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奴隷剣闘士からの解放  作者: 午後のミズ
魔法王国 魔法学園編
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第9話 国王への謁見

 馬車に乗るとすぐにスピカは話しだした。


「こんにちは、私の名前はスピカ。この国の魔女の1人よ。気軽にスピカでいいわ。あっ、ちなみに剣聖くんにも魔法を教えたのよ。で、坊やの名前は何?」


「よろしく、俺の名前はキール。あと坊やじゃない」


「おい、おい、気をつけろよ。こいつ今は優しそうに見えるけど怒ると怖いからな」


 師匠が横から言った。


「ちょっと、失礼ね!あんたにだけよ。よろしくね。キール」


 スピカは師匠の言葉に怒っているが、この二人はいつもこの調子なのだろうか。


「ちぇっ、今に見てろよ。こいつの魔法訓練は地獄だぜ」


 師匠はスピカから魔法の訓練を受けたことがあるらしい。その時の訓練が余程大変だったようだ。どうしてそのような経緯になったのか気になったが、すぐに王の住む国の中心地でもある城に着いてしまった。


 大きな白い城の前の門で馬車は止まった。

 門の前の兵士が馬車の扉を開けてここからは歩くようにと言った。


「じゃあ、また後で会いましょう。いつものとこね」


 馬車から降りたスピカはそう言うと空へふわりと舞い上がった。


「へいへい、スピカさんの奢りって事で行きますね」


 師匠は大声で返すとスピカはなにやら喚いている様子だが声は聞こえない程遠ざかっていった。

 俺達も歩き始める。門の前の兵士が先導して城への扉まで歩いていく。


「王様にあって飯に行きますか」


 言い方から察するに王様への謁見はどうでもよく飯が早く食いたいだけだということが分かる。しっかりしてほしい。こんなに軽い感じの師匠が王様に謁見してなにか気に障られることを言ってしまわないか心配だ。


「俺は緊張してるんだけどそんな軽い感じでいいのか、なにか礼儀的な作法とかは必要じゃないのか?」


「ん?なんだキールは緊張してるのか。大丈夫だよ。前に会った時も気の合うおっさんみたいなものだったから」


 おっさんって。王様をおっさん呼ばわりしちゃったよ。もう俺はどうなっても知らない。

 話しているうちに城の扉へ着いた。


 扉にも兵士が二人立っていて俺たちが着いたのを見ると扉を開けた。先導してくれた兵士が師匠に「一階の大広間にて国王様がお待ちです」とだけ告げた。

 中に入ると赤い絨毯が一直線に敷かれその上を歩いていく。今度は先導はないが師匠が勝手知ったる様子で歩いて行く。


 大きめの扉の前に着いた。また二人の兵士が立っていた。師匠は少し手前で止まった。


「我が名は剣聖ガレリア。国王様の命により参上した」


 すると二人の兵士は無言で両開きの木製の扉を開けた。

 中は大きな広間になっていて玉座が置かれているのみだ。玉座には国王様らしきおじさんがいかにも威厳がありそうな王様らしい格好で座っていた。左右には数人の兵士が並び、2、3人の女性も控えていた。

 広間は廊下と同じく赤い絨毯が玉座へと続く一本の道となり、天井からは豪奢なガラスのシャンデリアが吊り下がっている。壁は白く金の細工が施されている。

 王様が俺たちを見るなり声を上げた。


「おお、久しいなガレリアよ。此度の旅はどうだった?その連れている少年は誰じゃ?」


 王様は久しぶりに会う師匠に会って聞きたいことが多いのか矢継ぎ早に質問をした。やはり俺についても聞かれた。怖い見た目だったが口調は軽やかで話やすそうな印象を受けた。


「お久しぶりです国王様。今回私は王様の命でもあった魔王討伐の件で朗報を持ってまいりました」


 師匠は普段の乱雑な口調を全く感じさせない丁寧な口調で話し始めた。師匠が魔王と言った瞬間に広間がざわついた。しかし師匠は構わず続ける。


「こちらの少年、名はキールと申します。この少年は魔王に打ち勝つ素質があると私は見定め弟子にすることに決めました。こちらの国に帰ってきたのも修行の為でございます」


 突然俺の紹介がされて魔王討伐を俺がすると言われた。俺は驚きに大声を上げそうになったが我慢した。どういうことなんだ、全くそんな話は聞いていない。

 周りもまたざわついた。王様は、おお!と言って喜んでいるようだが広間にいる多くは喜んではいないようだ。小汚い少年が、どこから連れてきたのかも分からない者に魔王を討伐できるのかと懐疑的な雰囲気であった。

 師匠はそれに気づいてか続ける。


「こちらの少年は隣国のカルディア王国から奴隷剣闘士として闘っているところを発見して連れて参りました」


 周りも驚きの声を上げ、王様も驚いた様子だ。奴隷剣闘士という出自に驚いたのだろう。


「その少年は奴隷だったというのか。カルディア王国は奴隷という邪悪な行いをしている国ではないか。奴隷少年に魔王を討伐することが可能なのか?」


 当然の疑問だ。俺だって倒したい気持ちはあるが、倒せる気はしない。


「はい、私が師匠となり鍛え上げます。必ず強くしてみせましょう」



 師匠はそう言い切った。


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