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消滅の宇宙  作者: 万世 千秋
ルスランとリュドミラ
PR
13/60

主人公一行、国外追放処分を受ける

お越しいただき有難うございます


是非最後までお読みください


ご感想お待ちしております

北へ向かって走り続けるうちに、荒野の様子は目に見えて変わり始めていた。


あからさまに乾燥していた赤茶けた大地は次第に不気味な黒ずみを帯び、肌を撫でる風は刻一刻と冷たさを増していく。見上げれば、星空のはずの空までもが濁った灰色へと澱(よど)んでいた。


やがて、前方の視界を覆い尽くすほどの濃霧が立ちこめているのが見えた。

白というよりは鉛色に近い、重く沈んだ霧だ。

それはまるで、この先へ足を踏み入れる者を拒絶する巨大な壁のように、広大な荒野に鎮座している。


六人がその霧の中へ足を踏み入れた瞬間、周囲の景色は一気に遮断された。

わずか数メートル先を走る仲間の背中ですら、濃密な灰色の向こうでぼんやりと霞んでしまう。周囲の音は遠のき、ただ不気味な風の呻き声だけが、冷たく耳朶(じだ)を撫でていった。


その時だった。


足もとの暗がりに、鈍く光る異物が視界に入った。


――剣だ。


一振りの大剣が、枯れた地表へ深く突き刺さっていた。

しかも、それだけではない。

霧の奥へ視線を巡らせれば、さらにその先にも、折れた刃、赤錆びた身、今にも朽ち果てそうな柄(つか)だけを覗かせた剣が、至る所に無数に突き立っていたのだ。


まるで、かつてここに並んだ無数の兵士たちがそのまま地中へと沈み、手にしていた武器だけを地上に残していったかのように。


ここは、ただの荒野などではない。

遥かな昔、あまりにも多くの命がぶつかり合い、倒れ、死に絶えた場所――かつての戦場跡だったのだ。


濃霧は、その惨劇の記憶を隠すために立ちこめているようにも見えた。

だが、地に深く刺さった剣の群れだけは消えない。

どれほどの年月が流れようと、どれほど多くの旅人が通り過ぎようと、この場所がかつて何であったかを、言葉もなく静かに語り続けていた。


走り続けるにつれ、濃霧は一刻ごとに深さを増していった。同時に、吹きすさぶ風も冷たく勢いを強めていく。


視界を遮る灰色の壁の中、一行はまだ足を止めてはいない。

かろうじて数歩先を走る仲間の輪郭が見えているが、これ以上霧が濃くなれば、お互いの姿すら完全に見失ってしまいそうなほどだった。


――その時。


先頭付近を走っていたネルソンの耳が、微かな風切り音を捉えた。


シュンッ――!


空気を切り裂き、斜め上空から何かが高速で迫ってくる。

ネルソンは即座に視線を跳ね上げると、迷いなく腰の刀に手をかけた。


シャインッ!


一瞬にして鞘から引き抜かれた刃が、灰色の空間で一閃する。


カンッ――!!


甲高い金属音が周囲の霧を切り裂いた。

ネルソンの刀によって撃ち落とされたのは、飛来した一振りの短剣だ。

その音を合図に、全員が弾かれたように足を止め、背中合わせの戦闘態勢へと移行する。


前方の濃霧を見すえ、テンゴが低く重い声で一歩踏み出した。


「――コソコソ隠れてないで、正々堂々出てこい!」


テンゴの威圧的な叫びが荒野に響き渡る。

全員が全方向に警戒の目を光らせる中、足もとの枯れ草をそ反らすように、サササッと素早い気配が周囲を駆け巡った。


そして――濃霧を突き破り、二つの影が頭上から躍り出る!


