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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第40話 「夢の中」

「天国!天国!天国!天国!」


 その声で

 私は私は目が覚めた。


 私は目を開けると、

 そこは1面真っ白な世界で……

 遠くには黄色がかった宮殿のようなものが見えるが、それだけ。

 1歩歩いてみると足元から不思議な反発が。


 足元を見ると、地面が赤色っぽい白い雲で出来ていた。


 雲の上……?


 私は疑問に思いつつも、最初に聞こえた声の出処を探す。

 方向としては宮殿の方だったような気がする。


 私は宮殿に向けて歩きながら、宮殿を観察する。


 宮殿は見たことがないほど大きい建物だ。

 遠くから高さ500mぐらいの山を見た時のような……


 それほどの大きさを感じる。


 私は近づいているつもりだが……

 建物が大きすぎて着くまででも時間がかかりそうだ。


 歩きながらもっとよく見てみると……

 宮殿には門のようなものがなく、入口にもドアが付いていなくて、不用心な様子だ。

 そして、入口の手前に点のような小ささの……多分人間が騒がしく動き回っているのがわかった。


 その動きは上下に激しく揺れる動きで、多分なにか喜ばしいことが起きた時の動きなんだろうと推測した。


 私はゆっくり行っても仕方ないので、走って向かう。


 本気で走ったわけでは無いが、ジョギング程度の速さで約1時間ほど走って、やっと宮殿の入口まで来られた。


 私は宮殿を見上げて、その大きさに首が痛くなってくる。

 上がどこまであるか、見てみたかったのだが、宮殿はどうやらかなり上の方で1段床が広くなる構造みたいで、上はその床で見渡すことができない。

 横幅は縦よりは小さいみたいだが、それでも私が端から端まで走るのに20分ぐらいはかかりそうな広さだった。


 私は改めて動き回る人を見てみる。

 やはりその顔は笑顔で、なにか嬉しいことがあったようだが……


 服装が布をそのまま体に巻き付けたような独特な格好だった。

 頭の上には光る黄色色の輪っかが見えて、

 私はここが天国なのではないかと思った。


 手にはざるを持っていて、何かを運んでいるようだ。その運んでいる何かをまた誰かのざるに入れる。そうやってバケツリレーみたいに宮殿の周りを回っていた。

 丸で踊るように上下に跳ねながら何かを渡すさまは、お祭りを想起させて、だからこそ、私は不思議に思った。


 だって、


 ここにいる人間はみんな、姫愛縲さんと同じぐらい穢れていたからだ。


 それもあの笑顔を見る限り、自分たちに自覚なく穢れている。


 そして、天国!という声の出処はこの人間達のようだ。

 ざるから渡す時にその掛け声を行っているようだ。


 私はこの人々がどこまで何かを運んでいるのか興味が湧いたが、理子ちゃんのことの方が気になるので、素直に宮殿に入る。


 宮殿の中は天井画とても高く設計されているみたいで、高さは普通の家の3階分はありそうだった。


 床にはガラス張りになっていて、ガラスの中には見たことの無い男女の銅像が見下ろせるようになっていた。

 壁にもその男女が別のポーズで彫られている銅像が沢山並んでいる。


 私は門番や受付のようなものを探したが、

 宮殿内には人が見当たらなかった。


 そのまま1階を探していると、2階への階段を見つけたので、そのまま登ってみる。


 2階も1階と全く同じ景観で少し不気味だった。


 2階には子供が1人だけいて、その子供は何かを手に持ってお手玉をしていた。

 その何かが子供の手に落ちる度にぶちゃっと水がはねるような音を鳴らすのが不思議だった。


 許可を取って入っている訳では無いので、人に見つかるのは避けたかった。

 そのまま子供のことは気にせず壁沿いに進み、

 階段をそのまま登る。


 3階ではさっきの子供より小さい子供が、地面に置かれた何かを犬のように、口を地面に近づけて食べていた。


