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魔法少女ごっこをしてるだけなのに、勝手に周りの人が曇っていくのはなぜ?  作者: さたけやま


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第13話 「対抗手段」

kは能愛との戦いはするな。

 そういった。


 だが、kは戦いになることを考えているみたいだ。


 私は望ちゃんが書いてくれた紙を読み返して、そう思う。

 

 戦いになれば勝てない。

 戦いにはなるな。

 序列五位相当は間違いなくある。


 能愛が平和主義者だったり、穏やかな性格だったりするなら、そんなふうに書かないだろう。


 kは望ちゃんに戦わせないと言ったし、私もそれは望まない。

 そして、美桜にも戦わせない。


 美桜にはこんな話になってるなんて秘密だからだ。

 そもそも美桜は私が魔法少女になったことを忘れているしね。

 単純にkのことを説明出来ないのもあるし、美桜の心に負担をかけたくないのもある。


 となると、k自身は戦力として信用出来ないみたいだし……


 最悪は、

 私だけで能愛と戦うことになる。


 言うまでもないが、

 もちろん無理だ。

 だから、私は能愛と戦えるかもしれない人を探していた。


 居るのだ。

 知り合いでは無いが、身近に。


 その実力は第五位を超えているかもしれなくて、


 そして、管理局の味方でも無く、


 なんなら、管理局からは疎まれているらしい人が。


 ツバメは言った。


 その人は、元一位だと。


 ……小百合さん。


 名前は覚えている。

 同じ学年なのも覚えている。


 ただ……


 今日ツバメに改めて聞いてみたら、

 噂があるだけで、学部もわからない。

 目撃したこともない。

 騒ぎになってるのも見たことがない。


 と、それなんで噂になったの?というレベルだった。


 私はツバメから有力な情報を得られると思っていたので、ツバメが何も知らないと気づいて、焦った。焦った私はツバメの長語りを無視して、教室を飛び出す。


 いや、宛もない。

 そして、今日いるのかも知らない。


 でも、美桜のためだ。

 なら頑張れる。


 なら恥をかくことだって、気にしない。


 私は廊下を走りながら、大声を出す。


「小百合さーん!!」

「小百合ーさーん!!」


「君、小百合さん知らない?」

「小百合さんって知ってる?」

「小百合さんどこの学部かわかる?」


 聞き込みも混ぜつつ、計1時間大学の敷地内を探し回ったが、

 誰も知らない、誰も見たことがない、そもそも小百合って誰?


 嘘でしょ?

 小百合さんって元一位で人気があったんじゃないの?

 ツバメの口振りだと、そうっぽいんだけどなぁ……


 ……いや、管理局が何かしているのかな……


 となると、普通の探し方では見つけられないだろうな。


 どうしよう……

 私だって、一般人から少し毛が生えた程度の力しかない。


 うーん……


 あぁ、いや、聞けばいいんだ。


 うちの大学は山に囲まれているので、1歩敷地外に出たら、そこは山だ。


 私は山を出来るだけ、帰り道がわかるだけ、奥まで進む。

 そして、呼んだ。


「k!助けて!」


 来てくれるか?

 来て欲しい。

 今こそ助けが必要なんだ。

 来て!


 お願い!


 私の手は、知らず知らずのうちに胸の前にあった。


「お願い!来て!」


 私がとったポーズは、ちょうど凪ちゃんが言っていた妖精を呼ぶポーズと一緒で……


 私と森は眩しい光に包まれた。


 目が開かない。


 光が収まる。


 目を開ける。


 ……えっ?


「……k、何してるの?」


 kが望ちゃんと一緒に出てきた。

 それ自体は嬉しいんだ。

 でも、


 kがスプーンに乗ったプリンを、望ちゃんに食べさせようとしているところなんて、想像していなかった。


「ふむ……見なかったことにしてくれないか?」

「無理があるよ……」


 kは私のことなど忘れたかのように、「ほら、あーんだ」と言って、結局食べさせた。


「ありがとうございます。美味しいです」


 望ちゃんは口に手を当てて恥ずかしそうに笑う。


 ……私は何も言えない

 なんてタイミングで呼び出したんだろう。

 少し罪悪感がある。


「あぁいや、気にする事はない。それは魔法少女が妖精を呼び出す魔法だろう?それで私を呼び出せるということは、私と君には、契約相手という関係が構築されていると、結果の裏付けが出来た。私はそれを嬉しく思う。」


 よく分からないが、嬉しそうならいいか。


「お姉様、お久しぶりです。お元気でしたか?」

「うん。元気だよ。望ちゃんは?」

「はい。私も、元気です!」


 言葉尻の力強さからもそれを感じる。


「それで、どうして呼び出したんだ?」

 kは直球で聞いてくる。

「能愛への対抗手段が欲しくて、この大学にいるっていう話は聞いていたから、小百合さんを探してたんだ。でも痕跡の一つも見つからない。だから、何か知らないかなと思って。」

「小百合か……」


 kは何か考え込んでいる。


「小百合様……ですか。こちらの大学にいらっしゃると仰ってたのは、魔法少女の方ですか?」


 ……ツバメって魔法少女なのかな。

 知らないや。


「多分違うかな」


 望ちゃんがkを見る。kは少し考えたが、結論が出たようで話し出す。


「恐らく、姫愛縲の仕業だろう。」

「姫愛縲?」

「前に話した通りの人物だが、彼女のしわざなら、痕跡1つすら見つからなくてもおかしくないだろう」


 ……どうしよう。また誰かわからない。


 望ちゃんが私をちらっと見てから話し出す。


「配信の研究員、でいらっしゃる姫愛縲様は、人の認識や気持ちといった、精神的なものを操れますからね」

kは「あぁそうだな」とだけ言った。

 望ちゃんはkに確認するように言った。

 でも、もちろん私に教えるためだろう。


 ほんといい子……


「じゃあ、その姫愛縲って人をどうにかしないといけないの?」

「そうなるな。だが、今はやめておいた方がいい。姫愛縲の推しの魔法少女が配信に最近映ってないとか、そんなことで最近は荒れているのだ。あんなのでも、搦手は厄介だし、直接戦闘も驚異的な強さを誇る。なぜ、あんなのより私は弱いのだろうなぁ……」


 kは本当に不思議そうにそう言った。


 えっと、じゃあ、小百合さんを見つけるには姫愛縲に魔法を解いてもらうしかなくて、でも今の姫愛縲には会うべきじゃない。


 あれ?詰み?


「だが、能愛への対抗手段なら、私に1つ、宛がある。」


 えっ!?

 早く言ってよ!!

 ……ならなんで前教えてくれなかったの?


 いや、分かってる。

 

 ……kは結構ポンコツなんだよなぁ……


「それで?その宛って?」

「ふふふ。少し意外かもしれないぞ?」

 ワクワク。

 ワクワク。

 

「凪という少女を当たれ。」


 えっ?

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