第13話 新しい剣
魔法学院で魔力の測定が終わるとヒメノはすぐに魔法学院を出ていく。俺も遅れないように後を追いかけた。元来た道を戻り途中の廊下でなんとか追いついた。
「ちょっと待てよ」
俺はヒメノの手をとって隣に並んだ。少し大きな声を出したせいか周りの生徒がチラチラと俺たち二人を見ていた。
「そちが遅いだけじゃろ。昼には昨日の酒場でお師匠殿と待ち合わせをしておるからの。急ぐぞい」
また同じ速度で歩いていく。一歩一歩は小さいながら足を進める速さが尋常じゃなく早い。俺も負けじと隣を歩く。おとといと昨日の強行軍で足は筋肉痛で朝から悲鳴を上げているが我慢する。
昨日と同じ酒場に行くと師匠とスピカがいた。スピカは昼から飲んでいるのかテンションが高かった。師匠はテーブルに突っ伏していた。テーブルにはいくつかの肉料理と酒が入ったジョッキが置かれていた。
「あーヒメノー。遅かったじゃない。あっ、キール魔力測定はどうだったの?」
「すまんのー。キールが歩くのが遅くての」
「魔力すげー高かったんだぜ!1000だぜ!1000!」
俺はさっきの興奮を思い出してスピカに結果を言った。
俺とヒメノも空いている席に腰掛ける。
「すごいじゃない。将来はこいつよりすごくなるんじゃないの?まあ、私は4000あるけどね」
スピカは満足気に言ってから突っ伏している師匠の頭を叩いた。ゴフッと呻いただけで何も言わなかった。
そしてなによりも衝撃的だったのがスピカがしれっと言った彼女の魔力量だ。通常の人の5倍以上ある。俺の4倍だ。目の前に座っているお姉さんがとんでもない化け物に見えてきた。
「めっちゃすごいじゃないですか--」
「すごいじゃろー。妾のお師匠殿はこの国最強の魔法使い」
俺の言葉を遮ってまたヒメノが自慢げに言ってきた。
「お前の師匠のスピカさんがすごいことはわかったよ。ところで師匠はどうしたんだ?」
「あーこいつね。二日酔いだってさ。旅に出ている間にずいぶんと焼きが回ったじゃない。あんだけしか飲んでないのに次の日この調子じゃダメね」
今朝もずっと寝ていたのも、今も死にそうなのも二日酔いのせいだったのか。
「あースピカ。剣...」
「わかったわ。剣のことね」
そう言ってからスピカは師匠の横に置いてあった布袋に入った剣を取り出して俺に渡した。
「それは昔あなたの師匠ガレリアが使っていた剣なのよ。こいつには今は聖剣があるからあなたがそれを使いなさい」
剣は茶色の鞘に収まっていた。柄は握りやすいように革が巻かれ、長さは腕を少し広げたぐらいの長さだ。前に使っていた剣は金属も見ただけで粗末なものと分かったが、この剣の刀身は銀色の輝きを静かに湛えた剣だった。所謂普通の剣だ。
丁度剣が壊れていて腰には愛用のナイフだけがぶら下がっている寂しい状況だった。師匠のお古ではあるが悪くはないので自分の腰の剣帯に入れた。しっくりとくる丁度いい重さの剣だ。
「ありがとうございます。使わせてもらいます」
「いいじゃない、なかなか様になっているわ。ねえ?」
スピカは満足そうに笑ってからヒメノにも同意を求めた。
「ヒメノ?」
ヒメノはボーっと俺を見ていたので、どうしたのだろうかと不思議に思い声をかけた。
少し顔が赤い気がする。
「あっ、ううん。いいんじゃないかのー。うむうむ」
となんでもなかったように頷いて見せた。気のせいだったのだろうか。
スピカはあらあら、とニヤニヤしていた。
そして日が暮れるまで俺はスピカから魔法学園のことを聞いた。
俺の魔法属性は黄色だったが、スピカは赤らしい。『爆炎のスピカ』という二つ名の通り火属性の魔法が得意なようだ。ヒメノが得意げに「逆らうと丸焼けじゃよ。ハハハッ」と言っていた。
俺の黄色は光属性で魔を滅する力があるらしい。珍しいようで、スピカが実験させてくれと言ってきたが俺は丁重にお断りした。
他にも青は水属性を得意とする。緑は風属性を得意とする。黒は闇属性を得意とし、黄と同様珍しいそうだ。
俺が明日からどんなことが学べるのか気になったからだ。師匠はずっと突っ伏していたが途中で水と飯を食っていつもの調子に戻っていた。
明日からの学園生活が楽しみだな。
魔法属性のまとめです
赤・・・火を得意とする。火属性
青・・・水を得意とする。水属性
緑・・・風を得意とする。風属性
黄・・・光を得意とする。魔を滅する力がある。珍しい。光属性
黒・・・不明、珍しい。闇属性。