「とうッ!!!!!!」


「てやッ!!!!!!」


濃霧の奥から頭上を飛び越え、着地した二つの影。

その声に、同行していたルスランがハッと目を見開いた。


「この声は……やはりお前たちか!! 騎士ファルラーフ! そしてラトミール王子!!」


ルスランの叫びに、テンゴたち六人はすかさず武器を構え直し、鋭い戦闘態勢をとる。


「フッ……貴様が我が国を貶めようとする者たちだということは、すべて知っているぞ!」


「悪しき謀反人どもからリュドミラ姫様をお守りすべく、参上仕った!」


「二人合わせて――『リュドミラ姫親衛隊』! 見・参――ッ!!」


ジャキィン、と息の合った音を響かせ、ラトミールとファルラーフは地面に剣を突き立てると、寸分の狂いもなくキリッと決めポーズをとった。


……だが、いかんせん周囲を覆うのは重く沈んだ濃霧である。

テンゴたちから見れば、灰色の壁の向こうで何かが不自然に動いている程度のシルエットしか分からない。


「……なんだ? お前ら、もしかしてポーズでも決めてんのか? 霧が濃すぎて何ひとつ見えねえんだけど」


前方に立つテンゴが、呆れたように目を細めて吐き捨てた。かすかに聞こえた足音や衣擦れの気配から、なんとなく察したらしい。


「お前たちは操られているんだ!! 目を覚ませ!」


ルスランは二人に向け、必死の声を張り上げた。


「僕たちこそが、悪しき手からリュドミラ姫を救い出そうとしているんだ!」


しかし、どれほど真実を訴えかけようと、王子ラトミールと騎士ファルラーフの二人は意に介さない。それどころか、一層強く剣を握り直し、鋭い殺気を放ったままだ。


「フン、嘘を吐くな! リュドミラ姫と婚約し、この国を乗っ取るつもりなのは百も承知だ!」


「そうだ! お前たちは姫様に何をするつもりだったのだ!?」


矢継ぎ早に浴びせられる身に覚えのない言い分に、ルスランの胸の奥でフツフツと怒りが煮えたぎる。彼はぐっと一歩踏み出し、二人の罵声を真っ正面から跳ね返した。


「――それはこっちのセリフだ! お前たちこそ、リュドミラ姫に何をする気なんだ!!」


一行全員の想いを代弁するかのような、ルスランの力強い叫びが濃霧に響き渡る。

何としてもリュドミラ姫を無事に奪還し、大公の立ち会いのもとで改めて堂々と挙式を挙げる――それこそが、ルスランの揺るぎない決意であり誓いなのだ。


ルスランの迫力に一瞬気圧されながらも、二人のうち一人が言い返すように叫んだ。


「我々は……『とある男』から指示を受けたのだ! お前たち悪党に姫様の大切にされている秘宝『ダークマター』を奪い、国を乗っ取る気であると!だから、姫を護れと仰せつかった!」


「とある人物」から吹き込まれたという謎の情報――彼らに虚偽を吹き込み、裏で操っている黒幕の存在が垣間見える。だが、その真相を調べるのは、ひとまずこの勘違いコンビを大人しくさせてからの話になりそうだ。


「ダークマター……だと!? 一体なんだそれは! この僕でさえ、そんな怪しげな代物は見たことも聞いたこともないぞ!」


ルスランは深々と眉をひそめ、あからさまに不快そうな顔をしかめた。


互いに言葉で相手の真意を探り合おうとしているためか、先ほどのように襲いかかってくる飛剣の気配はピタリと止んでいた。

依然として重い濃霧に遮られ、相手の正確な姿や立ち位置までは判別できないが、こちらにとってもこの隙に彼らから少しでも多くの情報を引き出しておく必要がある。


テンゴは不敵に唇の端を上げると、ぐっと一歩踏み出して灰色の壁へ向けて声を張り上げた。


「おい! 俺の名前はテンゴだ! お前たちにひとつ聞きてぇことがある!――姫様はどこだ!? 今、どこにいるんだ!?」


問いかけに応じて、灰色の濃霧のどこかから答えが返ってきた。


「ルスランにテンゴか……。そこにいるのは、まさかお前たち二人だけか!?」


「なんだ、そっちからも我らの姿は見えてねえのかよ!」


呆れたように叫んだのはピローだ。彼は呆れ顔で濃霧の中を一歩踏み出すと、強気に声を張り上げた。


「つべこべ言わねえで、さっさと姫様の元まで案内しやがれ!」


「そ、それは出来ん! ……待て、今喋ったのは誰だ!? 一体そっちには何人いるんだ!?」


不意に増えた声に、濃霧の向こうで二人(ラトミールとファルラーフ)が狼狽する気配が伝わってくる。するとピローは、得意げに胸を張って指を立てた。


「っはっはっは!驚くなよ! こっちは全員で6人だ!」


「――バカお前、言うな」


手の内をあっさり白状したピローに対し、濃霧の奥からネルソンの低く冷ややかなツッコミが飛ぶ。


「む……6人だと!? 思いのほか大所帯だな……! だが、そんな大人数だろうと『あっ』と言う間に全員倒してくれるわ!」


直後、濃霧の奥の空気がズズ……と重く沈み込んだ。

姿は見えないものの、相手が何やら大きな技を放とうと、全身の気を高めている気配が不気味に漂い始める――。


直後、突如として周囲を吹き抜ける風の勢いが激しさを増した。

濃霧の渦の中から巻き起こったものか、あるいは外から吹き込んできた自然現象か――それとも、彼らの放つ気の高まりによるものなのか。


「ルスランよ、退け! 私とて、今まで共に戦い、同じ酒を酌み交わしてきた友をこの場で斬りたくはない! お前だって、私がどんな男か分かっているはずだ! 今まさに、かの乙女(姫様)は悲しみに暮れているのだぞ!」


濃霧の向こうから、騎士ファルラーフが苦汁をなめるような情熱を帯びた声で訴えかけてくる。


「そうだルスラン! お前が仮に、我ら『リュドミラ姫親衛隊』を力づくで倒し、あの『庭園』にたどり着いたとしても……お前には姫様を取り戻すことなどできん! 今の言葉には、姫様を思う強い信念が無いからだ!」


