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最強の剣士は、世界の低すぎるレベルに失望し、異世界へ転生しました。  作者: 木山楽斗


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第56話 昼寝は抱きしめられて

 俺は自室にて、クレッタにマッサージをしてもらった。


「おお、体が大分楽になった……ありがとう」

「そうですか? それなら、良かったです」


 俺がお礼を言うと、クレッタは少し照れたようになる。


 クレッタのマッサージはとてもうまく、体の疲れはかなりとれていた。

 ここまでの腕とは驚きである。


「これからも、マッサージして欲しくなったら、言ってくださいね」

「いいのか?」

「もちろんです。いつでも、してあげますよ」

「そうか、それなら、頼むよ」


 クレッタのマッサージは、これからもお願いしたい程のものだった。

 クレッタもそう言ってくれているので、これからもお願いするとしよう。


「お嬢様も、よくお願いしてきますからね」

「そうなのか?」

「ええ、やっぱり、肩がこるみたいで……」


 どうやら、ファラエスもよく頼んでいるようだ。

 肩がこるらしいが、その辺りは触れないことにしよう。


「胸が……」


 しかし、クレッタはそんなことを呟いてくる。

 あまり、言及しないで欲しいが、クレッタの性格上、そうしたいのだろう。


 だが、それ以上は何も言ってこないので、意図がよくわからない。

 俺が何も言わないので、諦めてくれたのだろうか。


「ふあー」

「あらら?」


 そこで、俺は思わず欠伸をしてしまう。

 マッサージが気持ちよくて、途中半分寝ていたのだが、その眠気が残っていたようだ。 そもそも疲れていたのも、あるだろう。


「すまん、少し眠気が……」

「いえ、いいですよ。マッサージの途中から、眠たそうでしたし……」


 流石に話の途中で欠伸をするのは失礼だったので、俺はクレッタに謝った。

 そんな俺を、クレッタは笑顔で許してくれる。

 からかってくるが、なんだかんだクレッタは優しい。


「申し訳ありませんが、少し待ってもらえますか? ベッドを整えないといけません」

「……ああ、それなら、頼む」


 俺がそんなことを思っていると、クレッタがそんなことを言ってくる。

 確かに、マッサージをしたことで、ベッドの状況は少し悪い。別に眠れないことはないと思うが、クレッタがそう言ってくれるなら、整えてもらおう。

 そう思い、俺はベッドから離れる。


「すぐに終わらせますから」


 すると、クレッタがすぐに作業を始めてくれた。

 俺は、椅子に座って待っておく。


「ふあー」


 椅子に座りながら、俺は少しうとうとする。

 眠気が襲ってきているので、あまり周囲の様子も気にならない。

 そのまま、少し眠ったような状態になる。


「スレイドさん、終わりましたよ?」

「え?」


 そんな風にうとうとしていると、クレッタの声が聞こえてきた。

 どうやら、準備ができたようだ。

 半分眠っていたので、どれくらいの時間が経ったかはわからないが、恐らく早い。


「大丈夫ですか?」

「ああ……」

「手を貸してください。ベッドに行きましょう」


 半分寝ぼけていた俺を、クレッタはベッドへと誘導してくれる。


「ここですよ?」

「ああ、ありがとう」


 クレッタの誘導でベッドに辿り着いた俺は、そこに寝転ぶ。

 これで、きちんと眠れそうだ。


「それでは……」

「うん?」


 そこで、俺の目が少し覚める。

 クレッタが、俺の隣に寝転がったからだ。


「あ、添い寝しようと思いまして……」

「添い寝?」

「嫌ですか?」

「いや、別にいい……ありがとう」


 よくわからないが、添い寝してくれるらしい。

 それは別に構わないし、どちらかといえば嬉しいことだと思うので、とりあえずお礼を言っておいた。

 きっと、クレッタも眠たいとかだろう。


「それじゃあ、ちょっと近寄りますね」

「あ、ああ……」


 俺の許可が下りたからか、クレッタは俺に近寄って抱きしめてくる。

