第4話 「序章」
時刻は午後4時。
私の姿は美桜の通う中学校の校門の前にあった。
いわゆる出待ち。
私はここで凪ちゃんを待っていた。不審者に対する疑問や、美桜が隠していること、それらを凪ちゃんなら教えてくれそうな気がした。
パラパラと学生が校門を抜けて、帰宅していく。
私がこの中学校に通っていた時と同じく、この時間が放課後というのは間違いないだろう。
母校ではあるが、私の知り合いはほとんど残っていないだろう。そんな仲、守衛とは知り合いだったので、手を振ってみたら返してくれた。これならここで待っていても大丈夫だろう。
一応、美桜が校門を出るところは見たので、鉢合わせの心配はない。ちなみにその時は全力で隠れていた。
「あれ〜お姉さんじゃ〜ん」
声の方を見ると、揶揄うような顔をした理子ちゃんがいた。
「あー理子ちゃんこんにちはー」
「こんにちわ〜……フフッ!お姉さんさぁ、こんな所で何してるの〜?通報されちゃうよ〜?」
「多分大丈夫だよ。そこの校門にたってる守衛さんは知り合いだから。それより、凪ちゃん探してるんだけど、どこにいるか知ってる?」
そう言った瞬間、理子ちゃんの口端がニタァと歪んだ。
「お姉さ〜ん!ナギナギ狙っちゃってるの〜?ナギナギは私の彼女なんだよ〜?」
「それ、嘘でしょ?流石に騙されないから。」
「うんうん!お姉さんもわかってるねぇ〜……それでそれで?ナギナギになんの用?」
そう聞いた理子ちゃんの顔は、先程の揶揄うような顔なのに、どこか真剣味を帯びていた。
「凪ちゃんに魔法少女のことで聞きたいことがあってね。別に理子ちゃんに聞いてもいいんだけど、理子ちゃんも忙しいでしょ?凪ちゃんなら暇そうだし」
嘘だ。理子ちゃんは、この間美桜を泣かせたから、あまり良い印象を持っていない。聞くなら凪ちゃんが良かった。
私の言葉を聞いた理子ちゃんは揶揄うような顔をやめ、真剣な顔になった。かと思えばすぐ笑顔を浮かべた。
「ううん!理子は部活に入ってないし、暇だよ!ナギナギは部活だし、ナギナギに代わって、私が教えてあげるよ〜!」
理子ちゃんは今まで見た顔の中で1番子供らしい笑顔を浮かべていた。そんなに嬉しいことだろうか?
凪ちゃんが部活で、理子ちゃんが教えてくれると言うなら、少し怖いが、教えてもらおう。
「ほんと?ならお願いするね」
「うん!任せて〜!」
理子ちゃんが近くに公園があると言うので、そこに向かう。何も知らない、何を聞けばいいかもよく分からない私は、公園で話していい内容なのかな?と少し疑問に思った。
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その公園は遊具が3つほどあるだけの、住宅街に囲まれた公園だった。
「ここでいいの?」
「うん!座って座って!」
理子ちゃんに促されたので1つのベンチに2人で座る。
「理子ね、お姉さんが私たち魔法少女のことを知ろうとしてくれて嬉しいんだ〜!だから、理子に答えれることなら、何でも答えるよ!」
理子ちゃんは揶揄うような顔を一切せず、無邪気な笑顔を浮かべて私を見る。
……理子ちゃんは意外と信用できるのか?