「――なにいっ!? 信念が無いだと!?」


身に覚えのない非難に、ルスランの眉間に深いシワが刻まれる。だが二人は、激昂するルスランを余所に、自分たちの「功績」を熱っぽく語り続けた。


「我ら親衛隊がどれほど苦労して婚礼の場から姫様をお救い出したと思っている! つむじ風のように上空へ舞い上がり、重く沈む心を必死に奮い立たせながら、安全なところへとお運びしたのだ! ここで退いてもらわねば、我らの血の滲むような努力が水の泡になってしまうではないか!」


滔々と語るラトミール王子の言葉に、テンゴたちは思わず顔を見合わせた。


『つむじ風のように上空へ舞い上がる』――第三者の魔法使いが手を貸したのか、あるいは彼ら自身が秘術を身につけたのかは分からない。


だが、二人の大熱弁のおかげで、探していた答えはあっさりと手に入った。

姫様が連れ去られた場所――それは、この先にある『庭園』だ。


「僕にだって……僕にだって、譲れない信念はある!!」


悔しさに声を震わせながら、ルスランは胸を張った。


「さっきだって、ラトミール王子の側近である騎士ゴリスラヴァと戦ってきたんだ! その時だって、自分ひとりで倒せるかどうかなんて分からなかった……! けど、僕の背中を押してくれる仲間たちがいたから、僕は騎士ゴリスラヴァに勝つことができたんだ!」


自分の成長と仲間の存在を証明するように訴えかけるルスラン。だが、濃霧の向こうから返ってきたラトミール王子の反応は、お門違いなものだった。


「む……騎士ゴリスラヴァだと? あいつは一体、どこにいたのだ?」


「それは……自分の趣味(コレクション)を深く楽しまれている場所だった。そこに僕たちが誤って足を踏み入れてしまい……向こうが剣を向けてくる以上、戦うしかなかったんだ!」


「そうか、そうか! ルスランよ、お前は他人の大事な趣味を愚弄する愚か者だったのだな!」


ラトミール王子はあからさまな怒りを露わにして言い放った。


「彼には彼なりの、譲れぬ信念と至高の時間が存在したはずだ! それを何故、踏みにじり邪魔をした!?」


「それは……っ! それは――――っ!」


「そういうところだ、ルスランよ! 姫様をお守りする……そんなものは騎士として当たり前の務めに過ぎん!」


ラトミール王子の声が、一層厳しさを増して濃霧を切り裂く。


「真の騎士には、プライドと自らの信念を貫く誇りを大切にする心が必要不可欠なのだ! 今の言葉を聞く限り、お前にはそれが決定的に欠けている!」


「―――――ッ!?」


図星を突かれたわけでもないのに、堂々とした相手の気迫と言い分に押され、ルスランは二の句が継げなくなった。言い返したい言葉が胸のつかえとなって固まり、唇を噛み締めることしかできない。


――その沈黙を破り、鋭い一言が割って入った。


「――ふざけるな!!」


テンゴが凛とした足取りで一歩前へ出ると、濃霧の向こうへ向けて怒気を含んだ声を叩きつけた。


「ルスランにはな、信念も実力もしっかりあるんだよ! ろくに知りもしねぇお前たちに、ルスランの何が分かるってんだ!?」


不意の怒声に、濃霧の向こうの二人が気圧される気配が漂う。テンゴはルスランの肩をそっと叩き、真っ直ぐな眼差しで敵を見据えた。


「ルスランはな! 自分の意見をハッキリ述べる強さがあって、仲間を全力で護り抜いて戦える奴なんだよ!」


テンゴはフッと鼻で笑うと、蔑むような視線を敵へ向けた。


「それに引き換え、お前たちはなんだ!? どこかの誰かに言葉巧みに誑(たぶら)かされて、助けを求めてもいない姫様の気持ちを無視して強引に連れ去って……それを世間じゃ『身勝手』って言うんだよ!!」

「そこまで言うか、テンゴとやら……! 我ら親衛隊をどれほど侮辱しようと、姫様を傷つけない限りは耐え忍ぼう……だが! 部外者のお前が口を挟んでいい道理などないわ! このよそ者が――ッ!!」


ファルラーフの怒声が濃霧を振動させる。

ゴリスラヴァの名誉まで踏みにじられたと感じたのか、その強烈な殺気と敵意の矛先は、明確にテンゴひとりへと絞り込まれた。今にも濃霧を破って、テンゴ目掛けて突進してきそうな気配だ。


そこへ、拍車をかけるようにラトミール王子が重々しく頷き、堂々と胸を張った。


「そうだ! 私の頼れる側近であるゴリスラヴァは、日々、夜な夜な森の奥深くへと入り込み、血の滲むような鍛錬で汗を流していると聞いている! 男としてのその一途な努力までも打ち砕くなど……まさに言語道断!!」


