第9話 オリエンルという国
東京都心のように高層ビルが立ち並んでいるわけでも、近未来的なデザインの建物があるわけでもない。
だがそこは発展している。
言ってしまえば人の流れが盛んなのだ。
大規模な祭りでもやっているのだろうか。
ブラット家城前通りは屋台が数多く立ち並んでいる。
するとルナが声を上げる。
「あっ!ホニョフラッペが売ってる!」
なに?ホニョフラッペって。
フラッペはわかるけどホニョってなんだ。
ハムが好きな顔のついた魚か?
「お、嬢ちゃん目の付け所がいいね」
屋台の店主であろうおっちゃんが話しかけてくる。
「でも、ホニョって乱獲で絶滅したはずですよね」
「そうなんだよ、でもな最近のホニョの再生に成功したんだよ」
ホニョってなんだ?
「ははっ。まあ絶滅したのもだいぶ前の話だからな、知らない奴がいてもしょうがないな」
気になりすぎて、声に出てたらしい。
「ホニョってのはな甘味料の一種なんだ。昔は森を歩いていたら、何匹もホニョを見たもんさ。駄菓子屋がホニョを一匹10ZRで買ってくれたからなあ。友達と一緒に森に行って来ずかい稼ぎをしたなあ……」
おっちゃんは懐かしむようにそう言う。
ZRってなんだ?金の単位か?
「ということで嬢ちゃん。買っていかないかい?」
「買います」
ルナは即答してた。
お前金ないんじゃなかったのかよ。
「はい400ZRね」
ルナはポケットから鈍く光る銅貨を取り出す。
銅貨を四枚おっちゃんに手渡す。
「はい。まいどあり~」
おっちゃんがそう言い、ホニョフラッペの入ったコップをルナに手渡す。
おっちゃんの屋台から少し離れたベンチでルナはホニョフラッペを飲んでいる。
「美味しい~」
ルナはそう笑顔で言う。
「王子ィィィィィ!!!!!!!!!!!!」
すると、そんな和やかな雰囲気をぶち壊す、緊迫した大声が響き渡る。
何かあったのかな?と思っていると……。
「おい」
と、後ろから声を掛けられる。
「!!。うわっ。びっくりしたぁ……」
そこには、深縹色の目に、銀色の髪。そして、やたらと高そうな服を偉い王子が着るような、宝石でもついてんじゃねえか、と思うくらい煌びやかな服を纏った少年がいる。
「おい。愚民」
お?なんだこの野郎。やんのか?あ?
俺も流石に少年相手にそんなムキにはならない。
……いや、なっていたかもしれない。
「すみません」
少年のあまりにも大きいインパクトのせいで気付かなかったが、もう一人いる。
深緑の髪が背中まで届く長いポニーテールが揺れ、森林を彷彿とさせる若竹色の目、そして如何にもな丈の長い、メイド服に身を包んでいる。
…………あと、胸が大きい。
そのメイドらしき人が口を開く。
「あなた方はここの国の人ではないですよね」
なんだその質問。
「え?はい」
「本当に勝手なお願いで申し訳ないのですが……」
何だか歯切れが悪い。
「私たちを匿っては頂けませんか?」
それは本当に勝手なお願いだった。
✕ ✕ ✕ ✕
「申し遅れました。私は「メイ=サーバント」言います。そして、彼が「クレイト=ブラット」ブラット家の次男です」
ブラット家って王家じゃなかった?
この子、王家の次男なの?
王家って、もっと民に目線を合わせて話すんじゃないの?
口悪っ!!
「匿ってほしいという話なんですが……」
メイさんは歯切れが悪そうに言う。
なにか言いにくいことでもあるのだろうか。
「俺はこの国を出ていく」
……それ、王子が言っていい言葉なのか?
