表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/21

第9話 朝のホームルームが地獄になった件

 翌朝。

 修二は重い足取りで学校へ向かっていた。

「……行きたくねぇ……」

 昨夜のことを思い出す。

 悪魔との同居。

 天使の編入宣言。

 しかも二人ともオカ研へ入部予定。

 意味が分からない。

 頭がおかしくなりそうだった。

「黒崎さん、

 待ってくださいよぉ~!」

 後ろから聞こえてきた声に、修二は肩をびくっと震わせる。

 振り向く。

 そこには制服姿のルルミアがいた。

「……うわ」

「うわってなんですかぁ!?」

 ルルミアはぷんすか怒る。

 だが。

 正直、驚くのも無理はなかった。

 黒髪――いや、よく見ると紫がかった長い髪。

 小柄な体。

 ぱっちりした瞳。

 制服姿になると、普通に美少女だった。

 なお角と羽は消えている。

「変装魔術ですぅ♪

 人間には普通の女の子に見えてます」

「いや十分普通じゃねぇよ……」

 通学中の男子たちがちらちら見ている。

「誰あれ?」

「めっちゃ可愛くね?」

「転校生?」

 ひそひそ声が飛ぶ。

 修二は頭を抱えた。

「目立つなぁ……」

「えへへ♪」

 ルルミアは悪気なく笑う。

 その時だった。

「おはようございます♪」

 後ろから、さらに澄んだ声が聞こえた。

「げっ」

 修二が振り向く。

 そこにはセラフィナが立っていた。

 白銀の長髪。

 透き通るような肌。

 姿勢まで完璧。

 制服姿なのに、妙に神々しい。

 周囲の空気が変わる。

「えっ」

「うそ」

「なにあの人……」

 通学路がざわついた。

 男子だけではない。

 女子まで見惚れている。

 セラフィナは優雅に微笑んだ。

「本日より、

 同じ学校へ通わせていただきます♪」

「その言い方やめろ」

「監視契約の一環ですので」

「朝から胃が痛ぇ……」

 ルルミアがむっとする。

「なんで朝から一緒なんですかぁ」

「監視対象の通学確認です♪」

「絶対それだけじゃないですよねぇ!?」

 修二は深くため息をついた。

 学校へ着く前から、

 もう帰りたかった。

   ◇

「……で、

 今日は転入生を紹介する」

 一時間目前のホームルーム。

 担任の一言で、教室がざわついた。

「転入生!?」

「この時期に?」

「男?女?」

 修二は机へ突っ伏していた。

 知っている。

 知っているが。

 現実逃避したかった。

「入ってくれ」

 教室の扉が開く。

 まず入ってきたのはルルミアだった。

「ひっ……」

 分かりやすく緊張している。

 クラス中の視線が集中した。

 男子が固まる。

「かわい……」

「黒髪めっちゃ綺麗……」

「やば……」

 ルルミアは黒板の前でぺこりと頭を下げた。

「る、ルルミ……じゃなかった!」

 いきなり危ない。

 教室がざわつく。

「る、ルル瀬るみあですぅ!」

 絶対とっさに決めた偽名だろ。

 修二は頭を抱えた。

「よ、よろしくお願いしますぅ……」

 ぺこり。

 男子の空気が一瞬で柔らかくなる。

「かわいい……」

「噛んだ」

「なんか小動物っぽい」

 女子側からも、

「めっちゃ緊張してる」

「可愛くない?」

 と好意的な声が漏れていた。

 ルルミアはおどおどしながら修二の方を見る。

 助けを求めるな。

 その直後。

「続いてもう一人だ」

 教室の空気が変わった。

 セラフィナが入ってきた瞬間、

 空気が止まる。

 静寂。

 ガチで静まり返った。

 修二は思った。

 あ、これダメなやつだ。

 セラフィナは教壇前へ立ち、完璧な微笑みを浮かべた。

「セラフィナ・――失礼。

 白城セラです♪」

 名前修正した。

「本日より、

 皆様とご一緒させていただきます」

 声が綺麗すぎる。

 姿勢も完璧。

 笑顔も完璧。

 男子が完全停止していた。

「えっ……」

「女神?」

「芸能人?」

 女子ですら見惚れている。

 担任が咳払いした。

「二人とも海外生活が長かったそうだ。

 仲良くしてやれよ」

 どんな設定だ。

 修二はもうツッコむ気力もなかった。

 すると担任が続ける。

「席だが――」

 嫌な予感。

「ルル瀬は黒崎の隣、

 白城はその後ろな」

 教室がざわついた。

「は?」

「黒崎?」

「なんで?」

 修二は静かに天井を見上げた。

 終わった。

 学校生活が終わった。

 ルルミアは嬉しそうに小走りでやって来る。

「よろしくお願いしますぅ♪」

 その勢いで、机へ太ももをぶつけた。

「いたぁっ!?」

「初日からドジるな!!」

 教室から笑いが漏れる。

 その後ろへ、

 セラフィナが優雅に座った。

「今後ともよろしくお願いします♪

 監視対象様」

「学校でその呼び方やめろ!!」

 クラスがざわつく。

「監視対象?」

「なにそれ?」

 修二は机へ突っ伏した。

 始まった。

 絶対、

 ろくでもない学校生活が始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