何はともあれ、取り敢えずまず聞くことがある。
「確認なんだけど、理子ちゃん、凪ちゃん、美桜、その3人が魔法少女ってことであってる?」
「そうだよ!私たち3人は、ここら辺一帯を守る役目を与えられてるんだ〜!」
「守るって何から?」
「怪獣からだよ!お姉さん、配信見てないの〜?」
理子ちゃんは少し揶揄うような口調だが、どこか嬉しそうだ。
理子ちゃんの話を聞いて、私は少し驚いた。それと同時に、思い当たったことがある。
理子ちゃんは多分……
「ごめんねー。見てないや。」
「そうなの!?絶対見てよ〜!理子たちが必死に戦って怪獣から街を守ってるからさ〜!」
理子ちゃんの大振りな手振りと、勢いと笑顔に、つい微笑ましくなってしまう。
魔法少女のことが本当に好きなんだろうな。
「分かったよ。これからは見るね。理子ちゃんも戦ったりするの?」
私の言葉を聞くと、理子ちゃんは動きをピタリと止め、捻り出すように話した。
「もちろん。私も、命を賭して戦ってるよ」
その時の理子ちゃんは笑顔と呼ばれる顔だったが、私にはなにか含みがある顔に見えた。
その顔も含めて、やっぱり。
理子ちゃんは……
理子ちゃんは多分……
魔法少女としてのキャラ設定を守っている。
私はそのことに深く関心してしまった。
「もっと聞かせてよ。魔法少女のこと。」
私は理子ちゃんのそんな精神に感激したと同時に、理子ちゃんの笑ってる顔がもっと見たくてそう聞いてみる。
「もちろんだよ!……お姉さんには知る義務があるから」
理子ちゃんは話している途中で急に真剣な表情を作る。
あぁ、なんてすごいプロ精神なんだろう。
それにまだ中学生である彼女がこんなにも頑張っているなんて。
「魔法少女って脚本とかあるの?急に始まるイメージがあるけど」
「脚本なんて無いよ!これ理子たちも困ってることなんだけど!いっつも、怪獣が攻め込んできた時から配信されてるけど、理子たち怪獣がいつ来るかなんて分からないからさぁ〜」
理子ちゃんはプンプンだよ!なんて言いながら怒ったふりをしている。
怪獣がいつ攻め込んでくるか分からないから、脚本が無い……か。
もし本当にそうなら大変だろう。
いつ攻め込んで来るかも分からない敵、更にはその際には演技まで求められる。
もし本当にいつ配信が始まるか分からず、脚本もないならたいへんだろう。
しかし……
そう私に思わせることも含めてロールプレイなのだろう。理子ちゃんのプロ精神、あっぱれ。私も一瞬、本当に怪獣が急に攻め込んできて、魔法少女たちは配信されながら急に戦わされている、そんなふうに思ってしまったのだから、理子ちゃんは上手いと思う。
もちろん。
もちろんそんなことはないのだが。
そういえば凪ちゃんに聞こうと思ってたのはこういう話ではなかった。理子ちゃんが美桜に怒っていた理由、美桜が話さなければいけなかったことが気になっていた。
理子ちゃんが知っているのは間違いないし、今なら答えてくれるかも。
「そういえば、美桜が家族に話さなきゃいけなかったことってなんだったの?」
「やっと聞いてくれたね」
理子ちゃんは笑顔をやめた。
そう、やめたが正しいような気がする。
理子ちゃんの表情はコロコロと変わる。その表情の1個1個に違和感を感じる。
なのに、無表情の時が1番違和感を感じない。
どうしてだろう?
理子ちゃんは無表情なまま、話し出す。
「私たち魔法少女は地球を守るために、実は命がけで戦っている。その上、なりたくてなっているわけじゃない。勝手にやらされている。魔法少女に選ばれたその日から、拒否権はなく、巻き込まれる。そして怪獣と戦う義務が国からもたらされる。断れば国によって死、断らなくても、怪獣と戦っていればいずれ死ぬ。」
理子ちゃんの目から、涙が流れてきていた。
そう、それは流れていたというのが正しいように見えた。理子ちゃんはその涙を拭う様子もなく、ただ淡々と話し続けた。
その様はまるでどうしようもないものを、どうにか伝えようとしている、ように見える。
私は単純な人間だから、そんな様を見せられると、本当のことのように感じてしまう。
理子ちゃんは私がなにか言うまもなく、そのまま話し続ける。
「私も美桜もナギナギもなりたくてなった訳じゃない。ある日突然、私たちの前に現れた怪獣。私たちはその瞬間に、変な生物と勝手に契約を結ばされて、魔法少女にされた。そして、勝手に魔法少女の真実を植え付けられ、怪獣が現れたら、体が勝手にその場に向かうようになった。そして、その場から逃げようとすれば体に激痛が走る。」
理子ちゃんは息継ぎの間も感じないほど、淡々と話し続ける。その言葉一つ一つに重みがあり、そして理解が追いつかない事ばかりだった。
「配信は怪獣の存在を隠すための、ただのカモフラージュ。もし、怪獣が本当に暴れているという、真実を知るものがいたら、その人は魔法少女にされる。国は秘密が広がるのを恐れている。国は、どこに出るか分からない甚大な被害を出す化け物の存在を認める訳にはいかなかった。」
理子ちゃんは機械のように淡々と吐き出し続ける。
私は置いていかれないように、必死に聞き続けた。
それだけ、理子ちゃんも必死なように見えたからだ。
「美桜があなたに話さなかったのは、あなたが魔法少女の真実を知ると、魔法少女にされる恐れがあったから。」
私なりに咀嚼した結果、
私には1つ聞かなければいけないことができた。
それは、
今は裏設定のようなものを教えられているのか?
