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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第48話 「痛み」

1度胸の痛みを感じてからは、誰かの近くにいると痛みがあった。

 美桜に相談したが、なんだか怯えたような顔を見せたので、そこで話は打ち切ってしまった。


 これから……

 これから長く生きて、美桜を幸せにするなら、病気の類は早めに解決しておきたい……!


 ということで、今日病院に行ってきたのだが、何も分からなかった。

 しかし、医者はずっと、緊張が張り詰めたような顔をしていた。

 なにかおかしかったなら教えて欲しかった。


 まぁ何か深刻な問題があったなら、しっかり教えてくれるだろう。

 何も教えてくれなかったということは、問題は……無かったんだろう。

 そう思って、私は家に帰った。


 ———————————————————————————

「お姉ちゃん……お帰りなさい。」

 美桜は心配そうな顔で、玄関まで迎えに来てくれた。

「ただいま!」


 私は美桜が可愛くて、元気よく返事をする。


 そのままリビングまで移動する。

 時間的にはまだご飯を食べる時間じゃないし、少しゆっくりしようかと思ったのだ。


 美桜も私に着いてきて、私がソファーに座ったら、密着するように真隣に座った。

 その足はとてつもない魔性の魅力を放っていて……


「ぐっ!体が——!吸い込まれる……!」

「お姉ちゃん!?」

 美桜が心配そうにそうに私の顔を伺った。


 私はそんな声を聞き流しながら、美桜の足に頭を乗せる。

 勝手に膝枕。


「……これは……人をダメにさせるなぁ……」

「……お姉ちゃん……」


 見上げると、

 美桜は安心と呆れが混ざった顔をしていた。


 私は多分凄い笑顔だっただろう。

 すごい幸せだし。


 それに……

 こうしていたら、なんだか胸の痛みがマシになるような気がした。


 ……実際少し楽になった。


 小さい痛みなのに、なぜか耐えることが難しい。

 なにかの衝動をずっと抑えているような……

 体がずっとウズウズとする。

 特に美桜を見ているとそうなるのだが……


 ……まさか、美桜のことをもうそんな目で見てるのかなぁ……

 この間断ったばかりなのに。


 私が耐えられなくてどうするんだ。


 絶対堪えよう。


 サラ


 美桜の手が優しく私の髪を梳く。


 私は優しい春の風が体を撫でているような感覚にさせられて、心地良さから目を閉じてその感覚に集中する。


 そんな穏やかな時間。

 だが、なぜか膝枕を……


 したことがあるような気がしたのは……


 どうしてだろう?


 ———————————————————————————


 今日はいつも通り中学校に行きました。


 ……1度あんなことがあってからは、

 凪ちゃんとの関係は正直気まずいものでした。


 ですが、凪ちゃんが真摯に謝ってくれましたので、仲直りをして、今は一日中凪ちゃんと一緒にいます。


 それが日常のようになっていました。

 それが普通でした。


 ……しかし、


 その状況が異常を越えて、普通になっていった状態だということを、


 ……今日思い出させられることになりました。


 ———————————————————————————


 私は教室に入ってすぐ、違和感に気づきました。

 教室内が騒がしく、そして、ある席の周りに人が集まっているのが分かりました。


 ……まさか……


 だって、そこの席は急に無くなりました。

 だからもう帰ってこないものだと……

 そう思っていたのに……


 私はその人の波を掻き分けて、中心に辿り着きます。


 そこには……


 無表情で周りの人と話す理子ちゃんが居ました。


「理子ちゃん!」


 私は思わず呼びます。


 まだ生きてたんだって。

 嬉しいって。

 また3人で過ごせるんだって。


 ……そう思いました


 ですが……


 理子ちゃんは呼ばれてすぐ、こちらを向きます。

 そして、


 ……目付きが鋭くなりました。


 その瞬間、周りにいた人たちが皆散っていきます。

 まだ休み時間なのに、

 それぞれの席に座っていくんです。


 そしてその人達はみんな無表情になって動きません。

 膝の上に手を置いて、背筋伸ばす姿は理想の学生そのものですが、急に全員がそうなると……不気味でした。


 席を立っているのは私だけで、席に座ったままの理子ちゃんは私を鋭い視線で貫きます。

 ……その理子ちゃんは私が知っている理子ちゃんとは違って、体に恐怖が走ります。


「……理子ちゃん、久しぶり……です。この期間、何があったんですか?」


 理子ちゃんは私の問など聞こえていないかのように……いえ、顔をしかめたことから聞いてはいたようですが……


 私の質問には答えず、理子ちゃんから質問を返されます。


「お姉さんをどこにやったの?……美桜はお姉さん思いだもんね。魔法少女にさせないために、私達にさえ家の場所を教えてくれなかったもんね。……で、どこ?」


 私の顔に冷や汗が垂れます。

 

 ……なぜ理子ちゃんがそんなことを聞くのでしょうか?

 それに、私が知っている理子ちゃんとは全く雰囲気が違うことにも恐怖を抱きます。

 

 そして……


 ……段々と湧き上がってくる、お姉ちゃんとの平穏が崩れ始めている実感。


 ……私はここから逃げ出したい気持ちでした。


 でも……


 そう思った瞬間、


 座っている生徒が一斉に私を見ます……


「ひっ!?」


 そして、口々に喋り出します。


「美桜ちゃんそれはいけないよ!」

「美桜ちゃんそんなことをする子だったの!?」

「お姉さんが悲しむよー?」

「ほらほら!言っちゃいなよー?」


 その言葉たちは私の頭に直接響くようで……


 言ってしまってもいいかも……

 なんて考えになった瞬間……


 ガラララ


 ドアが開く音がして、


 咄嗟にそちらを見ると、


「……なに?この状況」


 凪ちゃんがいました!


「凪ちゃん!助けてください!」


 凪ちゃんは私の言葉を聞いた瞬間に表情を一変させ、

 そして辺りを見回して、理子ちゃんを見つけまふ。

 凪ちゃんは驚いた表情を見せますが……


 しかし……


「なるほど。状況は理解したわ。……理子がここにいるってことは、あの人からは解放されたのね?」


 ……私には分からない話を始めます。

 

「ううん。それは違う。元々私はあの人に縛られてなんて無い。……それより、お姉さんの居場所を教えて?」

「……美香さんの?知ってどうするの?」

「そんなの決まってるよ。愛してもらう。」


 ……あまりにも直球すぎる言葉に、私の顔は赤くなります。

 ……凪ちゃんは呆れた顔をしていました。


 私は同時に……

 もしかして、私は能愛ちゃん以外の人間も、出し抜いた形になるんじゃないか……?

 と不安感が蘇ってきます。


「話にならないわ。早く元に戻してちょうだい?」


 そう凪ちゃんが堂々と言って……

 理子ちゃんは少し笑いました。

 ……それはなんだか純粋な笑顔だったような気がします。


 その瞬間に、世界がまた動き出しました。

 生徒たちはビクッと体を揺らして、各々の好きなように行動し出します。

 誰かに仕組まれたような形ではなくて、本人達らしい自由な行動に見えました。


 ……私は呆気にとられます。


 凪ちゃんが私に「席に戻りなさい」そう言って、ハッとした私は席に戻りました。


 ……それでいいのか、私の中に疑問は残ったまま...

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