熱っぽく語るラトミール王子。

……どうやら彼は、自分の側近が夜な夜な森の奥で『どんな趣味』に興じていたのか、その真実を微塵も知らないらしい。


「もはや会話も不要!」


「ああ、説得の余地など皆無だな!」


どこでどのような猛特訓を積んできたのか、二人の声のハモり具合と息の合い方は完璧そのものだった。

思い込みが激しいだけの相手とはいえ、この土壇場で見せる連携の精度は決して軽視できない。テンゴは即座に思考を切り替え、全身の神経を研ぎ澄ませて身構えた。


「命まで取るとは言わん! 戦闘が終わり次第、テンゴとやら、お前たちは国外追放だ! そしてルスラン、お前も追放処分だ!」


「問答無用! 悪しき謀反人どもをここで成敗する! 姫様をお護りするのは、我ら親衛隊の誇りに懸けて他ならん!覚悟は良いか?―――名もなき賊どもめ!!」


二人は同時に息を吸い込むと、濃霧を破る大音量で声を重ね合わせた。


「「それでは参る! リュドミラ姫親衛隊の神髄……しかと見よッ!!」」


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・


・・・・・


・・・


その宣戦布告が、開戦の合図となった。


突如として周囲の風が吹き荒れ始める。だが、その風は立ち込める濃霧を吹き散らすどころか、かえって攪拌するように渦を巻き、視界をいっそう悪化させていく。敵の正確な位置を視認することは不可能だ。


(スタタタタッ……!)


濃霧の向こうから、テンゴたち六人をぐるりと取り囲むように、激しい駆け足の音が響き渡る。

視界を奪ったまま包囲陣形を組もうというのか。相手の意図を完全に推し量ることはできないが、無策で後手に回る気は毛頭なかった。敵が攻勢に出る前に、こちらから防壁を構築する。


テンゴはいつもの手慣れた動作で懐から扇子を取り出すと、一気にそれを開いた。


「『五 音 の (ペンタトニック・)防 星(シールド)』!」


スキル発動と同時に、テンゴたちの周囲に5つの巨大な扇型の盾が出現した。それらは六人を護るように、円を描きながらゆっくりと浮遊し始める。


「いやああああああああああああ!!!!」


濃霧の奥から、誰のものともつかぬ気合の入った絶叫が轟いた。姿は見えないが、一直線にこちらへ突撃してきているらしい。

だが、全方位をカバーするこの盾を展開している以上、突破されない限りは何の問題もない。


(――ドォン!!)


次の瞬間、浮遊する盾の表面から鈍く重い衝撃音が響き渡った。


「っぶへえええええ!!!」


見えない巨大な壁に正面から激突したらしい、実に惨めな悲鳴が上がる。続いて、ズサッと地面を滑って慌てて退避する足音が聞こえてきた。


「な、何だあッ!? この扇の形をした巨大な物は……!?」


激突の衝撃に苛まれたのか、しどろもどろになった声の主は一旦攻撃の手を止めた。敵の態勢が崩れたこの隙を逃す気はない。


「そうはさせねぇ!」


六人の中心に陣取るテンゴが鋭く声を張り上げる。そのまま押し切るべく、浮遊する盾の展開位置を微調整した。


「どうした!? 大丈夫か、騎士ファルラーフ!!」


濃霧のどこかから、焦りを含んだ声が響き渡る。これで先ほど見事な顔面激突を披露してくれたのが、ファルラーフ自身だと明確になった。


「き、巨大な何かが……我の目の前に……ッ!?」


ファルラーフは狼狽しながらも、再び周囲をぐるぐると旋回するように(スタタタッ)と足音を荒立て始めた。何とか巨体の(と思い込んでいる)障害物を回避して、別の角度から死角を突くつもりらしい。


「何だと!? 巨大な何だ、まさか……巨人か!?」


「な、何ッ!? そちらにも巨人が潜んでいるというのか!! ええい、ならば次は我が攻撃を仕掛ける!!」


息巻いて叫んだのはラトミール王子だ。二重三重の勘違いによって勝手にパニックを深めているようだが、こちらに向かってくる気配だけは確かだった。


(だが……王子一人の攻撃なら、先ほどと同様に弾き返せるはずだ)


どんな異能や技を繰り出してくるかは分からないが、この絶対防御を破ることは容易ではない。テンゴは浮遊する盾の向こう側に意識を集中させ、王子の突撃を冷静に迎え撃つ姿勢を整えた。



だが――激戦(?)の最中、テンゴの脳裏にふと疑問が浮かんだ。


(……待てよ。こいつら、言うこと成すこと盛大な勘違いばかりだが……言ってること自体に「嘘」はひとつも無いとすると…どこか違和感を感じるが)


悪意や嘘で固められた言動ではなく、本気でそう信じ込んでいるからこその真剣さ。その違和感を拭いきれないまま、次の襲撃が訪れた。


「はいいいいいッ!!!」


まるでカンフーの演武のような謎の掛け声とともに、濃霧を切り裂いて飛び込んできたのはラトミール王子だ。

直後――期待を裏切らない鈍い衝突音が響き渡る。


(――ガンッ!!)