 私はそれもまた不思議ではあったが、また無視して次の階を登る。


 次の4階もまた、歪だった。


 4階には3階の子供よりも小さい、小学生くらいの子供が2人いた。

 子供達は逃げる……人の足?を抱き捕まえて、そのままその足を1つずつに引き裂いて……


 足からは血が噴き出し……


 子供達は気にした様子もなく、それぞれ1つずつ足を持つとチャンバラを始めた。

 足は足とぶつかる度に、その状態を悪くさせていく。


 悪趣味な光景に少し背筋が寒くなるが……


 どうせ私の方が酷い人間なのであまり気にしないようにする。

 そのまま5階に登る。


 5階には4階よりも小さい幼稚園生ぐらいの子供が10人ぐらい集まって、何かでできた砂場のような場所で、砂遊びのようにその何かを使って、何かを固めて城を作っていた。


 ……何かは赤黒い破片のようなもので、固めるために幼稚園生がぎゅっと押し付ける度に赤い液体を吐き出す。

 そして、子供たちがその城に穴を開けて、赤い液体をその穴に通す。


 液体は赤黒く煌めいていて……


 私には酷く覚えがあるものだったが……


 しかし、そんなものあるわけないと自分を納得させ、また上に登る。


 6階。


 ……そこは床が他の部屋より広く……


 壁が無く、外が丸見えになっていた。


 そして、赤ちゃんが何十人もその床の縁に立っているのが分かった。


 赤ちゃんたちは必死に何かを押していて……


 そのまま何かを地上に向かって落とす。同時に何人かの赤ちゃんも落ちる。


 グチャア


 嫌な音を立てた。


 ウアーー!!!


 スポーツの歓声のような声が地上から上がった。


 私は赤ちゃんに気づかれないように離れた位置から地上を見下ろしてみる。


 すると……


 ……形も分からないグチャグチャになった人……のようなものが落ちていて……

 人々がそれに群がって、我先にと体に手を伸ばして引きちぎる。

 そしてその引きちぎったものをざるに乗せて運び出す。

 宮殿の周囲の定位置に戻ると、またバケツリレーを続ける。


 そして……

 赤ちゃんだったであろう小さいグチャグチャな何かには一切を手を触れず……

 赤ちゃんだったものは次第に地面に水のように溶けて言った。


 地面の雲はよりいっそう赤くなった。


 私は顔を顰めて……


 ……このままだと嘔吐してしまいそうだったので部屋の中心まで戻る。


 ……理子ちゃんはどこなの?

 ここにいる訳じゃないの?


 私にはいくつも疑問があったが……

 この宮殿をまず見ないことには始まらないことにも気づいていた。


 そして、この宮殿に、まだ上があることにも……


 ふと気になって、入口側と真反対の床の淵に立つ。


 そして地面を見下ろす。


 バケツリレーの終わりが気になったのだ。


 ……しかし……


 ……私は何も見ていない。


 ……見ていないんだ


 言葉には表したくない……


 だが、わたしの頭はそれについて観察してしまう……


 ざるに乗せた肉片が、ある一点に運ばれる。


 それは……


 ……はち切れた理子ちゃんの変身時の服を着ている……


 体の脂肪が垂れすぎて、立っているのか座っているのかも分からない、お腹の脂肪がそのまま地面に広がっているような……


 ……顔には恍惚とした嫌らしい笑みを浮かべた男性の、ガバッと空いた口の中だった……


 ざるはどんどんその口の中に流し込んでいく。


 男は口の中に入る度に顔を歓喜で歪ませながら、咀嚼して飲み込む。


 そんなことがずっと行われていて……


 ……私にはもう見たくないものだった。


 私はここが理子ちゃんの内面ということを思い出して……

 ……理子ちゃんと早く会いたくなった。

 それは傷を舐め合うなんて私よがりな理由じゃなく……


 ……無性に抱きしめたくなったのだ。


 私は次の階段を登った。

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