それとも、まさか、これまでの話は本当で、本当に魔法少女は命懸けで戦っているのか。
「……理子ちゃん、ひとつ聞いていい?」
「なに?」
「理子ちゃんが言ってる話って、本当の話?それともこれまでの話全部が、脚本なの?」
理子ちゃんは私のことをただ力なく、見つめ、口を開いた。
「——ほ」
その瞬間。
理子ちゃんの顔が急に強い怒りに染まった。
「お姉さんごめんなさい。この話はあとで。」
理子ちゃんは、ベンチから立ち上がるとスマホを取りだし、なにかの操作をしたあと、
「ここなの!?」
そう叫んだ。
そのあと、理子ちゃんは私の方に振り向いて、
「お姉さんのことは絶対守るから安心して」
そう言って、理子ちゃんが前を向いた瞬間、
ピキピキピキ
ガラスにヒビが入るような音がして、
公園のど真ん中、私たちの目の前、その空間が、
その空間が、裂けた。
空間から、人1人分はありそうな大きい腕が出てきて、そのまま這いずるように、化け物が出てきた。
ズーーン!
化け物は受身を取ろうともせず、そのまま地面に落ちる。
化け物は立ち上がると、狼のような顔に、大きい人間のような体が付いていて、手足に鋭い爪が生えていて、全長5mぐらいあった。
この威圧感はおかしい。まるで、本当に存在するみたいではないか。
「お姉さんはその配信カメラより後ろに下がっておいて〜」
理子ちゃんは作り物のような笑顔で、後ろを指さす。
そこにはいつの間にカメラが浮いていた。
言われた通りに移動すると、理子ちゃんは、「変身」とだけ唱えると、見た目が大きく変わった。
黄色と白色のフリルがたくさんついた、ドレスを身にまとい、髪型がポニーテールになっていた。
これが魔法少女姿ということだろう。
しかし、怪獣といい、魔法少女への即座な変身といい、全く作り物のような気がしない。
というか、まるでそこに本当にあるような気さえする。
理子ちゃんは何も言わず、怪獣に向かっていく。
大きく飛んだ理子ちゃんの右パンチが、怪獣の顔を捉えるが、怪獣は顔を逸らしただけで、反撃に左爪で大きく理子ちゃんを裂く。
理子ちゃんの服は破れ、体にまで大きな爪痕ができる。
血が、血が勢いよく吹き出す。
「グッ……ふぅふぅふぅ!!」
理子ちゃんは声をあまり上げず、そのまま勢いよく、飛び出していき、今度は怪獣のお腹を右手でパンチしてみるが、それもあまり効いていないようで、怪獣はそのまま膝を思い切り振り上げ、理子ちゃんを膝蹴りで蹴飛ばす。
理子ちゃんは吹っ飛んだが、逆に吹っ飛んだことで、傷が少なかったようで、見た目よりは大丈夫そうに見えた。
しかし、「ハァ……ハァ……ハァ……」
理子ちゃんからは苦しそうな声がずっとしている。
急に化け物が動き出したと思ったら、理子ちゃんが左手で掴まれ、そのまま地面に押し付けられた。
「グッ!!」
地面に倒れた理子ちゃん目掛けて、
怪獣はもう片方の手をグーに固め、勢いよく振り下ろす。
今度は左を振り下ろす。
今度は右を
左
右
...
「ぐあっ!!」
「ぐっ!!」
「あっ!!も、もうやめ」
「ぐぁ!!」
「あ……」
「……」
「……」
理子ちゃんは悲鳴ひとつあげなくなった。
これが本当に作り物なのか?これに本当に台本はあるのか?理子ちゃんの痛みは本物じゃないか?理子ちゃんは死んでしまうのではないか?
