第20話 『殺してやる』
「これは……っ!治せない……っ!私には治せない……!!」
そっか。
しょうがないよ。
私にもどうなってるか分からないもん。
でもさ、私が生きてるってことはさ、
魔法少女に、
されてるんだよね?
なら、今は死なないんじゃないかな……
だから、泣かなくていいんだよ、望ちゃん。
「お姉様っ……!お姉様……っ!死なないで……!お姉様……っ!」
なんて、聞こえないよね。
多分私が治らない理由はさ、クジラの時と一緒。
だから、再生限界なんじゃないかな……
待ってたら、きっと治る……
なんて、言えないよね。
私の体を、食べているやつの気配がまだするんだ。
狡猾だね。
kと望ちゃんには見つからなかったんだ?
お前が食べ続ける限り、私の体は治らないんだぞ?
なーんてね。
言ってみただけだよ。
私の体が治る速度より、お前が食べる速度のが上回ってるのかな?
だって、能愛に何かされてる時も、治らなかったもんね。
お前が悪いんだよ?
……私の手が動けば、すぐに殺してあげるのにね
冗談だよ!
そんなにお腹を食べないで?
私でも死んじゃうかも!
「……もう能愛は頼れない……。アイツに頼めば何をされるか分からない……!!違う手を考えなければ……美香を治すにはどうすれば……」
能愛を頼ればいいんじゃない?
また私をいじくり回すんだろうけど、でも今だって死んでないじゃん!
それに、こんな可愛らしいものまで植え付けてくれて!
あぁ……全て返してあげたいなぁ……
あんなに可愛い子のお腹を、こいつで食い破ってやりたい……
お前もそう思うよね?
うん!
やっぱり!
「……ご主人様、1人だけ、治せるかもしれない方がいます……」
「あぁ!分かってるとも!でも……っ!!でも、そいつに渡せば、美香の体が……!管理局に渡ってしまうんだぞ!?それじゃあ意味が無いじゃないか……!!」
治るんだ。
こんな状態から。
ふーん。
kと望ちゃんは嫌がってるみたいだけどさ、
私を管理局に渡せば、美桜が管理局に怯えることも無くなるし、理子ちゃんを捨てるようなクズも捌けるし、
一石二鳥じゃない?
治らなくてもいいから、それでいいんじゃないかな。
もう。
あとさ、
前が見えないなぁって思ってたけどさ、これ、眼球が無いんだよね?
だって、目隠しだったら外してくれるもんね?
それに、
喋れないなぁと思ってたけどさ、これ、喉がちぎれてるんだよね?
だって、うっすら感じるもん。体との接続がどんどん曖昧になっていってるって。
お前が食べるせいで、私はどんどん衰弱してるよ?
私の代わりに、生きてみる?
……そう?
じゃあ、あげよっか?
この体
…………………………
………………………………
アハハハハハハ!!
暴れないでよ!
冗談だよ!
お前みたいなやつに美桜と会わせるわけにはいかないからね!
美桜に手を出したら、いよいよ殺しちゃうかも!
アハハハハハハ!!
「……ではどうなさいますか……?お姉様はこのままだと……!きっと……っ!」
「あぁ……分かっている。管理局に渡すか、能愛に渡すか。その二択しかないことはな。これはどちらを選んでも後悔するだろう……ただ、他人が選べるものじゃない。私たちが選ぶべきではない。」
「では、どうすれば……?」
「……美香の妹を呼ぶ」
「っ!?それはっ……!?…………承知……致しました……」
は?
おい
ふざけるな
何言ってんの?
それはおかしいでしょ
美桜の頭を治すために、私はこうなったんだよ?
それなのに美桜をまた酷い目に遭わすの?
ふざけるなよ
おい
待て
やめろ
グニャ
「スゥ……スゥ……スゥ……」
「……美香、私にとっては君は娘みたいなものなんだ。だから、君が最優先なんだ。恨みたければ、私を恨め。美桜……君の妹に、君の判断を仰ぐ」
やめて
やめてよ
なんでなの……
なんでこうなるの……
美桜……
ごめんね……
お姉ちゃんまたしくじっちゃった……
「スゥ……スゥ……スゥ……」
トントン
「……う…………?……きゃああああああ!!!」
「落ち着いて聞いてくれ!!……私は美香、君のお姉さんの協力者のようなものだ」
「お、お姉ちゃん!?協力者って、どういうことですか!?」
「すまない……そのような話も、今は時間が惜しいんだ。……私の後ろを見てくれ……」
「後ろ?…………ヒッ!!お、お姉ちゃん……なの?や、やだ、な、なんでこんなことに……お、お姉ちゃん!ねぇ!!お姉ちゃん!!」
美桜、ごめんね。
お姉ちゃん、何も話せないの。
だから、話して安心させてあげることもできないの。
ごめんね。
「美桜、君には今から残酷な2択を選ばせることになる。どちらを選んでも、美香も私も君を責めたりしない。……美香を治せる方法は、2つある。1つは美香をこのような状態にしたやつを頼ること。もう1つは管理局にいる序列二位『聖女』を頼ること。ただ、『聖女』は管理局の深奥にいると言われている。攻め込むことは不可能だ。だから、正面から美香を捧げるしかない。1つ目も2つ目も治る保証は無い……でも、この2つしかないんだ。……どちらを選ぶ……?」
「な、何言ってるんですか!?どうして……どうして!!どうしてお姉ちゃんはそんな2つしかないんですか!?お姉ちゃんは……お姉ちゃんは……優しくて、頼りになって、いつも私を守ってくれる……そんなお姉ちゃんが!なんでこんな目にあってて、そんな方法でしか治せないんですか!?」
「美香は……!君を救うために……!あ、いや!」
「私を……救うため……?お姉ちゃん……お姉ちゃん……!私!!……いや……その二択なら、どちらの方がお姉ちゃんが治る可能性が高いんですか?」
「……管理局に渡した場合に治されない可能性も考えると……美香をここまで痛めつけたやつに渡す方が……マシだ……」
「……なら、そちらにお姉ちゃんを連れていってください……!私も行きます!!お姉ちゃんを治してくれないなら……っ!力づくでも治させます!!」
美桜っ!
ありがとう……っ!
嬉しい……っ!
嬉しい……っ!けど
お姉ちゃんは反対だよ
能愛はまともじゃない
お姉ちゃんがいつか絶対、殺してあげるから、
美桜は戦わなくていいんだよ?
美桜にも見せてあげるよ。
能愛の体を、私の体にいるこの化け物が食い散らかすところをさ。
そしたら、美桜も戦うなんて、言わないよね?
あぁそうか、
私が先に壊せばいいんだ。
わかった。
なら、
私が能愛を殺すね




