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奴隷剣闘士からの解放  作者: 午後のミズ
魔法王国 魔法学園編
16/18

第15話 狩り

大変お待たせしてごめんなさい。久しぶりの投稿になります。

「よし、大分採れたな」


 ヒメノから借りた籠いっぱいの薬草が採れた。

 顔を上げると明るかった森は幾分か暗くなっていて肌寒くなってきた。遂々(ついつい)夢中になっていて気づかなかった。まだそんなに時間は経っていないはずだから時間は昼ぐらいだろう。それでもこれだけ暗いということは随分と森の奥に来てしまったようだ。周りを見るとヒメノがいない。

 ヒメノがいない!?

 俺は立ち上がり、辺りを見回す。


「ヒメノーー?」


 呼びかけてみても返る声はない。やばい、迷子になってしまった。初めて来た森だから現在地も分からない。このまま遭難なんてことになってしまうのだろうか。


「ヒメノーーーーーー!」


 大声で呼んでもやはり声は返ってこない。仕方ない、元来た道を戻ろう。と思ったが、どっちを向いても同じような森で元来た道も分からない。

 とにかく勘で歩き始める。どっか道に出るかもしれない。


 ゴーーーーーザワザワザワ


 強い風が吹いて木立や草むらを揺らした。周りに何かいるみたいだ。どこかから見られているような気がする。

 その時、明らかに風が揺らしたのとは違うように近くの草むらがガサガサと動いた。


「おい、ヒメノ? そこにいるんだよな? また俺を脅かそうとしてるんだろう?」


 俺は揺れる草むらに呼びかける。


 ガサガサッ


「なんだ、脅かすなよ。ただのウサギかよ」


 草むらから出てきたのは白いウサギだった。ふう、と俺は胸を撫で下ろす。


「うわーーーーーー!」


「うおーーーーーー!」


 背後から大声がして、背中を思いっきり叩かれて俺は大声を上げた。

 振り返るとヒメノがニヤニヤしながら草むらから出てきた。ヒメノの綺麗な着物は草や土で汚れてしまっている。


「おい、もうマジで脅かすなよ!」


「やーい、ビビッてやんの」


 俺は怒ったが、こいつはいつもの調子で俺をからかいはじめた。


其方(そなた)もまだまだじゃのー」


 すると、またも俺の背後の草むらがガサガサと音を立てた。目の前のヒメノが俺の後ろを指差してすごい驚いた顔をして後ずさりをした。

 おいおい、また俺をからかおうたってそうはいかないぜ。俺はそう思って振り返るとそこには大きな熊が立っていた。


「うおーーーーー!」


 またも俺は大声を出して尻もちをついてしまった。

 熊は大きさ3メートルはあろうかという巨体で頭の所に一本の角まで生えているモンスターだった。

 俺は尻もちをついたまま手と足を使って後ずさりした。足に力が入らなくて立てないのだ。ヒメノはそんな俺を置いて逃げた。

 熊は四つん這いになり、鼻をひくつかせて俺が落とした薬草の入った籠の匂いを嗅いでいる。

 これはチャンスだ! 薬草に気を取られているうちに逃げなければ。

 俺は何とか立ち上ると、熊の方を向いたままゆっくりとヒメノが逃げた先の草むらへと後退した。

 ヒメノが通って草が倒れている方へ進んでヒメノを探す。今ヒメノを呼べば声で草むらのすぐ向こう側にいる熊に気づかれてしまう。進みながらキョロキョロしていると、ヒメノは少し行った大木の陰にしゃがんでいた。


「しっ! わらわと其方(そなた)であのモンスターを倒そうではないか」


 ヒメノはいたずらを考える子供のようにそんなことを言い始めた。


「おいおい、あんなデカい熊に勝てるわけないだろ。俺なんてまだ魔法を使えないし、剣だって昨日、師匠からもらったばっかで振ったこともないんだぞ」


 腰のベルトには俺にはまだ少しだけ大きい剣がぶら下がっている。愛用のナイフは宿屋に置いてきてしまったし、今まで扱ってきた剣の長さもこの剣より短かった。いきなり長く、使い慣れない剣を使ってしまっても大丈夫だろうか。いや、今はやるしかない。戦うしかない。

 俺は腰から剣を引き抜いて、鈍く輝く刀身を見た。そして、ヒメノの方を見て頷く。

 ヒメノも籠を置き、身長と同じぐらいの大きさのワンドを両手で持って、いつでも戦える準備をした。

 初めてヒメノとの共闘だが、ヒメノを信じるしかない。本人も普段から得意げに自分は強いと言っていたのだから大丈夫だろう。


「よし、俺があいつに切り込むから援護してくれ、()が悪くなったら逃げよう」


「言われんでも分かっとるわ。じゃが、逃げることは許さんぞ。ここであれしきの雑魚を倒せなかったら強くなれないままじゃよ」


「わかったよ。じゃあ、頼んだ」


 俺はヒメノの挑発を受け取り、溜息をついた。その通りだ、ここで勝てなきゃ強くはなれないだろう。自分の強さを知るという意味でもこの戦闘は重要だ。

 大木の陰から熊のいる方をそっと覗く。まだ、俺の落とした籠に気を取られている。腰を屈めたまま剣を構え、大きな音を立てないように注意して熊に近づく。

 熊も俺が近づいたことに気づいたようで、籠から俺の方を鋭い眼光で見た。

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