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 第8話 【黒髪ロング生徒会長】 1  



 *****


 

 寮から学校までの距離は歩いて三分程。

 つまり、走っていけば一分強で行けるわけで。


 「うおおおおおっ!!」


 とても女子生徒とは思えない荒々しい声を出しながら走る生徒が一名。

 一年生の『騎士きしアリス』である。

 

 (あと少しだ! この曲がり角を曲がれば……)


 道無き道を猛進し、最後のカーブ。

 ここを通れば後は正門だけ。

 これくらいの遅刻ならば、なんとか許容範囲だろう!

 そう新太が笑みを浮かべた瞬間、曲がり角の先に立つ一人の人影。

 しかし、いきなりスピードは落とせないーー


 (まずい、ぶつかるぞこれッ!)


 ビタンッ。

 刹那、人肌と人肌が当たる鈍い音がした。

 

 「痛いわ……もぅ……」


 なにやら聞いたことのある声。

 が、今の新太にとってそんなことはどうでもいいくらいの事態が発生していた。

 

 「うぐっ、ぐふぉっ……」


 視界を程よい湿度を保ったレースの布地がジャックしていたのだ……!

 さらに、柔らかく左右にぱっくりと分れたそれが顔面にずりずりと押し付けられてしまう。

 このままでは昨日のように股間が覚醒してしまう。


 「あっ、ごめんなさい! 乗っかっちゃってるなんて気付かないくてっ!」


 間一髪のところで助かった。

 しかし、代わりに新太の鼻筋から血が激流のごとく吹き出している。

 

 「た、大変! 私とぶつかって怪我を……」

 

 女生徒はそう言ってハンカチで血をゴシゴシとぬぐった。

 

 (この人、ぶつかって俺が鼻血出してると勘違いしてるのか。なんだか罪悪感がわくな……)


 新太はそう思いながらも、まさか興奮してしまったとは言えずに


 「あ、ありがとうございます……」


 と礼を言った。

 しかしこの生徒、やはりどこかで見たことがある。

 黒髪ロングの容姿。そして、上品な印象ーー


 (思い出したっ! 三年の生徒会長の御門院みかどいん沙織さおりさんだ!)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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