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水晶の間

読んでくださってありがとうございます(*´ω`*)


お久しぶりです。

実は今日で、一話目投稿から一年。

祝一周年ということで今日から、連日投稿やっていきます!!(10話ほど)


よろしくお願いします(^^♪


よろしくお願いします(*´ω`*)

「今日も王城へ行くんだろう?」

「はい」

学園での帰り際殿下に声をかけられた。


「今日は俺ももう帰る。…同じ馬車でいいか?」

「はい?」

「馬車はいつものところに待たせてある。先に行っていてくれ」

「分かりました」


私が頷いたのを見届けると殿下は踵を返し、廊下の先に消えた。


(…驚いた)


殿下は他人と馬車に乗るのは嫌いだろう。ましてや出会ったばかりの人間など論外だろうに。


3年の月日で変わるものも確かにあるだろう。

あるいは私が殿下の信頼を勝ち得ている証なのか…。


殿下の護衛といっても四六時中側にいるわけではない。

授業は同じ物を選択しているため必然的に共にすることになるが、それ以外で言えば同じ学園にいるときでも離れていることは普通にある。


帰りだってそうだ。

王城通いは今日で四日目となるが、共に帰るのは初めて。王城ですれ違ったことさえない。


まあ、あまり人目につかないように通っているのもあるだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お前も魔力を読むことができるのか」

馬車が動いてからずっと窓の外を眺めていた殿下がそう問うてきた。

「そうですね」

「…ガレディアスは使用人さえも屈強な戦士だと言われているが、それは?」

「大方間違いではありませんね。使用人の大半、私もですがガレディアスの血を引いているんです」

「そうなのか」

納得がいったと頷く殿下。その動きに合わせて高い位置で結われた白髪が肩を流れる。


私の髪よりも長いそれは、手入れが大変そうであるのに、絹のような美しさを誇っている。


一人で感心していた私の様子に気づかず、殿下は続けた。


「次の日曜に、茶会があると言っただろう」

この前ジュリア殿下からの伝言を思い出し、頷く。

「その茶会にフィリア、お前も参加しろ」

「護衛として、ですか?」

突然の提案に軽く驚く。

正直言ってお茶会は家族と以外したことがない。


「ああ。そもそもの目的が護衛同士の顔合わせでもあるんだ。今、近くにいる護衛はお前しかいないからな」

「了解です」

「服はお前用の騎士服を設えてある。陛下が屋敷の方に送ると言っていたから、試着してみて不備があったら教えてくれ」

「ありがとうございます」

あくまでも学園内での護衛という立場であったから、驚きだ。


「礼なら陛下と辺境伯に言ってくれ」

そう言った殿下はまた外の方に視線を向けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それでは失礼します」

「また明日。あ、そうだ。フィリアは『水晶の間』には行ったかい?」

本日の陛下との語らい会が終わり、執務室を出ようとしたところ、そう声をかけられた。


「『水晶の間』ですか…いえ、行ったことないですね」

「昔、君はその部屋が好きだったんだよ。今日は使用する予定がないから覗いてもいいよ。場所はこの本城の東、謁見の間のちょうど向かいの部屋だ」

「ありがとうございます」

一礼し部屋を後にする。


(水晶の間、か。記憶にないな)


どうせなら足を運ぼう。

謁見の間近くならここからもそう遠くない。




(ここか?)

荘厳な真っ白の扉は、確かに見覚えのあるような気がした。


「失礼します」

人の気配は感じないが一言断ってから、扉を開く。


「…!」


名の通り壁や床まで水晶で作られたその部屋は、まさに圧巻というべき神秘さと厳かさを感じさせる。

何処から来るともわからない光が、幾重にも反射し折り重なっている様は得も言われぬ美しさ。


幻想的な光景に息を呑み、目を奪われる。


いつまでそうしていただろうか。


新たな人の気配に、私はふと現実に戻る。


「…殿下」

思いも寄らない来訪者だ。

殿下も何故私がここにいるのか不思議に思っているのがありありと分かる。


「陛下にオススメされて、来てみたんです」

「そうなのか。父、陛下もこの間が好きだからな」


そう言って柔らかく殿下が微笑む。


再会してから初めてみた、その表情に胸が暖かくなった。


明かりをつけていないため、仄かに薄暗く水晶の光だけがあたりに満ちている。


(ガレディアスの青みたいだ)


水晶の光で殿下の髪は、いつもと違った色を見せていた。

じーっと見入っていると、殿下から訝しげな視線が向けられる。


「どうした?」

「…いえ、なんでもないです」

そう答えた私に、殿下は不満げそうだ。


確かに、無言で見つめられるのは気分が良いものではないだろう。


「…殿下の髪がここだとガレディアスみたいだなと。陽の下でも綺麗ですが、水晶の間で見ると神秘的ですね」

言ってしまった手前、もうどうすることも出来ないが小っ恥ずかしいような気がする。


殿下は瞠目して、ふいっと視線をそらした。

顔にかかった髪で表情は伺えない。しかし耳が赤くなっているのを見ると照れているようだ。

「…まさかガレディアスじゃ、それが当たり前なのか?」

小さく呟かれた声ではあるが、部屋の作り上よく響く。

「?」

言葉の意味が分からず首を傾げた。


ユウエス‐実際はユースフィリアだがーもストレートな物言いだったことを思い出し、ランヴァルトはそう呟いたのだが、本人はまったく思い至らなかった。

是非、秘話② 守護石の話 を読み返してみてください。

この話の核となる水晶の間。そのちょっとした設定が書かれています(*´ω`*)

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