表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見えていなかっただけで、そこにあった  作者: ゆら。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

顔も名前も知らないあなたへ


アパートに帰って来た。


女の子も赤ちゃんもお昼寝。


ホッと肩の力が抜ける。


赤ちゃんが生まれてから上の子と行くお出かけが少なくなった。


笑顔を見せてくれるけど、どこか我慢しているような寂しそうな表情がこぼれていた。


今日は上の子の好きなもの一杯見せてあげられた。


……良かった。


少しは気持ちが晴れてくれたかな?


鞄を見る。


水筒やミルク、使用済みのオムツや使ったハンカチなどがはみ出ている。


小さく息を吐く。


……片付けなくっちゃ。

後、夜食の準備も……


息を吐いたこの瞬間だけが私の休憩時間。


出来るだけ静かに、手早く手を動かす。


……ふとさっき出かけた時が思い出される。


差し伸べられた手。


落ち着いた声。


洗い物の手が止まる。


……誰だったのだろう?


顔を見る余裕もなかった。


ちゃんとお礼言ったかしら?


言ったよね?多分。


それすら覚えていない。


ごめんなさいとありがとうは子供が出来てから反射で言えるようになっていた。


でもちゃんと感情を乗せる事が出来てたかな?


不安になる。


バスから早く降りないと他の人に迷惑だと焦っていた。


あの手があったから、スムーズに降りられた。


それだけが、はっきり残っている。


少し気持ちが落ちる。


自分の余裕の無さが悔しい。


もう一回息を吐く。


……子供にこんな顔は見せれない。


顔を上げる。


「ありがとうございました」


小さく、でも心を込めて。


名も顔も知らないあの人に届くように


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