第21話 「止まれない」
「本当にこんな雪山を通らなきゃ行けないんですか……?」
「あぁ……すまない……」
「いえ……責めてるわけじゃなく、あなたはお姉ちゃんを背負ってくれてますし……」
「美桜様、もう少しで着きますから……!」
「はい……」
うん
美桜
もうすぐだよ
もうすぐ、こいつと一緒に
能愛のお腹をぐちゃぐちゃにするからね
アハハハハハハ
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「着いた。あそこに見えるのが能愛の住処だ。ただ、先に言っておく。能愛とは戦いになる可能性が高い。そして、能愛はとてつもなく強い。半径10kmぐらいは射程圏内だ。いいな?」
「お姉ちゃんを治させるためです……!望むところです!」
「はい……私も、この力を……使います」
「望……すまないな……」
「じゃあ行く——」
「死んで。」
ビューーー!!!
来たね
「なんだ!?体が……凍って……」
「炎よ!」
「美桜様危険です!自分ごと燃やされては!」
「知り……っ!ません!ここで凍るよりマシです……!」
「能愛!!随分な挨拶じゃないか!!私たちはただ、美香を治して欲しいだけなんだが!?」
「研究の邪魔をしたのは、そっちでしょ?ほら、死んで」
バゴーーーン!!
「熱っ!!……え?体が……溶けて……」
「……能愛ぁぁ!!今日は本当に許さない!!覚悟しろ……っ!!私の娘に手を出した報いを受けさせてやる!!」
「能愛様でも!今回ばかりは見過ごせません……!ご覚悟を!!」
キーーーン
「弱い。死んで」
グサ
「ぐっ……ご主人様……」
バタン
「望っ!?」
あれ?
……望ちゃんまでやっちゃったんだ?
あとが怖くないの?
全部返してあげるよ?
さっきの音は、私に包丁を刺したみたいに、望ちゃんにも同じことをしたのかな?
じゃあ、2回だね。
2回包丁で刺してあげる。
私は執念深いよ?
忘れてあげないから……!
アハハハハハハ!!
「カナタも邪魔」
「なんだ!?これは!?辺りが暗く……はっ!?上か!?グッッッ!うおおおぉぁぉ!!!」
「援護します!九尾!」
コーン!
バゴーーーーーン!!
「はぁはぁ……相変わらずめんどくさい能力だ!!今のは誰の力だ!?」
「うるさい、死んで」
び、びちゃびちゃびちゃびちゃ
ゴリゴリゴリゴリゴリ
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ふーん。
……kもやっちゃったの?
それも!
とんでもないやり方だったんじゃない!?
私、さっきの音聞いたことあるなー?
骨が削れる音、だよね!?
うんうん。
能愛の骨も粉々にしてあげるよ!
何本残して欲しい!?
1本!?
2本!?
アハハハハハハ!!
なーんて
……そろそろいいよね
そろそろ、殺しても私、許されるよね
だって、
望ちゃんも、kもやられたんだよ?
ふたりが可哀想じゃん。
なら、いいよね?
2人がやられてさ、やったのは1人。
ほら!
命の価値が釣り合ってない!
……聞こえる?
私の中にいるお前!
私の体を食べていいよ……?
アハハハ!!
それ、胃でしょ!?
食べて美味しいの?
……そうなんだ!
じゃあ食べながら聞いてね?
あなたも分かってるよね?
私の体はもうそろそろ終わる。
わかる?宿主の体が、使えなくなるって言ってるの!
……アハハハ!
分かった!分かったから!
嫌なんだよね!
だから、今、私の心臓を噛んだんだよね?
ならさ、協力してよ。
目の前にいる能愛ってやつ、こいつさ、
……美味しそうじゃない!?
あんなに可愛い子なんだよ!?
絶対美味しいよ!!
うん?
食べたくなってきちゃった?
うんうん
それでいいの。
だからさ、
食べていいよ?
好きに食べて、いいよ?
それに、食べ終わったら私の体に住んでいいよ?
アハハハ!!
……嬉しいんだ?
じゃあ、行こっか。
ほら、行って?
