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 第3話 【アイリス・ステファニー】 2 

 

 (とうとう、か……)


 黒影魔導学園に女子として入るにつれて、新太が一番心配していたことが今始まろうとしている。

 【ルームメイト発表】。

 それは、全寮制を用いているこの学園において重要なウエイトをしめるものだ。

 三年間、たった今発表されようとしている【ルームメイト】と相部屋になるのだから。

 

 ーーけれども、新太が心配しているのはそこではない。


 女子として入学するということは当然、女子寮に宿泊しなくてはならない!

 つまり、新太の【ルームメイト】は女子なのだ!


 「はい、じゃ!  発表するねー」


 話し声の聞こえていた教室に少しばかりの緊張が漂い始めた。

 さっきまで、盛大に口げんかを繰り広げていた桐生智也きりゅうともやもしらけてしまっている。

 

 (頼む……頼むからあんまり、キャラが濃くなさそうな女子が【ルームメイト】でありますように!)


 両手をあわせて祈るようにする新太。

 そんな姿をおかしく思ったのか、左隣から笑い声が新太の耳に聞こえてくる。


 「お前、深刻そうな顔しすぎだろそれ……ぷぷっ」

 「なっ、桐生さっきからしらけてんじゃん! それとも何? お姉ちゃんとの会話が終わっちゃって寂しいの?」

 「はぁ? そりゃねぇぜ……」


 仲が良くなった、と言えば語弊があるのかもしれないが知らない内に新太は桐生と遠慮なくしゃべれるようになっていた。

 それはもともとは男である新太にとって、やはり男友達の方が話が合うからなのだろう。

 

 「ほら智也と、えーと……騎士きしアリスさんだっけ?」

 「は、はい合ってます」

 「二人とも、発表するんだからもう少し静かにしてねー」

 「ごめんなさい……」

 「わるいな姉ちゃん」


 ほらお前のせいで怒られた、と新太がアイコンタクトを桐生に送ると無視された。

 

 (『姉ちゃん』系のいじりは地雷なのかもしれないな……もうやめておこう)


 「えーそれではまず女子寮から発表します」


 (うわ、いきなりかよ……)


 新太の額からは冷たい汗が垂れる。

 自分の学園生活を左右するであろう【ルームメイト】は果たして誰なのか……。


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