第3話 【アイリス・ステファニー】 3
一組、また一組と新太が思ったよりずっとはやく【ルームメイト発表】が桐生萌香によって進められていく。
そして、ついに。
桐生萌香の言葉に新太の心臓が破裂しそうなほどの音を立てた……!
「次のペアは……騎士……」
(とうとう来た!?)
女子寮の【ルームメイト発表】が終盤に差し掛かる今、まだ呼ばれていないのは新太と眼鏡をかけた地味そうな女の子が二人ほどだ。
(よし、残りは地味そうな子だけだ……! これならなんとか平和な寮生活を送れそうだ!)
「騎士アリスさんと……」
桐生萌香が言いかけた刹那、教室の扉が何の前触れもなくガシャリ、と音を立てて開いた。
透き通るような肌、金髪の髪、堂々とした眼光。
その容姿の全てが日本人離れしている女生徒が、そこにはいた。
「き、騎士さん! あれ、あの子だ! 俺が言った【二重能力】のア、アイリス・ステファニーさんは!」
「アイリス・ステファニー、あの子が【二重能力】の……」
桐生智也の言葉を聞いて食い入るように新太はアイリスを見つめる。
いや、見つめるというよりはにらみつけるといったほうが正しいかもしれない。
こいつのどこに一体そんな力があるんだ、と言わんばかりだ。
『あ、あれってアイリス・ステファニーちゃん?』
『私、雑誌で見たことある!』
『テレビにも出てたよね!?』
有名人の登場に沸き立つ観衆のように生徒は騒然とする。
「すいません、先生。道中で面倒ごとに巻き込まれてしまって遅れてしまいました」
「全然大丈夫だよー! いやーそんなことより先生はアイリスさんに会えて嬉しいよ! テレビで見るよりずっと可愛いなーこのこのー!」
「そ、そうですか……」
「おっ、もしかして照れてんのかな? 本当可愛いなー! あ、そうだ。今ね、【ルームメイト発表】してるんだけど、アイリスさんのルームメイトはね……」
(待てよ、嫌な予感……)
何かが崩れ落ちていく感覚。
そしてその感覚は偽りなく現実のものとなって新太を襲う。
「騎士アリスさんだから、二人とも仲良くねー! ちなみに席も騎士さんの隣だからね」
(アァァァァッァ! 安定した俺の寮生活がぁぁぁぁぁ!)