「ぬぐおおッ!? な、なんだこれは……! 巨大な……巨大な足か!? まさか巨人の盾だというのか!?」


見事に見えない盾へ激突したラトミール王子が、痛みにのた打ち回りながら叫ぶ。

「盾」という部分だけは半分正解だが、当然ながら巨人などどこにもいない。


「どうする、王子!?」


「ええい仕方ない、こうなったら上だ! 頭上から攻め落とせッ!」


本来、連携とは味方の状況を視覚的にも確認しながら行うものだ。だがこの濃霧の中、お互いの姿が完全に見えない以上、二人は声を大にして作戦を共有するしかなかった。

つまり、その作戦はテンゴたち側にも丸聞こえだということである。


「頼んだぞ!」


「頼む!」


二人の威勢の良い掛け合いを聞いた瞬間、テンゴは不敵に身構えた。


「――よし! みんな、そういうことらしい! 上からの敵は任せたぞ!」


テンゴが背後の仲間に短く指示を飛ばす。


テンゴの展開した『五音の(ペンタトニック・)防星(シールド)』は、全周囲を強力に防御できる反面、構造上の弱点として「真上」が完全に無防備になってしまう。

ソロであれパーティーであれ、術者の指示で浮遊する盾のひとつを天頂へと移動させて護る必要があるのだが、それでは周囲の防衛に隙が生まれてしまうのだ。


だが――今のテンゴには、背中を任せられる頼もしい仲間が5人もいる。

天頂からの奇襲のみを仲間に任せることで、テンゴは陣形を崩すことなく、絶対防御の構えを維持したまま敵を迎え撃つことができた。


特にネルソンとチヒロのふたりは、上空からの奇襲を叩き落とすべく、鋭い視線を頭上へと向けて身構えていた。むやみな誤爆やスキルの無駄遣いを避けるため、霧の向こうに『確かな人の姿』を視認するまでは発動を抑える――極めて冷静な判断だ。


(――シュンッ!)


その直後、頭上の濃霧を切り裂いて、一瞬だけ何かが眼前に疾走した。


(――ザクッ!!)


鈍く重い音とともに、テンゴたちのすぐ足元の地面へ何かが深く突き刺さる。


「……剣、か……!?」


そこに深々と刺さっていたのは、一振りの剣だった。


(上から降ってきた……のか? いや、それとも……最初からここにあったのか……?)


この場所が普通の空間ではないということは、足を踏み入れた時から嫌というほど分かっていた。地面に刺さっていた剣の存在を複数認識してはいたが、てっきりただの雰囲気作りの背景(オブジェ)か何かだと思い込んでいたのだ。


(だが……違うのか……!?)


投擲された武器なのか、それともこの場所の仕掛けそのものが牙を剥いてきたのか――思考が一瞬交錯する。


投擲してきたのだとすれば、一体誰だ。ラトミール王子か、それとも騎士ファルラーフなのか。

テンゴの胸中に芽生えた違和感は、時が経つにつれて膨らむ一方だった。そして恐らく、その異質さに気づいているのはテンゴ一人だけではないはずだ。


「みんな、大丈夫か!?」


テンゴが背後へ向けて短く声を張ると、


「うん、大丈夫!」


とチヒロから即座に頼もしい返答が戻ってきた。続いて、


「なんだこれ……上から剣が降ってきたぞ」


と、ピローが足元に刺さった一本の剣を凝視しながら呆れ交じりに言った。


ほんの一瞬の出来事だった。見逃したテンゴとは違い、頭上を警戒していた他の仲間たちには、何が落ちてきたのかははっきりと見えていたはずだ。間違いない、剣だ。空から突如として剣が降り注いできたのだ。


思えば、この場所に踏み入った最初の瞬間もそうだった。いきなり飛来した剣を、ネルソンが瞬時に弾き返した経緯がある。

だとするなら、仕掛けや奇術などではなく――この濃霧のどこかから『誰かが意図的に剣を飛ばしている』と考えた方が、圧倒的に筋が通る。


(いや、待てよ……)


テンゴは冷静に、そして目まぐるしく思考を巡らせた。


自分たちのパーティーは6人。自分たち自身は当然それを把握しているし、先ほどピローがうっかり口を滑らせたせいで敵側にも人数が割れている。


――だが、こちらは敵側の正確な人数を何ひとつ確認できていないのだ。


声を発しているのがあの二人だけだったため、てっきり敵はラトミール王子とファルラーフの二人きりだと思い込んでいた。


(――――本当に、二人だけなのか……!?)


