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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第32話 「邪魔」

事前にツバメから場所を聞いておいてよかった。


 なんだ、こんな分かりやすい所にあったのか。

 もう変身しておく。


 私は電車で移動し、港まで来ていた。

 その港は都市のように発展しており、ビルがいくつも並んでいる。

 そして、海沿いを歩いていると、一際大きいビルがあった。見上げれば首が痛くるほどで、しかし実際には地下の方が大きいそうだ。


 ……行こう。


 策なんてものは無い。


 正面から行くだけだ。

 だって、その方が……


 沢山殺せるもんね


 ウィーーン


 自動をドアをくぐって中に入ると、魔法少女らしき女の子数人がロビーのソファーで寛いでいた。


 ……あぁそっか。

 確か地上階が表向きな事務所としての管理局。

 地下からは裏向きな、人を使い潰したり脅したり拷問したり……好き勝手やってる管理局。


 地上の人々は地下で何が起きてるかは知らないんだった。


 ツバメが私にそう言っていた。


 じゃあ地下だ。

 地上で殺しは……


 ……私に殺気を向けてくれたら……


 私には自覚が無かった。

 今の私は殺気をを垂れ流していて……

 普通の魔法少女なら、警戒態勢に入るということには。


 私が真っ直ぐロビーを突っ切ろうとすると、


「ちょいと待ちな。」


 私の前に立ち塞がった女の人がいた。


「なに?」


「あんた、そんな状態で、ここを通れると、本気で思ってんのかい?」


「……それはどういう意味?やるの?やるならかかってきてよ。ほら、早く。じゃないと殺しちゃうから。」


 女は少し怯えた様子を見せる。


「な、なんだいあんた……」


 女とのやり取りを見ていたのか、まだ小学生に見える子供たちが集まってくる。


「こ、ここから先は通しません……!!」

「危ない人は通しちゃダメって言われたもん!」


 計3人。


 殺したいなぁ……

 殺したい……


 髪を掴んで壁に頭を打ち付けたい……

 頭から血を出したらその血をほじくって、そのまま穴を開けてあげたいなぁ……


 でも……

 まだ我慢。


 すぐに、すぐにもう発散できるんだ。


 彼女たちは私に殺気を向けてくれない。


 殺しちゃダメだ。

 ダメだったら……


 そんなことを考えていたら……


 キンッ!


 甲高い金属音が鳴って、……突如私の後ろから現れた凪が3人を切ってしまった。


「……何してるの?その子たちは殺す必要無かったよね?」

「私たちの邪魔になるなら切るしか無いじゃない」


 ……あぁ……酷い顔だなぁ……

 私も同じ顔をしているんだろうけど……

 でも、こいつと一緒は嫌だ。


 嫌だから……


 こいつだけ……


 こいつだけ先に食べても……


 いいかな?


「……ホアちゃん、食べて?」


 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ


 バリバリバリバリ


 ホアちゃんが私のお腹を食い破って出てくる。


「……は?」


 凪が驚いている隙に……


 パクっ


「よくやったね。ホアちゃん。着いてきて。」


 ホアちゃんは食べたと同時に体積が大きくなり、お腹に入らなそうだったので連れて歩く。


 ……あはは。


 あの顔。


 あの顔は……


 ………………そそらないなぁ……


 やっぱりグズじゃダメだ。


 綺麗な……穢れてないやつを……ぐちゃぐちゃに汚したい……


 うん……食べたい……


 もっと食べたい……!


 この中に満たしてくれる人は……いるかなぁ


 ううん。そういえばツバメと咲さんも捕まってるんだった。


 ダメかなぁ……?


 いいよね?もう、何でも。


 だって、今1人自分の意思で殺したんだよ?


 だったら、何人殺しても、もう一緒じゃん


 うん。


『ツバメと咲さんは管理局に殺された』

 って事で、いいよね?


 うんだって、違和感が無い。

 私がやったなんて、誰も思わないよね?


 ………………ごめんね。ツバメ。


 私はもう止まれないみたい。

 ツバメのことも、可愛がってあげるから……


 家に帰ったら美桜っていうデザートもあるし……


 私って周りの人に恵まれてるなぁ……


 ———————————————————————————

「侵入者!射撃します!」

「……もういいよ」


 パン!パン!パン!

 プシュプシュプシュ


 私は笑みを浮かべた男から銃を打たれていた。

 その度に私の体から鮮血が舞うが……


 勝手に治るし気にしないことにした。


 ……何より今で地下3階。その道中で会う全ての人が、同じ顔、同じ笑顔、同じ対処。


 何も面白くない。

 同じ顔を何回壊したって、私は満たされないんだ。


「……ホアちゃん」


 ホアアアア!!