それだったら、歯切れ悪くてしょうがないね。
王子が国を出ていくとかあっていい話なのかってところではあるが。
「すみません。お名前お伺いしても?」
「私はルナ=シャーロット。で、こっちがクロス=シャーロット」
ルナが完結にそう説明する。
でも、あれやりたかったなぁ……「こっちが……。」「クロス=シャーロットです。」って最後自分で自己紹介するやつ。
「あの……。お二人は夫婦なんですか?もしくは兄妹とか」
「「えっ……」」
俺とルナの言葉が重なる。
ハモるというやつだ。
「違いますよお!別に苗字が同じなだけで……養子がいちばん近いと思います」
「あ、そうですか。すみません気になったもので」
「あ、いいんですよ別に」
……なんだかやり取りがたどたどしい。
まあ、初対面の人と何喋ったらいいかわかんないもんね。
しょうがないね。
✕ ✕ ✕ ✕
「申し遅れました。私は「メイ=サーバント」言います。そして、彼が「クレイト=ブラット」ブラット家の次男です」
ブラット家って王家じゃなかった?
この子、王家の次男なの?
王家って、もっと民に目線を合わせて話すんじゃないの?
口悪っ!!
「匿ってほしいという話なんですが……」
メイさんは歯切れが悪そうに言う。
なにか言いにくいことでもあるのだろうか。
「俺はこの国を出ていく」
……それ、王子が言っていい言葉なのか?
それだったら、歯切れ悪くてしょうがないね。
王子が国を出ていくとかあっていい話なのかってところではあるが。
「すみません。お名前お伺いしても?」
「私はルナ=シャーロット。で、こっちがクロス=シャーロット」
ルナが完結にそう説明する。
でも、あれやりたかったなぁ……「こっちが……。」「クロス=シャーロットです。」って最後自分で自己紹介するやつ。
「あの……。お二人は夫婦なんですか?もしくは兄妹とか」
「「えっ……」」
俺とルナの言葉が重なる。
ハモるというやつだ。
「違いますよお!別に苗字が同じなだけで……養子がいちばん近いと思います」
「あ、そうですか。すみません気になったもので」
「あ、いいんですよ別に」
……なんだかやり取りがたどたどしい。
まあ、初対面の人と何喋ったらいいかわかんないもんね。
しょうがないね。
✕ ✕ ✕ ✕
「私の血能である、見抜でルナ様。貴方が転移を使えることを知り、声をかけさせていただきました。もちろん貴方がサルジニルグの人であることも承知の上で」
カタカナがいっぱい。
何言ってるかわかんなくなってくるぞぉ。
「私たちを貴方の国に匿ってくれませんか?」
メイさんは「危険も承知の上で」と付け加えた。
というか、匿う?
保護するじゃなくて?
匿うって隠す的な意味合いも含まれているはずだけど……。
誰かから追われてたりするのか?
「うん。わかりました。いいですよ」
ルナはわりと、あっさりとその願いを承諾する。
少々あっさり過ぎませんかねぇ……。
もう少し考えた方がいいと思う。
「本当ですか!」
メイさんは嬉しそうに言う。
ええのう。メイド服はええのう。
と、俺がほっこりしていると……。
「但し、サルジニルグの復興を手伝うことが条件だけどそれでもいい?」
条件付きだった。
……悪かったなルナ。
何も考えずに適当に了承したのかと思ったぜ。
「もちろんです!」
「じゃあ交渉成立だね!『転移』―――!!」
ルナがそう唱えると、足元に薄い紫色の魔法陣が浮かび上がり、目の前の景色が変わる。
あれ?
ここ、オリエンルには旅行しに来たはずだよな。
なんで、元居た場所に帰ろうとしてるんだ?
旅行は!どうなったんだよ!
俺の抵抗虚しく
いや、抵抗してないか。
急に視界が開ける。
帰ってきちゃいましたか……。
なんて考えていると、視界の違和感に気付く。
そこは見慣れたサルジニルグの荒廃した景色ではなく、緑豊かな自然、時折聞こえる鳥の鳴き声。
そう、そこは見るからに山だった。




