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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第2話 「衝撃」

翌日の昼、私の姿は美桜の中学校にあった。

 美桜の忘れ物を渡しに行っただけだった。

 しかし、その日美桜のクラスに休みが出たとかで給食のあまりが出るからと、給食をいただけることになったので、美桜の班に混ぜてもらい、給食をいただく。


 美桜の普段の学校での態度を知るいいチャンスかと思った。幸い美桜の班は給食当番ではないらしいので、同じ半のふたりに聞いてみよう。

 美桜の班の人たちと机を繋げて、席に座る。

 改めて対面すると、中学生とはこんなに小さいものだっただろうか。

 大学生ともなると、体自体が大きいものや、自分を大きく見せようとするものがザラにいる。

 それを考えると中学生というのは……


「可愛いねぇ……」

 ついしみじみと呟いてしまう。

 すると、その時見ていた女子生徒の顔が赤くなる。

「……お姉ちゃんなにしてるんですか?」

 美桜の顔が険しい。

「い、いや、そんなつもりじゃなかったんだけど……ははは……」

「お姉さ〜ん、うちの彼女口説くのやめて貰えますぅ〜?」

 私の方をニヤニヤ見ながらそう話しかけてきたのは、茶髪ツインテの一際背が低い女の子だった。

「か、彼女なんかじゃないわ!誤解を招くようなこと言わないでちょうだい!」

 黒髪ロングな背が高くて顔が赤い少女が慌てて否定する。

「微笑ましいねぇ……」

「お姉ちゃんはさっきからなんなんですか……?」

「2人のお名前教えてよ?」

 私は2人に聞いてみる。

 「理子は理子っていいま〜す!お姉さんが狙ってる女の子は凪ちゃんで〜す。」

「凪です。……変な紹介の仕方はやめてちょうだい。話しづらいじゃない。」

「ふーん。で、残りの君はなんて言うお名前なの?」

 私含めて4人班なのに、2人しか自己紹介していなことを指摘してみる。

「どうして今更お姉ちゃんに自己紹介しなきゃいけないんですか?分かるでしょう?美桜です。」

 美桜はどうでも良さそうに自己紹介した。

 美桜は黒いセミロングの髪に、触角と呼ばれている部分で三つ編みにしているのが特徴的だ。

「美桜学校だと結構違うね?」

「そうですか?こんなものだと思いますが。」

「一昨日なんて、一緒にお風呂に入りたい〜とか言ってたじゃん」

「そ、その話はここではしないでください!」

「え?じゃあ3日前に美桜おすすめの[妹ファースト]っていうアニメを深夜の2時まで私の部屋で一緒に見た話とかも?」

「なんで言っちゃうんですか!?」

「そ、それって……!」

 凪ちゃんがなにかに気づいたように目を見開いている。

「ナギナギーそれには触れちゃダメだよ〜?美桜の面白い反応なんて貴重なんだからさ〜」

 理子ちゃんがまたニヤニヤとしながら凪ちゃんを窘め、ちらちらと美桜のことを見ている。

「ちょっと?理子ちゃんまでそんなことを言いますか?」

「そ、そうね。無粋、よね。でもじゃあ私に可愛いって言ったのは、嘘だったのね……!」

 凪ちゃんは何故か急に天を仰いで、天井を見つめ出した。

「ふふふっ!ナギナギまでおかしくなっちゃった!お姉さん才能あるよ〜?魔法少女3人を惑わすなんて、簡単にできることじゃないよ〜」


 ……ん?


  ……魔法少女3人?

 

「魔法少女ってどういうこと?」

 

「え?理子たちが魔法少女だってことだよ〜。理子たち3人とも魅了には耐性を持ってるのにね〜お姉さんの魅力にはメロメロだよ〜」

 理子ちゃんは相変わらずニヤニヤとしながら人を馬鹿にするような話し方をしているが、それよりも気になることがある。

 

「……君たち3人とも魔法少女なの?」

 