そう思ったら早かった。
私には、ある確信がある。
不審者。
あの男は、ずっと私の近くにいるのではないかという確信が。
3回目に会った時は、口で呼べばきた。
なら今回も来るだろう。
不審者は私に魔法少女にならないかと言った。
……いいだろう。なってやろう。これが作り物なのか、そうでないのか、分からないが、
理子ちゃんの苦しむ姿をこれ以上見たくない。
「どこかにいんでしょ!?私のことをずっとつけている不審者!私を魔法少女にして!」
そう叫んだ。
瞬間、視界の右端に、あのモヤが写った。
「分かった。フフ。やっとだね。さぁ、君を魔法少女にしてやろう!ついに時は来た!!最低で、最悪で、最強の魔法少女の誕生だ!これが私の研究成果だ!!」
彼は右手に、私の目を焼く、強い光を放つ何かを持っていた。
それを私の
私の胸に突き刺した。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
痛み?熱い?何が起きているのか分からない。ただ自分の心臓がドクンドクンと脈打つ音がずっと聞こえる。ドクンドクンドクンドクン…ドクン……ドクン
心臓がゆっくりと落ち着いていく。
恐る恐る自分の胸を見ると、傷はなかった。
しかし、その服が変わっていることに気がつく。
なんだこれは。
どうなっている?
「なんだこれは!?どうなっている!?なぜ、なぜ!?」
彼は何故か狼狽えている。
「どうしたの!?何か問題でもあったの!?」
彼は私のことをじっと見ると、目を細めて、そしてため息を着いた。
「いや、成功だ……君はなんの問題もなく、魔法少女として覚醒した。どうしてだろうな。」
不審者はなぜか疲れたような顔で言った。
「覚醒したなら良かったでしょ!じゃあ、私はもう行くね!」
私は怪獣を倒そうと、怪獣の方を向いた瞬間、
「あ、」
怪獣の振り下ろした爪に顔を抉られた。
左側が急に見えなくなった。
「あぁぁぁぁぁ!!!あ、あ、あ?痛く……ない?」
あれ?
痛くない?
ええと、理子ちゃんは悲鳴を上げてたはず。
ということは痛い?
でも私は痛くない。
………………そうか!
理子ちゃんは演技をしてたんだ!!
理子ちゃんは痛くなかったけど、痛いフリをしていた!
そうに違いない。
なるほど、つまり、理子ちゃんの話していたことは全て裏設定的な話だったか。
良かった。理子ちゃんたち魔法少女が本当に怪我をおっているような現実はなくて。
とはいえだ。
理子ちゃんは苦しんだフリをしてしまったあとだし、今は動くと違和感がある。
私が倒すしかないだろう。
どうやったら倒れてくれるかな?
取り敢えず、左側が見えないのは不便なんだけど?
私は自分の左顔にそっと触れてみると、手に血がべっとりと着くのを感じた。
なるほど。そこまでリアルなんだな。
と思っていたら、なんの前触れもなく、急に左側が見えるようになった。
……なるほど。
怪我を負うのは見た目だけで、あとから勝手に治るんだな。
……どういう仕組みなんだろ?
まぁいいや。
怪獣は私のことを倒したと思っているのか、また理子ちゃん方に向かっていた。なので、私は走って追いかけてみる。
しかし、これはごっこ遊び。もちろん演技は忘れない。
「う、うぉぉぉぉぉぉ!!そ、その子はやらせないぜー!!」
すごい棒読みなのを自分でも感じる。演技に問題がある。
だから向いてないと思ってたんだ!
私は右拳を勢いよく突き出し、怪獣の足にぶつける。
バン!!
大きな破裂音と同時に、私は後ろに大きく吹っ飛ばされる。
「え?」
何が起きた?