グチャ、バキ、グチャグゴバキグチャグチャ!!
「な、何!?お姉ちゃんから何か……え?お姉ちゃん?だ、大丈夫なんですよね……?お腹に穴……空いて……ますよ……?」
「……こんなに大きく育つなんて、ありえない。それに宿主を食い破るなんて。」
美桜。美桜。大丈夫だよ。
あいつが出て行ったらさ、
どうなるか、分からない?
ピク
まずは手なんだ。
パチ
次は目ね
足
お腹
胃
腸
心臓
骨
血液
…………
……
完全に治った!
体が動く!
私は立ち上がる
「あぁ……っ!これで殺せるっ!」
「お姉ちゃん!?どうして……?どうして治って……」
心配と恐怖がないまぜになった顔で私を見ていた。
「大丈夫だよ!ほら、ギュー」
「あっ……お、お姉ちゃん……で、でも、なにか様子が……」
「ふふ。気にしない気にしない!お姉ちゃんに任せて!」
私は能愛を見据える。
そして、私の愛しいペットは……と
おや。空を旋回してるね。
私が命令を出してないからかな?
意外に律儀だね?
それとも食べたいだけ?
どっちでもいいけどさ!!
「ほら、おいで?」
ホォォォォォォォォォ!!
大きな大きなクジラは私の前に止まる。
「アハハハ!邪魔で見えないじゃん!!どけよ!」
クジラの腹を殴ってやった
ホォォォォォォォォォ!!
クジラの腹が貫通し
クジラは悲鳴をあげる。
「動くなよ?今見えてるんだから!ねぇ!能愛ちゃーん!今から殺してあげるねー?もう!どうなっても知らないから!」
手を振ってあげる
「……なに?……どういうこと?」
「こういうことだよ!ほら!行けっ!」
私はクジラの腹をまた殴る。
ホォォォォォォォォォ!!
クジラ悲鳴をあげつつ、凄まじい勢いで能愛へと向かっていく。その勢いは立つのが難しくなるほどの風を起こした。
それほどの巨体が目に見えないぐらいの速度で、能愛に突撃する。
「……反射」
見えない壁に止められ、
クジラが頭をよじらせて、痛みに喚く
よっわ。
使えないなぁ
ま、いいか!
なら育てればいいもんね!
ブチッ
私は腕をちぎってクジラの口元に投げる。
そして、また腕を生やす。
……クジラは私の腕を食べると、大きさが一回り大きくなった。
そして、また能愛に突撃する。
「……っ反射!」
……クジラは能愛の出した障壁を貫通し、その小さい体にぶつかった……!
「あぐっ!」
やるじゃん!
気持ちいい……
もっと見せて?
その苦しそうな顔!
私たちにやった分さ、全部!全部返してあげるから!!
「アハハハハハハハハハ!!アハ、ハハハハハハハハハハハハ!!」
「お姉ちゃんっ!!と、止まって!!だめ、それ以上はダメです!!お姉ちゃんじゃなくなっちゃう気がします……!」
美桜が私を強く引っ張る。
「美桜は、何もしなくていいの。ただ、……ただお姉ちゃんの腕の中で、眠ってて?」
私は美桜を抱きしめる。
だって、美桜はもう限界だ。
寝ているところを連れ出されたのだ。
美桜の壊れた頭に夜更かしは毒だろう。
だからさ、
眠って?
ぎゅー
私は美桜を抱きしめながら、徐々に美桜を横に倒していく。
「や、やめて……くだ……さい……わた、私は……お姉ちゃんを……た、助けたくて、……ここに来た……のに……」
「うんうん。その気持ちがお姉ちゃんは凄く嬉しい!ほら……」
……チュッ
おでこにキスしてあげる
「お休み……美桜……」
美桜最後まで抵抗していたが、ゆっくり、目を閉じた。
……じゃあここからはさ……
私の好きなようにやっていいよね!?
あの能愛の顔が、苦悶に歪む様をもっと見たいんだ!!
腸を引きずり出して、目の前でバラバラにしてあげる!!
アハハハハハハハハハハハハ!!