「ん?なんで知らないの?家族へは伝える義務があるのに。」

 理子ちゃんは急に貼り付けたような無表情になった。

「まさか美桜が伝えてないの?」

 理子ちゃんはまた無表情なまま、美桜を責めるような口調で喋る。

 美桜を見ると、何かを焦っているような顔で唇を噛みながら、下を向いていた。

「美桜?どういう事なの?美桜は魔法少女だったの?」

 私はピリピリとした空気に押されそうになるが、取り敢えず聞くべきことを聞く。

「……」

 美桜は俯いたまま、何も言わない。

「美桜?」

 美桜は魔法少女だと私に知られると恥ずかしいから、黙っていたのだろうか?そうだとしても美桜の表情には違和感がある。

「美桜が魔法少女でもお姉ちゃんは否定しないよー」

 あえて明るい口調で美桜の方をチラッと見るが、美桜は表情を変えず、俯いたままだった。

「美桜?」

「あのさぁ。」

 声がした方を見ると理子ちゃんが表情を歪ませながら、例えるなら見たくない汚いものを見るような顔で美桜のことを見ていた。

「規約破るとか信じられないんだけど?その責任は誰が取るの?ここに居るみんなだよね?自分の事情に人を巻き込んでる自覚ある?そんなんだからっ!魔法少女の現状は変わんないんだよ!!」

 理子ちゃんの突然の大声に驚いて声すら出ない。

 美桜は俯いたまま泣いてしまっていた。


 理子ちゃんがどうして怒っているのか分からない。

 魔法少女になにか私が知らない事情でもあるのか?


 そんなことを考えていると、美桜が顔を上げると、涙と怒りでぐちゃぐちゃになった顔で理子ちゃんに向かって怒鳴った。

「しょうがないじゃないですか!!こんなこと言えるわけないじゃないですか!!言えば巻き込まれるに決まっています……!私はせめて家族だけは守りたいんです!!そう思うことはおかしいことですか!?」

 それに対して理子ちゃんも立ち上がって怒鳴り返した。

「おかしいかどうかじゃないでしょ!?それが義務だったらするだけ!!自分が破った規則の重さわかってる!?あなたがどう思うかなんて関係ないぐらい大変なことをしたんだよ!?」

 それを聞いた美桜は泣いているのに、また泣きそうに表情を歪め、すぐまた口を開いた、そのとき

「やめなさい2人とも!!……皆見てるわよ」

 凪ちゃんが大きな声を出して2人を止めた。

 凪ちゃんの言う通り、周りを見ると、給食の準備は終わったのか、みんな席に着いていたが、その視線は全てこちらに向けられていた。


 何も知らない先生が教室に帰ってきて、「さ、ご飯を食べよう?」と言って、いただきますをして一斉に給食を食べ始めた。


 給食の時間は私たちの班の雰囲気にのまれてか、クラス内でも誰の喋り声も聞こえなかった。

 私も何を話し、何を聞けばいいのかわからなくて黙って給食を食べた。

 美桜の泣いている表情と、理子ちゃんの無表情、それらを見ていたら、給食を味わうことが出来ず、気がついたら食べ終わっていた。


 一斉にごちそうさまをしたので、私の班も含めてクラスの全員が立ち上がって、後片付けをし始めた。


 私は、机を元の位置に戻してすぐ、美桜に話しかけた。

「美桜、……大丈夫?」

 美桜の表情を伺うと、また泣き出しそうになっていた。

「よく分からないけど、お姉ちゃんは美桜が魔法少女だってことを隠してたこと、怒ったりしてないから」

 背中をさすってあげた。

「……そ、んな……そんなお姉ちゃんだから、知られたくなかったんです……」

 美桜は肩を震わせて泣きながらそう言った。

 私は状況が掴めず、みおの背中をさすることしかできなかった。


 美桜に今日はもう帰ろっか?と聞いてみたが、これ以上規則は破れません。と言われたので、給食も食べ終えたし、私は帰った。


 帰り道で美桜や理子ちゃんの話していたことが頭によぎる。


 規則……魔法少女……3人が魔法少女……家族を巻き込みたくない……


 どれだけ考えても答えが出ない。

 私がまだ知らないことがあるみたいだ。


 魔法少女に関する規則であることは多分間違いなくて、それを破った美桜に対して、理子ちゃんが怒って、その2人の喧嘩を凪ちゃんが止めた……


 そうだ。凪ちゃんだ。彼女なら何か教えてくれるのではないか?

 冷静に判断を下していた彼女なら、答えてくれる気がした。


 私は次凪ちゃんに会った時聞こうと思いながら帰宅した。

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