 ぱくっ


「また大きくなったね……」

 もうホアちゃんは通路全体を塞ぎ、壁と床を擦りながらどうにか進んでいる。


「……これからは殺した方が良さそうだね」


 ……なんてことを考えていたら、曲がり角から顔を覗かせているお爺さんがいた。


 ……やっと違う顔……

 でも……

 お爺さんはそそらないなぁ……


 あぁダメだ……

 全く満たされない……


 女の子がいい。

 お爺さんや先程からいる警備は、見ただけで分かる。

 穢れている。


 触れるだけで膿が移りそうな汚さだ。


 私は……純粋で綺麗な、女の子をぐちゃぐちゃにしたかったんだなぁ……


 もうすぐ満たされるよ……


 私は迷わず、お爺さんが待つ曲がり角を曲がる。

 ……しかし何故かお爺さんは次の曲がり角から、また顔を覗かせていた。


「……うざいなぁ……ホアちゃん、もう食べちゃって」


 ホアちゃんを通らせるために、私は壁際に下がった。


 ホアアアア!!


 ホアちゃんがズリズリと周り物を粉砕しながら、次第に曲がり角まで行く。


「ほれ!」


 パーン!!


 お爺さんのところまで着いたと思ったら、

 ホアちゃんのお腹に穴が空いた。


「……あ、お腹の中にまだ残ってたんだ……」


 何回も見た同じ顔の警備がたくさん見えた。

 そいつらは大抵今の攻撃で身体を貫かれて動けなくなっていて……


 しかし、アイツは生きていたようで、ヨレヨレと汚いアイツが出てくる。


 私はつい駆け出して頭をはたいていた。

 パーン


 アイツは何も言わない。


 そのまま倒れた。


 ほら満たされない。

 空虚だ。

 やっぱりダメだ。

 こんなクズじゃダメだ。


 ホアちゃんの穴の先から、お爺さんが話しかけてくる。

「お主……管理局に入る気はないかの?お主はまともじゃ無さそうじゃ!ワシの元に居れば、好きなことがし放題じゃぞ?」


 そっか……

 管理局に入れば……


 そうだね……

 確かに。

 確かに好きなように女の子で遊べるね。


 悪くないのかな……


 でも……このお爺さんの顔が気に食わないなぁ……


 うん。一応何ができるかだけ聞いてみようかな。


「もし私が管理局に入ったら、何をさせてくれるの?具体的に言って。」

「お主が入れば……管理局が擁する魔法少女全員をお主につけてやっても良いぞ?代わりに管理局に手を出すのはやめてもらうがの!魔法少女達には夜の相手でもしてもらうが良い!溜まっておるんじゃろ?見りゃわかるわ!ワハハハハ!!」


 ……は?

 私をそんな浅い人間だと思ってるの?

 それに……

 気持ち悪い。


 そんなことさせられる訳ないじゃん。

 私はただ……

 ただぐちゃぐちゃにしたいだけだから。


 そんなことに興味は無い。


 無いな。

 

 こんな穢れの塊は今すぐ……

 

 殺そう。


 私は勢い良くホアちゃんの穴を通って、お爺さんに肉薄し、拳を突き出した……


 までは良かったが、お爺さんは拳が当たった瞬間に消えてしまった……


 クソムカつく。

 大人しく殺されもしないなんて。

 私に手間を取らせやがって。


「……ん?」


 しかし、……


 老人は代わりに女性をを置いて行ったみたいだ。

 女性は辺りを見渡すと、驚きの顔をあげた。


 その顔には見覚えがあって、

 そして、


 やっとそそる相手だった。


「美香……どうしてあなたがここにいるの?」

「『咲』さんっ!私はただ皆を救いたくて……!!」


 あはは

 こうやって演技をしてからさ、

 仲間だと思わせてから、


 後ろからぐちゃぐちゃにしたらさ、

 どんな顔するかな?


 あぁ体が熱くなる!

 咲さん、いい声で鳴いてね?


「あたし……さっきまで何を……」

「お爺さんに操られてたのを!私が助けました!」

「そうなのね……!よくあのジジイから……あたしを助けてくれてありがとう。ここからは一緒に行くわ」


 咲さんは私を感謝の籠った目で見る。

 ……そそるなぁ……


 咲さんはどんな顔になるんだろう……

 どう絶望してくれるんだろう……


 ダメだ。

 まだ堪えろ。

 今じゃまだ最高の瞬間じゃない。


 気持ち良く、いちばん気持ち良いタイミングで殺してあげるのが、せめてもの礼儀だろう。


 だから咲さん、一先ずは


「……一緒に行きましょうね……?」

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