二人だけで周囲の旋回と上空からの投擲を同時にこなしているのか、それとも濃霧の奥深くに『声を出さない第三の存在』が潜んでいるのか。

戦況の裏に潜む不気味な可能性が浮き彫りになり、テンゴの緊張感は一段と跳ね上がった。


となれば、この胸を揺らす違和感の正体を、直接確かめる以外に道はない。

確認する方法は――極めてシンプルだ。


「おい! お前ら、そこにいるのは本当に二人だけなのか!?」


テンゴはストレートに、事実確認の問いを濃霧の中へと投げかけた。


「フン、そのような教導の基本をペラペラ明かすはずなかろう! そっちのバカ(ピロー)と一緒にするな!」


「そうだ! ……それよりお前たちは何者だ!? ルスラン以外、全員が巨人なのか!?」


濃霧の向こうから、二人合わせた挑発と相変わらずのトンチキな勘違いが返ってくる。


(……まあ、素直に吐くわけねえよな)


テンゴは「だろうな」と苦笑しつつ、すぐさま次の手を考案し始めた。――その時である。


(――シュンシュンシュンッ!)


濃霧の天頂を切り裂き、複数の「何か」が高速で飛来する不穏な風切り音が空気を激しく振動させた。

恐らく――いや、これまでのパターンからして、飛んできているのは間違いなく「剣」だ。


「まただ!頭上から来るぞッ!」


テンゴが叫ぶと同時に、チヒロが疾風のように跳躍した。


真上からの奇襲を完璧に迎撃すべく、チヒロは手にしていた美しい杖を下から上へと勢いよく振り上げる!


「『超新星の聖歌(ノヴァ・コラール)』――ッ!!」


スキルの発動とともに、チヒロの背中に一瞬、眩い『光の翼』が大きく羽ばたいた。

実質的にチヒロが装備している武器は重量級のハンマー系なのだが、アバター機能によって見た目を優美な杖へと変化させているに過ぎない。その真価は、見た目を裏切る圧倒的な打撃力だ。


振り上げられた杖の先端から、ハンマーの如き重厚な光を帯びた打撃面が解き放たれ、上空から降り注ぐ「何か」へ正面から激突した。


(――ドカァンッ!!)


眩い光芒とともに激しい爆発が巻き起こり、飛来物は一瞬にして細かな鉄くずへと粉砕されて宙に四散する。

はらはらと落ちる金属片――頭上から落ちてきたのは、やはり無数の剣だった。


「今の眩い光は一体何だ!?」


「ぬうっ……やはり貴様らも奇妙な力を使うか! 『あの男』も怪しげな呪文を使っていたが……何だ、同類か!?」


チヒロの放った光芒に、濃霧の向こうから驚愕と警戒の声が上がる。


(『あの男』……それに『同類』、だと……?)


敵が口にした言葉に、テンゴの思考が激しく回転した。

『あの男』が誰を指しているのか、当然この場の誰にも心当たりはない。だが、続く「同類」という響きを聞いた瞬間、ひとつの明確な可能性が脳裏をよぎった。


――そう、自分たちと同じ『プレイヤー』の存在だ。


この世界で暗躍し、二人に嘘を吹き込んだ黒幕の正体……それは異世界の知識やスキルを持つ「プレイヤー」なのではないか。

膨らむ疑惑を胸に深めるテンゴの横で、ルスランが意を決したように前へ躍り出た。


「お前たちは……僕が直接叩く!」


ルスランは固い決意を込めた眼差しで振り返ると、テンゴへ強く訴えかけた。


「テンゴ! 盾を頭上に開けてくれ!」


文字通り、自ら防壁の外へ飛び出し、直接刃を交えて彼らを大人しくさせようというのだ。その無鉄砲な申し出に、仲間から驚きの声が上がる。


「んむ? ルスランよお主、テンゴのスキル(五音の防星)の仕組みを分かっているんかいや?」


「ああ、さっき見せてもらった。今回の件は、僕が責任を持って彼らを説得する!……もちろん、一度叩きのめして大人しくさせてからだ!」


「無茶だ、ルスラン! 分かっているだろう、さっきから頭上から無数の剣が降ってきているんだぞ。つまりあちら側には、あの二人以外にも『何者か』が潜んでいるということだ。この盾から飛び出せば、3対1……いや、それ以上の数を一度に相手にすることになる!」


「出るというなら、拙者も同行するわいや。ルスランひとりでは流石に無理があろうが、拙者がいれば火力面で十分なサポートができるげって」


飛び出そうとするルスランを制し、すかさずカバーに入ろうで作戦を練る一行。

――だが、その打ち合わせを遮るように、事態は一刻の猶予もなく急変した。


(――シュンシュンシュンッ!)


再び頭上から鋭い風切り音が空気を切り裂く。

そして同時に――


(――ガァン!! ガァン!!)


「っ!?」


テンゴたちの周囲をゆっくりと旋回していた巨大な扇の盾から、激しい金属打擊音が響き渡った。

頭上からの飛来物だけではない。濃霧の向こうから、何者かが浮遊する盾そのものへ向けて直接、苛烈な攻撃を叩き込んできているのだ――!


