第27話 「確認」
……ここは管理局本部の更に奥にある、管理局の闇そのもの……
「ワハハハハ!!お主、変わらんなぁ?」
老人はニヤリと笑って小百合に言う。
「ふふふ〜貴方のせいじゃないですかぁ〜……咲ちゃんにこんな真似させて……タダで済むと思ってるんですか〜?」
小百合は震える手でレイピアを抜く。
「やめておけ!そんなヨロヨロのお主に負けるほど落ちぶれてはないわ!それとも……試してみるか?ほれ」
老人の右肘から手にかけてゆっくりと鱗が生えていく。
老人の背丈より大きくなった腕は、龍を想像させる腕になる。
「ほれ?どうした?来てみろ」
「……ふふふ〜来てみろ……だなんて、馬鹿なことを言いますねぇ〜脅しの道具はちゃんと脅しとして使った方がいいですよ〜?」
小百合は手に複雑な基盤がむき出しになっている、なにかの機械を持っていた。
「それは……ほう?いつ盗んだんじゃ?手癖が悪いのぉ?」
「ふふふ〜手癖の悪さであなたには敵いませんよ〜……これだけの魔法少女を操るなんて……許せませんね〜」
「その程度の魔法少女ならいくらでもくれてやる!お主と『雷神』と『聖女』さえいれば、困ることは無い!なんならそやつらは好きにしてくれてよいぞ?なんならお主につけてやっても良い。その程度の魔法少女でも夜の相手ぐらいはできよう!ワハハハハ!!」
小百合は眉を少し動かしただけだった。
そして迷う様子もなく、基盤を握りつぶす。
「お主……壊すことが解放に繋がるとよく分かったな。やはりお主は危険じゃ。お主はワシが持っておかなければいかん、不穏分子じゃ。お主と『雷神』と『聖女』、これだけ揃えば奴も……『あ奴』だって殺せよう……ワハハハハハハ!!」
「……あら〜?私が従うなんて、言ってませんけど〜?」
「強がりじゃなぁ!ほんならやってみたらどうじゃ?ほれ、ワシを殺してみい?」
「言われなくとも——」
小百合がレイピアを突き出した瞬間、老人の姿が消え……
「……逃げましたね〜最悪です〜」
ピンポンパンポーン
部屋にあったスピーカーから音が鳴る。
『おぉ。やっぱり逃げて正解じゃったな!まだそんだけ動けたか!ほんで、もう気づいとるんじゃろ?お主はもうワシの術中におる。まぁ分かりやすく言えば、逃げ勝ちじゃな!?まさか効くまでこんなに時間がかかるとは思わんかったが、……おぉ、本当に直前に動いとったんじゃな。まぁ良い。そのままそこで待機しておれ。』
「……………………」
小百合は何も答えない。
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「は?あたし今何して……」
あたしは頭上から拡大ゴーグルを引き出してきて、目元に位置を合わせる。
目線の先に映っていたのは……
「小百合っ!?生きて……えっ?銃痕?」
……あたし、あたしはさっきまでの記憶がない……
頭によぎるのは管理局に好きに使われていた『聖女』の姿……
まさか……!
恐る恐る右手側にある銃の放射口を触ってみると……
「あっつ!」
指がじんじんと痛む
撃った……?
あたしが撃った……?
あ、謝らないと……!
あたしはそんなつもりじゃなかったって……!
ギュイーーン
けたたましい音を立てながらあたしの機体は動く。
しかし、その先にいた小百合があたしとは違う方向に飛んでいくのが見える。
……追いつけない……!
先程まで小百合がいた地点付近にあたしは着地した……
……あたし何やってんだろ……
「うわー……かっこいい……」
私が放心していると、見たことがない人間が私の機体を見てそう言っていた。
……感じるのは渦巻くような強い魔力。
魔法少女……なのは間違いないはずだが、どこか変な気もする。そんな人。
「じゃなかった!あの、ここら辺でピンク色のツインテールの子見ませんでしたか!?」
「……あたしは見てないわ。いや……」
さっき小百合が飛んでいく直前にチラッとそんなのを見た気もする。位置的に小百合となにか会話していたのか?
「見た……かも知れないわ。」
「えっどっちに行ったか分かります!?」
……この女性は気配がすごく怪しい。それにちょうど小百合と話していたっぽい人を探しているなら監視の意味も込めて……
「あたしが案内するわ。着いてきて」
「はい!ありがとうございます!」
女性は嬉しそうに喜ぶ。
「あ、私美香って言います。そのまま美香って呼んでください。」
「あたしは咲よ。あたしも咲でいいわ。」
……この時のあたしは分かっていなかった。この女性と関わったことで、あたしの人生が大きく変わってしまうなんて……




