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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第24話 「きっつぅ...」

ここは大学の外周にある山の中。


 「うちが魔法少女になれば、美香を本当に助けられるんよね?」


 ……美香を治すため。

 能愛ちゃんとの関係を見直させるため。

 ……魔法少女になることのリスクって配信に映るとかそれだけじゃないのをうちは少しづつ感じてた。


 だって、うちが認識してる世界と世界が認識してる普通がズレていたから。

 

 例えば目の前のスーツ姿のモヤパパ活男だってそうだ。


 最初は子供に見えていた。

 しかし、今となってはモヤがかかった姿に見える。


 そして、美香の反応を思い出す限り、今の見え方が美香の見え方と同じなのだろう。


 この間の水族館の件だって、誰も不自然なくらい気にしなくなったが、うちには全く納得がいっていない。


 魔法少女には何かある。


 それは分かってる。


「あぁ……現状では、君が一番美香を助けられる可能性が高い。」

 モヤ男は真剣そうにゆっくり頷く。


 それでも、友達が道を踏み外してるなら止めるのが友達っしょ。

 ……中々簡単には行かなそうな気ーするけど……


「なら、うちを魔法少女にして。なってあげる。魔法少女。」


「そうか……!ありがとう……!なら、さっそく……いいか?」


「うん。」


 私はじっとモヤ男を見る。

 魔法少女オタクとして、魔法少女になる方法にはずっと興味があった。

 なる瞬間は配信には映らないのだ。


「……あんまり見ないでくれ」


そんなことを言ってモヤ男はモジモジと体をよじる。

 

「……照れないでくださいよ。パパ活をしてるくせにきしょく悪い……」

「居心地が悪いんだ!照れてなど無い!……これは私の研究成果の一つだ。恥じることなど無い。妖精の力を使わずに魔法少女になれるなんて、本当に凄いことなんだぞ?」


 ん?

 ちょっ待ち


「え?変態モヤ男さんはその妖精の力を使わなくて大丈夫なんすか?」

「正確には使えないんだ。だが問題は無い」

「いやいや。ダメっしょ。なんか怖いっす」

「四の五の言うな。美香を救うと決めたんだろ?」

「えー……変態な上に押しも強いとか、きしょすぎ……」


 モヤ男は少し考えると、


 どこかを指さす。


「あっ!!あれは!!」

「……は?」


 チラッとモヤ男がこちらを見る。


「あれ!!あれを見てくれ!!」

「は?……嘘でしょ?」


「………………」

「………………」


 っ!急にモヤ男が消え——


「隙ありっ!」


「ぐうっっ!!」


 は?このモヤ男なんしとん

 うちの胸貫いてるけど?

 うちこれ死ぬでしょ

 隙も何も無かったし

 ……てか速っ

 変態で動き速くてその動きの速さで胸触ってくるってやばいよ?


 ……こりゃ美香にも悪影響だわ

 美香の原因こいつね


 はぁー……


「……っあれ?生きとる……」

「フハハハハ!!大成功だ!!よし!!よし!!何も問題なく成功したのは初めてだ!よし!!よし!!」


「……成功?」


 いや成功したなら良かったけどさ

 何当たり前みたいに何も問題なく成功したのは初めてとか抜かしてるん?こいつ

 じゃあ今まで何かしら問題あったんかい

 そんなもんやるなよ。

 まだ19歳の乙女だぞ


「……娘が増えたな……」

「……えっ?」


 これ、代金求められてなかったけど、もしかして魔法少女にされる代わりにパパ活しなきゃいけないの?

 

 キツイって……

 うちお金貰えるならまだしも、友達救うためにパパ活は無理だな……


「いや……こちらの話だ。3人目の娘ができて、少し嬉しくなってしまった。」

「……3人目」

「あぁそうだ。君には美香を魔法少女の側面からサポートして欲しい。」

「魔法少女の側面から?」

「美香は一般人とは……少しズレた理由で今はあぁなった。それは魔法少女じゃないと、起こりえないことだ。だから君も魔法少女になれば解決できるはずだ!」


 ……ん?

 はず?

 

 ……ほーん……

 

 ……こいつなんの計画もなく実行しやがったな


 変態パパ活無計画モヤ男


 最低な名前だよ………


「じゃ、うちどうしたらいいとか教えて貰えない感じすか?」

「うーん。そうだな。美香の家に行ってみてくれないか?」

「家?うち家知りませんけど」

「私が近くまで送ろう」

「はぁー……」


 送り狼しようとしててクソキモイんすけど……

 それもパパ活の売り子側の家で送り狼とか……


 きっつぅ……


「うち自分で行けます」

「……どうやって?場所も分からないんだろう?」

「あーそれなんすけど……何となくわかるような気もします」


 ……なんとなく美香のような感覚……

 うーん。なんと言えばいいか。

 足跡だけで、親しい人なら誰かわかるじゃん。

 あれの感覚版……


 いや、うちも今初めて味わったから説明できんけど。


「そうか。では任したぞ。あーあと、何か問題があればこの番号に連絡してくれ。私はしっかりとすぐ返すからな。」


 ……うちに主導権握らせて合意の上にしたいってこと?

 きしょ……


「……分かりました……」


 モヤ男は少し私を見た?がすぐに切り替えたのか話し出す


「では私はここで失礼する。望のことも見てやらないといけないからな……」

「はいはい。さいならー」


 ……通い父きっつぅ


 ———————————————————————————

「うーん。思ったより普通の家」


 時刻は17時。

 

 私の目の前には本当に普通の四角錐の屋根に二階建ての木造住宅があった。


 今日は美香授業無いから大学来てなかったしな。

 三日ぐらい会ってないけど

 家おるかな


 ここまで来れば

 

 …………大学の中で感じてた『息苦しくなるぐらい強くて、それでいて流れる水のように清らかな気配』が薄くなったから少しは気が楽だ。


「よし行くか」


 ピンポーン


「はーい」


 ん?美香の声じゃないな


 ガチャリ


「どちら様でしょうか?」


 うっわ可愛い子出てきた。

 美香ぁ……

 何人連れ込んでんの?


「うち美香の友達のツバメって言います。美香います?」

「お姉ちゃん?お姉ちゃんなら、いますよ。……お姉ちゃーん!ツバメって人が家に来てますー!」


 あ、妹だった。

 美香ごめん。


 ……いや、妹のふりをする活動、いも活の可能性も……


 いや……ま、ないか


 普通パパ活とかそんないっぱいは身近に無いもんだしね


……お?美香の気配が近づいてくる。

 

「おー!ツバメー!この間までごめん!私、改心したから、今日からちゃんとするから!迷惑かけてごめんね!」


 ……あ、あれ?見慣れた美香がいるんだけど……


 ……治ってよかったよ……

 うん……


「て、ツバメ!その見た目!……え、魔法少女になったの?それともそういう服装?」

「……魔法少女になった」

 

「ぇぇええぇえぇーー!!!」


 ……こっちが驚いてるわ……

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