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奴隷剣闘士からの解放  作者: 午後のミズ
魔法王国 魔法学園編
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第10話 酒場で

 どうやらこの国では俺の出身国のカルディア王国は野蛮な国として見ているようだった。奴隷制という文化は遅れている文化と考えているようだ。

 そんな国で奴隷として生きてきた俺が魔王を倒すことができるのかと疑われたが、師匠は必ず鍛え上げると王様達の前で大見得を切ってしまった。師匠はいつも突然だ。ある日突然現れて、俺を弟子にすると言い、冒険が始まり、お前が魔王を倒せと言われた。魔王の存在は数年前から国が次々と魔物に襲われて世界征服を目標としていることが分かりその名を世界に知らしめた。

 俺はその魔王を倒すことになった。確かに俺は奴隷から解放されて師匠と旅を始めたが、魔王を倒すほどの期待をされても困る。でも、ここは魔法の国だ。これから魔法を覚えることができるそうだ。魔王討伐を断るのも魔法を覚えてからでも遅くはないんじゃないかと思って取り敢えずは黙って師匠の弟子となり魔王討伐にも協力することにした。


 王城から酒場へと向かい酒場でまたスピカと合流をした。スピカの横には不思議な恰好をした見知らぬ少女が座っていた。


「こっち、こっちー。もう、遅かったじゃない先に始めてるわよ」


「すまん、すまん。あっ!お姉さんビールひとつね」


 師匠はさっそく飲む気でいるようだ。


「おい!飲む前にこの国に何しに来たのか詳しく教えてくれよ。魔法を教えてくれるんだろ?スピカが教えてくれるのか?」


「ごめんなさいね、私今は忙しいの。だからこの子を連れてきたのよ。ほら、自己紹介しちゃいなさい」


 そう言ってスピカは隣にいる少女を見た。顔立ちは幼いように見えるが身長は俺よりも高い。

 とんがり帽子をかぶり、俯いて顔はよく見えない。唯一華奢な手や首元からのぞく肌は白く澄んでいる。

 少女はガバッと帽子を脱ぐと、長い黒髪が広がった。整った顔立ちの薄桃色の唇が開く。


「こんにちわ。(わらわ)の名はヒメノと申す。そちらの名はなんと申すのじゃ?」


 見慣れない顔立ちに聞きなれない言葉遣い。異国の人なのだろうか。とりあえず俺たちは名を聞かれたようなので答える。


「俺の名前はキール。こっちは俺の師匠の剣聖 ガレリアだ。あんたは異国出身か?」


「おお、貴殿が剣聖殿であったか!(わらわ)は和の国の出身じゃ。遠い東方の地じゃ。魔法の才覚を見込まれてスピカ殿を師と仰いでおるのじゃ。今回(わらわ)がここにおるのも其方(そち)を学園へと導くためじゃ」


 ヒメノはスピカを一瞥し先を促すような目配らせをした。


「そう、そうなのよ。今回私はキールに魔法を教えてあげられないから、代わりに私の弟子であるヒメノの通う学園へ編入してもらい学びなさい」


 学校へヒメノと通えというわけか。学校へは通ったことはないが学問を学ぶ場所ということは分かる。

 だがしかし、このヒメノという少女は少し苦手だ。物腰は柔らかいような喋り方だがどうも喋り方が独特で同い年ぐらいなのに大人びている。


「魔法が学べるならなんでもいい。わかった。魔法は全然分からないけど大丈夫か?」


「えっ!ガレリアあんた弟子になにも教えてないの?」


 鋭い睨みを師匠に向ける。怖い…。


「えっ、いや、俺は剣術専門だし?剣を持つ前に体の軸をしっかりしないとだったから」


 師匠は言い訳がましいことを言っているが、朝の運動と素振りだけしかできなかった。あれに魔法の勉強まで加わってたら頭がパンクしていただろう。


「もう、仕方ないわね。明日ヒメノに教えてもらいなさい。基本的にはヒメノと一緒に行動して。二人で仲良くしてね」


「もちろんじゃ、よろしくのキールよ」


「あ、ああ。よろしく頼む」


 師匠はなぜかずっと会話に入ってこないと思っていたらずっと飯を食っていた。


 また明日ヒメノと会って魔法学院に行くことになった。スピカ達と喋っていると夜になっていた。

 スピカとヒメノと別れた後、王様が用意してくれた城の客室に泊まれるようだ。

 また城へ戻り、兵士に案内してもらう。昼間は兵士以外にも使用人がたくさんいたがいなくなっていた。


 広めの一室があてがわれた。入ると応接室があって奥の扉にはバスルームへと続く扉と、寝室へと続く扉がある。師匠も俺もソファーにドカッと座り俺は先にシャワーを浴びに行く。

 バスルームもとても豪華なつくりになっていたし、まともにお湯で体を洗ったのも久しぶりだった。剣闘士時代は市民用の大浴場があって月に1度ぐらいしか入れなかった。あとはほとんど川だった。

 この部屋に入った時も豪華なつくりに気持ちが高ぶったがそんなことではしゃぐのも子供っぽいし、師匠に笑われそうだったからやめた。


 蛇口を回すだけでお湯が出るということに久しぶりの感動を覚えつつシャワーを浴び用意されていた軽い服に着替え応接室に戻ると師匠は寝ていた。起こすのもめんどくさいのでスルーして寝室へ向かい二つ並んでいるベッドの一つへと飛び込んだ。ふかふかで柔らかさにまた感動する。

 ランプの灯を消して明日の魔法学園を楽しみに魔法のことを考えながら眠りについた。

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