくてはいけないからだ。


 (えーと、アイリスさんは?)


 右隣の席におそるおそる視線を移すとそこには不機嫌そうな顔の彼女が……


 「いないっ!?」

 「おおっ!? びっくりしたなー。急に大きな声を出すなよ騎士さん」

 

 さっきまで机に突っ伏して寝ていた桐生智也きりゅうともやは寝起きの顔で本当に嫌そうに言う。


 「え、あっ……ごめん」


 

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