 柔らかい感触と温かい体温といい匂いが、俺を包み込んでいく。


「お嬢様も言っていましたが、スレイドさんはいい抱き心地ですね」

「……抱き心地がいいって、なんなんだ?」


 ファラエスにも言われたが、俺は抱き心地がいいらしい。

 だが、俺はその意味がよくわかっていなかった。

 いい機会なので、クレッタに聞いてみることにしたのだ。


「安心できるということではないでしょうか?」

「そうなのか……」


 俺の質問に、クレッタはそう答えてくれる。

 あまり、クレッタもわかっていないようだ。


「まあ、いいか、とりあえず寝よう……」


 そろそろ、俺の眠気は限界を迎えていた。

 クレッタと密着しているため、少し緊張したが、今は眠気が勝っているようだ。 


「そうですね、お休みなさい」

「ああ、お休み……」


 こうして、俺とクレッタは眠るのだった。




◇◇◇




 俺は体に当たる柔らかい感触に気づきながら、目を覚ます。

 確か、俺はクレッタ共に、昼寝をしていたはずである。


 だが、奇妙なことに、俺は両側に気配を感じていた。

 つまり、クレッタ以外の誰かがいるということだ。


 そして、顔には柔らかい感触。この感触には、覚えがある。

 これは、ファラエスの胸だ。何度も触れているので、恐らくそのはずである。


 このことから、ファラエスがベッドに入ってきたと俺は推理した。


「……待てよ?」


 しかし、俺はそこで違和感に気づく。

 位置関係的に、ファラエスがいるのはクレッタがいた方であるはずだ。


 それに、背中側の気配と、体に当たる感触から、セリアであると予想できる。


 以上のことから、俺の両側にいるのは、ファラエスとセリアだと考えられた。

 つまり、この場にクレッタはいないということだ。


「……どうでもいいか」


 ここまで考えて、俺は自身の思考が無駄であったことを理解する。

 ファラエスとセリアが隣にいても、まったく問題はない。


 クレッタは、恐らく家事などをするため、起きて離れたのだろう。

 それで、帰ってきたファラエスとセリアがベッドに入ってきた。

 とても、自然な流れに思える。


「ん……」


 俺がそんなことを考えていると、ファラエスが声をあげた。

 どうやら、起きたようである。


「……スレイド、何度目かな? こうなるのは?」

「……三、四回目じゃないか?」


 起きるなり、ファラエスはそんなことを言いだした。


 俺がファラエスの胸で起きるのは、何故かお決まりになっている。

 そのため、そんな質問をしてきたのだ。


「あ、それとすまなかったね。クレッタから寝ていると聞いて、お邪魔させてもらったよ」

「ああ、別に構わないさ、そんなの」


 そこで、ファラエスがここに至るまでの事情を、大まかに説明してくれた。

 帰って来て、クレッタに聞いて、ここに来たようである。

 やはり、大体は俺の予想通りのようだ。


「多分、夕食まではまだ時間はあると思うよ? どうする?」

「……それなら、もう少し、寝ておきたくはあるが……」

「それなら、そうしようか。一度、位置を戻した方がいいかな?」

「え?」


 ファラエスからの提案に、俺は思わず声をあげてしまった。

 眠りの延長はいいのだが、この体勢を崩すのは惜しいことだ。


「……そんなに残念な声を出さなくてもいいよ。このままがいいなら、そうしよう」

「……いいのか?」

「今更駄目だなんて言わないさ」

「それなら、このままで……」

「うん、いいだろう……」

「ありがとう……ファラエス」


 ファラエスから許可が下りたので、俺はこのままの体勢をお願いした。

 この体勢は、色々と嬉しいので、ありがたい。


 ファラエスの側は、眠れなくなることもあるが、心地いいので安心できて眠れるという側面もある。胸の中でも、それは同じなはずだ。

 今回がどちらかはわからないが、別にどちらでもよいだろう。


「それじゃあ、お休み、スレイド」

「ああ、お休み」


 こうして、俺はファラエスの胸で、二度目の昼寝に入るのだった。

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