『刻まれた記録』より「雲の上の記録・景色」
「「理子!ようこそ天国へ!」」
男と女が同時に言う。
それを受けて、理子と呼ばれた少女は、目を瞬かせた。
「ど、どうしたんだい?天国は素晴らしいところだよ?」
「そうよ?ここならなんでも好きなことができる。頑張った理子には、ここに来る権利がある。」
男と女は優しい笑みを浮かべる。
「そう、だよね。そうだよね!理子、幸せになってもいいよね……!?」
「幸せ?」
声がした。それはその場にいた少女と同じ声で……
「どうして私がそんなものを得られると思ってるの?」
「え!?理子……理子は!頑張ってきたもん!理子だって、苦しかったけど、最後までやりきったもん!!」
「最後?何を言ってるの?まだ終わってないのに?」
そんな声がした途端、景色がぐにゃりと歪み始める。
男と女は笑顔を浮かべたまま、消えていく。
辺りは真っ黒。
少女以外の何も見えない。
少女は呟く。
「終わったはず……終わったはず終わったはず!!だって、じゃないと、こんなところ来られないはず……」
「こんなところ?周りみてみなよ。何も無いよ?それが現実でしょ?いい加減現実を見なよ。理子に逃げるな。私として世界を見ろ」
「嫌だ……嫌だ……嫌だ嫌だ!!終わったんだ……全部終わったんだ……そうじゃないと、そうじゃないと……」
「そうじゃないと、どうなるの?」
少女は固まった。
そして、ぽつりと言った。
「まだ、続きがあるってこと……」
少女は急に激しく頭を搔く。
ガシガシガシガシ
その音は次第に
ビチャビチャビチャビチャ
水音に変わっていく。
少女は急にその動作を止める。
そして、呟く。
「……そうだ。今死ねば。今死ねば終わるんだ。ここでなら……!誰にも見られない場所ならっ……!邪魔されないっ!」
少女は震える喉を無理やり動かし、自分を鼓舞する。
そして、震える手を自分の首に押し付け
「……死にたくないっ!!」
……そう言いながら、自分の首を絞め始めた。
「あがっ!!あっ!!ぐっ!!!あ、あ、あ……」
少女の顔が赤くなって、そして、動かなくなる。
少女は死んだ。
死んだ少女から、涙がこぼれる。
そして、横に倒れる。
世界がぐにゃりと歪んだ。
そして、暗かった世界は光を放ち始め……
「「理子!ようこそ天国へ!」」
男と女が同時に言った。
それを見て、少女は……
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
絶叫した。
ここまでがカクヨムにすでに投稿していた分になります。ここからは同時に投稿していきます。作者は大陸版という仕組みが嫌いなので、同時連載です。ご安心ください。ただ、ここからは少しお時間頂きます。ご了承ください