「どこだ――ッ!?」


衝撃音が響いた方向へ鋭く視線を走らせると同時に、ルスランは一瞬の迷いもなく強靭な脚力で霧の中へと飛び出した。


「拙者が参る! 隙間を開けてくれ、テンゴ!」


ルスランの突撃から一、二秒遅れて、ネルソンが刀の柄に手をかけたまま同方向へ躍り出る。圧倒的な火力を誇るネルソンが後を追うのなら、外の敵の相手は任せても問題ないはずだ。テンゴは即座にそう判断した。


「頼んだぞ、ふたりとも!」


テンゴは掲げ持った扇子を上空へ向け、一気に一振りした。

周囲を旋回させていた五つの扇状の盾のうち、一つだけ天頂へと押し上げる。


天頂を開けたままでは、頭上から降り注ぐ無数の剣を撃ち漏らしてしまう。飛び出した二人が背後を気にせず存分に暴れられるよう、テンゴは頭上へと展開した絶対防御の盾で、降り注ぐ刃の雨を遮りにかかった。


テンゴが盾を天頂へと持ち上げ、防衛陣形を切り替えた直後――。


衝撃音の聞こえた方角へ一気に詰め寄ったルスランは、霧の向こうに捉えた人影へ向けて勢いよく剣を振り下ろした。


(――ゴーッ!!)


空気を鋭く切り裂いた渾身の一撃。だが、手応えは皆無――刃は虚しく空を斬る。


「っ、空振り……!?」


直後、正面の濃霧から、頭上からの降り注ぎとは比にならない密度の『剣の雨』が、目と鼻の先の至近距離から解き放たれた!


さっきまで盾を直接叩いていたファルラーフは、ルスランが踏み込んでくる瞬間に深くしゃがみ込み、自身の頭上を通して後ろからの射線を確保していたのだ。


「――くっ!?」


至近距離からの不意打ちに、ルスランは即座に剣を閃かせて何本かを咄嗟に弾き落としたものの、殺到する刃の波を完全に捌ききることはできず、数本の剣がその身体を捉えて弾き飛ばされた。


「そこまでだ――ッ!!」


そこへ一、二秒遅れて追いついたネルソンが、間一髪のタイミングで刃を解き放つ!


「『響刀(きょうとう)・六連星(ろくれんせい)』――ッ!!』


対複数戦に真価を発揮する範囲撃破スキル。視認を超える速度で繰り出される六連の閃光は、単なる6回の斬撃にとどまらず、空間そのものを切り刻む広範な攻撃判定を網羅する。


(――ガガガガガキィンッ!!)


閃光のような刃の軌跡が、ルスランへと迫る無数の剣をことごとく弾き飛ばし、一瞬にして地上へ叩き落としてみせた。


「フッ……甘いな」


ルスランを窮地から救い出したネルソンの前で、低い姿勢のままだったファルラーフがニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

そしてそのまま地を滑るように後方へと大きく跳躍する。


(――サッ!)


瞬時に距離を取ったその影は、再び重く沈む濃霧の壁の中へと掻き消えていった――。


「っくぅ……ッ、がはぁッ!?」


頭上への防御に気を取られていた隙を突かれ、ルスランは痛烈な悲鳴をあげた。

身体に深々と突き刺さった剣は、数えただけでも実に6本。傷口から赤黒い血が溢れ出し、地面を赤く染めていく。


「一旦下がるぞ、ルスラン!」


後方をカバーしたネルソンが低く短い声をかけた。深追いは危険であり、何より真っ先に傷を癒やす必要があるとの判断だ。


ルスランは激痛に顔を歪め、フラフラと足元を覚束なくさせながらも、なんとかテンゴたちの展開する防壁の中へと逃げ込んだ。そしてテンゴの目の前までたどり着くやいなや、歯を喰いしばって自身の身体に刺さった6本の剣を、一本ずつ強引に引き抜き捨てていく。


(――ジャキッ! ドサッ!)


刃が抜けるたびに苦悶の息を漏らすルスランを見かねて、ネルソンが即座に指示を出した。


「モモ、ヒールを!」


「……うん。――『ヒール』」


モモが静かに呟き、大切そうに抱えていたアザラシクッションを掲げ持った。

すると、アザラシクッションの両目がふっと神秘的なエメラルドグリーンに輝き出す。あたたかな緑色の光芒がルスランの全身を優しく包み込むと、溢れ出ていた血は瞬く間に止まり、痛々しい肉体の傷口が見る見るうちに塞がっていった。


「おおぉっ!? な、なんだこれ……!?」


先ほどまでの激痛が嘘のように消え去り、傷口が跡形もなく塞がっていく感覚に、ルスランは驚愕して目を見開いた。無理もない。モモの放った『ヒール』は回復職(ビショップ)の真骨頂とも言えるメインスキルであり、受けたダメージを一瞬で完全に全回復させるほどの圧倒的な効果を誇るのだ。


