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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第38話 「少女の家」

私は少女に続いて、家の中に入っていく。

 家の中は大きなリビングと、他はキッチンやトイレ、お風呂、寝室といった、リビングが大きいこと以外は普通のものしかなかった。


 いや、全てがピンク色なのはかなり印象的だが……物としてはおかしいものは見当たらなかった。


 少女の正体への答えは掴めなかったが、私は少女にそのまま着いていく。

 少女は振り返ると、


「リビングで適当にくつろいでてよ!私、お茶でも入れてくるね!」

 そう言ってスキップしながら、左手のキッチンに消えていった。

 私は大人しく正面まで歩き、リビングのソファーに座る。

 リビングとキッチンは吹き抜けになっているので、少女が鼻歌を歌いながら手を素早く動かしているのが見えた。


 少女は本当にお茶を用意しているようにしか見えなかったので、適当にテレビでもつけた。


 ニュースを見てみたが、管理局の襲撃に関する話題はなかった。

 本来なら大ニュースだと思うが、

 やっぱり管理局の闇に触れることになるのでその話自体が消されたのかもしれない。


 ボーッとニュースを見ていると

 ホアちゃんを置いてきたことが心配になった。


 だから、


「来て」


 ホアちゃんを呼び出した。

 光とともにとても小さくなって手のひらほどのホアちゃんが出てきた。


 ホア、と鳴く。


「そのまま入ってていいよ」


 私は口を開ける。


 ホアちゃんは私の口から入っていって……


 私はごくんと飲み込む。


 ……今お腹から直接ホアちゃんを入れたらこの部屋を汚してしまうし、こうするしか無かったが……


 ホアちゃん消化されないよね?


 まぁ大丈夫か。半分私みたいなものだし。


 ……私は少し時間が経ちすぎているような気がして少女の方を見ると、ちょうど少女もこちらに来ているところだった。


「はい!お茶だよ!」


 少女が差し出したコップは彩度が高いピンク色で、なんだか目が痛くなるような気持ちされつつ、

 コップの中を見てみると……


 これまたピンク色の液体が入っていた。


「……なにこれ?」

「麦茶だよ!」


 少女はそのまま距離を開けて私の隣に座った。

 そして、当たり前みたいにピンクの液体を飲んでいた……


 スンスン


 私は少し匂ってみる。

 匂いは確かに麦茶のもののようだが……


 ……まぁいいや。


 喉が乾いているし、飲ませていただこう。


 私はコップを傾けて、口の中に液体を入れる。


 液体は私の舌に当たった瞬間、パチッと音を鳴らした。

 この時点で私はもう嫌な予感がしたが……


 ……味が甘すぎる……


 砂糖のような甘さがこれでもかと響いている。

 どうやってなのかは分からないが、麦茶の苦味と砂糖のような甘みが交互に口の中を刺激する。

 その上炭酸のようなパチパチとした刺激が、余計煩わしい。


「…………」


 ……私はどうにかその全てを飲みきった。


 ……はっきり言ってまずい。

 でも、言葉にはしない。

 それが礼儀のような……


 ……今更何を言っているんだろう私は……


「どう?うちの麦茶、美味しいでしょ?」


 ……麦茶に美味しいとか美味しくないとかあまり聞いたことがない。

 その判断の土俵に立った時点で、もう変わった麦茶であるという証拠のような気がする。


「……美味し…………人を選ぶと思うよ」


「そっかぁ……この麦茶、私の仲間も1度飲んだ日から、絶対飲んでくれないの!私が1から育ててるのに!」


 ……農家?

 この人の正体農家だったの?


「あ、私の仲間と言えばね?カナタって人がいるんだけど、カナタって希望って書いてカナタって読むから自分の名前が気に入らなくて——」


 その人は仲間について喋りたかったのか、やけに饒舌に笑顔で喋る。

 私はその間にこの家に感じる違和感について考える。


 ……この家にはこの少女以外も、もう1つ気配がある。

 元はこういう探知することは出来なかったが、ツバメを……見ていて……


 ……………………


 ……ツバメを見ていて軽くできるようになった。


 そしてこの家には2つ気配があって……

 意識を集中すれば家の外に、もう1つ気配があるのが分かる。

 そして、集中すれば余計に、目の前の少女がとてつもない圧力を放っていることにも気づき、少し冷や汗をかく。


「でね?能愛にね?私の研究室に遊びに来てねって言ってるのにね?」

「……のあ?」

「あっ!やっと反応した!……分かってるんだよ?美香ちゃんがカナタとも能愛とも関係があるのは!」


 ……まさか

 この人も……研究室の一員なのか?


 でも……

 良かった。

 kと能愛は優しくて綺麗だ。


 でも、この人は黒くないところがないぐらい穢れているのが分かる。


 なら研究室と関係があっても別に構わない。


「kと能愛には言わないでください。」

「言う理由がないよ!私が管理局を潰すために利用させてもらうんだから、止められるリスクなんて自分から踏むわけないじゃん!」


 はっきり言ったなぁ……

 でもそっちの方が信用出来る。


「そっか。良ければあなたの名前も教えてください。」

「私は姫愛縲(キアラ)だよ!主に配信を研究するという建前で魔法少女ちゃんたちを日々推しているの!」


 そっか。

 この人が。


 ……話を聞いた時は小百合さんを隠してたのが姫愛縲さんだって話だった

 姫愛縲さんは管理局側の人間のようには見えない。

 どうやらなにか誤解があるみたいだ。


「姫愛縲さんが小百合さんを隠していたんですか?」

「またそれー!?私してないって!ただ……配信を……盛り上げたくて……管理局に私の機材を貸したことがあって……もしかしたらそれのせいかも!てへっ!」


 ……それのせいだろうな

 なんだろう。

 kとは別方面でポンコツな匂いがする。


「あーそうだ!この家に来たからには、美香ちゃんにも紹介してあげないと!着いてきて!」


 姫愛縲さんはコップを机に置いて、立ち上がって歩き出す。

 私も同じように置いて、歩き出した。


「ここ!」


 姫愛縲さんは寝室まで私を連れてきた。


「美香ちゃんとは知り合いかな?うん。確かそうだったはず!じゃ、ごたいめーん!」


 姫愛縲さんは寝室のドアを開けた。


 ……その中は天蓋付きのベッドと、傍に大きなタンスがあるだけの部屋だったが……


 ……ベッドの中心には……


「理子ちゃん……!?」


 骨が浮いてきていて、目が開いていて乾いている……

 そんな、

 とても生きているとは思えない理子ちゃんが寝ていた……


 私は自分より下を見た安心と同時に恐怖が体を走った。


 私は理子ちゃんに急いで近づく。


「理子ちゃん!?大丈夫なの!?」


「あー理子ちゃん今話せないから……」


 気がつくと私は姫愛縲さんに掴み掛っていた。


「どうして!?」


「理子ちゃんは……管理局にやられて……」


 姫愛縲さんは顔を伏せて、唇を噛んだ。

 

 ……姫愛縲さんがまた1つ穢れたのを感じた。


「もしかして……嘘ですか?」


「ありゃ!バレちゃった!うん!理子ちゃんは私がそうしたの!」


 私はそれを聞いた瞬間に変身し、姫愛縲さんに対して拳を振りかぶっていて……

 

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