私は立ち上がろうと、右手を着こうとして、
右手がないことに気づいた。
右手は肩から無くなっていた。
しかし、痛みはない。血も勢いよく出ているし、なんか中身も見えているが、まぁ多分大丈夫なんだろう。
しばらく見ていると、再生していく過程を見れた。
それを見ていると、絶対これは遊びに近いものだと理解できた。ARやVR?とかいうなにかなんだろう。先程まで理子ちゃんが危ないと思っていたから、こんな呆気ない結果で笑いが出てしまう。
「ふふふふふふ……アハハハハハハハ!!」
「おっといけないいけない。怪獣は……ありゃ」
「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
あれほど強そうだった怪獣は見当たらず、片腕と頭と、ぐちゃぐちゃになった胴体だけが落ちていた。呆気ない。安心したら笑いが止まらない。
「一応トドメ刺しといた方がいいかな。」
私はまた怪獣に近づいて、右手を振り上げて、怪獣の頭に、打ち付ける。
するとまた破裂音を上げて、私は吹き飛ばされる。
それはジェットコースターよりも早く、これまた楽しい。
また右手がなくなっていたが、まぁ治るしいいか。
怪獣を見ようとしたが、怪獣らしいものが見当たらず、
また笑う。
「ハハハハハ!!」
私加減しなさすぎかも。
多分、怪獣はめちゃくちゃ弱く作られてるから、理子ちゃんみたいに、やられたふりをして接戦の演出をしないといけないんだな。
おっと、そういえば理子ちゃんは……
倒れたままこちらを見ている。配信は……もう終わってるのかな?カメラが見当たらないや。
理子ちゃんに近づき、声をかけてみる。
「理子ちゃん、理子ちゃん、もう大丈夫だよ!怪獣は倒して、配信も終わったから!」
「ヒ、ヒィッ!」
理子ちゃんは怯えたように身体をビクッと震わせた。
「ん?……まぁいいか。立てる?」
手を差し伸べてみるが、理子ちゃんは私の手を得体の知れないものをみるみたいに、訝しげに見つめるだけだった。
「ま、まぁ……いいけど……」
いや、待て、まさか脚本にないのに割り込んできた私に対して怯えているのか?……ありえる。そして、今からこの荒れた公園のセットとかを片付けるために出てきたスタッフとかに怒られると……
嫌だな。
逃げようかな。
「ごめん理子ちゃん。割り込んじゃって。ごめんね。逃げることにするよ。」
私は理子ちゃんを置いて走り出す。
「あ……待って……ぐぅ……助け…を……」
理子の必死な声は美香には届かず、美佳は走り去るのだった。
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私美桜は今日、魔法少女管理局と連絡を取りながら、現れた怪獣の元へと、向かった。
向かいながら、配信を見て、状況を知るのがセオリーだ。
しかし、
その映像にはお姉ちゃんが映った。
あれほどなって欲しくなかったお姉ちゃんが魔法少女になった?
ありえない。理解したくない。
ちゃんと私は言ったはずだ。
言ったはず
言ったはず
私は家に帰ってきたあと、怒りのままに妖精を呼び出した。
妖精は県や、都、府などの地域ごとに1匹ずつ、担当されている。そんな妖精を妖精の意思に関係なく、呼び出す権利を魔法少女は持っている。面談のため、魔法少女についてしるため、色々な用途で使われている。
「私、言いましたよね!?お姉ちゃんは巻き込まないでって!!なんでこんなことになってるんですか!?」
「知らん。ワシに聞くな。ワシはなんもしとらん。」
「そんなわけないでしょう!?お姉ちゃんが魔法少女になったなら、この地域を担当してるあなたが契約したはずです!!」
「じゃからなんもしとらんと言うとろうに。」
「そ!」
「分かった分かった。もうそう怒るな。わしからひとつ教えてやろう。お前の姉は、わしら妖精によって魔法少女になっとらん。」
「は?」
「わしらも驚いとるんじゃ。どうやって、魔法少女になったんじゃろうなぁ」
「な、何を言って……嘘ですよね……そんなはずは…」
そんなはずはない。魔法少女になるには、妖精と契約するしか、、、
「……は?そういえば、お姉ちゃんに付きまとってる不審者が、魔法少女になれって言ってくるって……」
「ワシら妖精は拒否権を与えん。状況を見るにそいつに魔法少女にされたんじゃろうな。」
「はぁぁぁ!?そんなばかな……」
魔法少女になっただけでも最悪なのに、その力の源がなにかも分からない?
お姉ちゃんはこれを分かっているのか?
いや、わかっていなくても教えられない……
教えてあげられない……
これから自分の命を使って、怪獣と一生戦い続ける呪いにかかったのに、その上、その力が正式なものではないなんて、言えるわけない。
このことはお姉ちゃんには秘密にしなきゃ。
そして、
お姉ちゃんは絶対私が守る。
お姉ちゃんに手は出させない。




