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 第9話 【狂乱アイリス】 2 



 「別に良いけどよ、って……騎士さん!?」

 「んっ? あたしがどうかした?」

 「お、おう。その、透けてるぞ」

 「ふぇ?」


 智也に言われて新太はようやく自分のシャツが汗で透けていることに気づいた。

 だが正直なところ、新太には下着が透けて恥ずかしいという感覚がなく、自分の現状に対しておどろきもしなかった。


 「本当だ、まぁそのうち乾くよ」

 「そのうちってお前……。だったら、これ羽織ってろよ。目のやり場に困る」

 

 そう言い放って智也は自分の来ていた紺色のカーディガンを新太に投げ渡す。

 

 「おっ気が利くじゃん、ありがと!」


 軽く礼をして渡されたモノを羽織る新太だが、女となった今の自分の体には少し大きすぎる。

 よってカーディガンは少々ぶかぶかだ。


 「っと、忘れてた! ねぇ桐生。アイリスさんってまだ来てない?」


 余った袖口をぶんぶん振り回しながら問いかける。

 すると智也はあきれた顔をしながら


 「はぁ? 彼女は騎士さんのルームメイトだろ? なんでお前がしらないんだ」

 

 と返し、また続けた。


 「彼女は朝から学園長に用事があるそうでホームルームと一時間目の授業を欠席するらしい。朝、姉ちゃんが言ってた」

 「なっ……学園長だって!?」

 

 背筋に電撃が走る。


 「そうだが、どうかしたのか?」

 「ちょっとお腹痛くなった! 一時間目の教師に伝えといて!」

 「おい! 待てって騎士さん! おい、おーい!」


 急がなくては、学園生活が終わる。

 今はとにかく、走るしかない。


 「桐生、頼んだよ!」


 そう言い残して新太はチャイムが鳴り響く廊下へ、そしていつかの学園長室へとと走った。


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