「すまぬ、ルスラン。……フォローが遅れた」


後方から寄り添ったネルソンが、刃を納めながら低く申し訳なさそうに呟く。

だがルスランは、まるで何事もなかったかのような軽快な動作で立ち上がると、力強く首を横に振った。


「いや、僕の方が悪かったんだ。しっかり状況を見極めることもできず、何の考えもなしに突っ込んでしまう……これは昔からの僕の悪い癖だ。ネルソン、助けてくれて本当にありがとう」


自らの軽率さを素直に反省し、真っ直ぐに感謝を述べるルスラン。

その様子を、モモは愛用のアザラシクッションを胸元でギュッと大切そうに抱きかかえたまま、心配そうにじっと見つめていた。


「……大丈夫?」


ポツリと落ちてきたモモの小さく優しい問いかけに、ルスランは「ああ!ありがとう!モモ!」と頼もしい笑みを返した。


「さぁて……今回もどうするかね」


独り言のように呟くテンゴの頭上から、またしても(――シュンシュンシュンッ!)と鋭い風切り音とともに無数の剣が降り注ぐ。


「――させるかっ!」


すかさず跳躍したのはチヒロだ。手に持った杖を閃かせ、間髪入れずに二度目のスキルを叩きつける。


「『超新星の聖歌(ノヴァ・コラール)』――ッ!!」


眩い光芒が天頂を切り裂き、飛来した剣群を再び粉々に爆砕した。


だが――このまま防戦一方を繰り返しているだけでは、埒が明かない。敵の位置も、何故剣が降り注いでくるのかというカラクリも解き明かせない以上、撃破など到底不可能だ。


その苛立ちと膠着状態を打ち破るように、ひとりの男が静かに声をかけた。


「――俺が行く」


ピローだ。普段は軽口の多い彼が、真剣な眼差しで濃霧の奥を見つめている。


「俺のスキル『黒音が消えて行く《ダークネス・フェードアウト》』を使って、濃霧の中を隠密索敵してくる。姿も気配も消して周りの状況を見てくれば、敵の正確な位置も……あの降ってくる剣のカラクリも掴めるはずだ」


「ああ、何か手がかりが掴めるかもしれないな」


「頼んだぞ、ピロー!」


仲間たちから送られる期待のこもった声援に、ピローは頭のフードを深く被り直すと、口元にニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「うむ。――『黒音が消えて行く《ダークネス・フェードアウト》』」


静かな呟きとともにスキルを唱えた瞬間、ピローの身体はまるで周囲の濃霧と影に吸い込まれるかのように、一瞬にして視界から掻き消えた。


このスキルは自身に付与するバフスキルの一種である。

一定時間、自らの姿と気配を完全に闇影へと潜ませることで、敵からの攻撃を無効化しつつ、完璧な隠密行動を可能にするのだ。


テンゴの展開する防壁(五音の防星)の外側へ出るのは、実は簡単なことだった。

魔法使い職のプレイヤーだけが習得できる空間転移スキル――『テレポート』が存在するからだ。


そう、姿を消したピローの職種は魔法使い職である。

『ダークネス・フェードアウト』で自らの姿と気配を完全に遮断した上で、この『テレポート』を併用する――そうすることで、彼はテンゴの防壁を一切解除させることなく、瞬時に外の濃霧の中へとおどり出てみせたのだ。


同じく魔法使い職であるモモも、勿論『テレポート』自体は所持している。

しかし、モモにはピローのように「姿を消す」隠密スキルがない。彼女が持つもうひとつの特徴的な能力は「一定時間の飛行スキル」だが、頭上から無数の剣が降り注ぎ、視界も最悪なこの戦況で上空へ飛び上がれば、敵の格好の標的になるだけで危険が跳ね上がってしまう。


状況を総合的に考えても、今回の隠密索敵においてピロー以上に頼りになる存在はいなかった。


(あとは……あいつが何を見て、どんな情報を持ち帰ってくるかを待つだけだ)


テンゴたちは浮遊する盾の陣形をしっかりと維持したまま、濃霧の奥深くへと消えたピローの朗報を、静かに待つことにした。


・・・・・・・・・・・


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  スキル紹介


ビショップ 「テレポート」

一定の MP(マジックポイント)を使用し10mの距離を瞬間的に移動出来る。

10mの間であれば、自身で距離を調整可能

再使用待機時間1秒


ダークメイジ  「テレポート」

一定の MP(マジックポイント)を使用し5mの距離を瞬間的に移動出来る。

5mの間であれば、自身で距離を調整可能

再使用待機時間0,5秒


ダークメイジ 「黒音が消えて行く《ダークネス・フェードアウト》」


一定のMP(マジックポイント)を使用し一定時間姿を闇陰に落とす事で敵から見えずに行動できる。

任意のタイミングで解除が可能。

*クールタイムなし

*攻撃スキルは使用できない。

*敵の攻撃は受ける。



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