第8話 当選と言語の壁
エネミルとの戦闘の後、またいつも通りの日常へがやってくる。
横を見ると、彼の墓は今も健在だ。
いや、建在という表現は正しくないな。
「クロス!クロス!クロス!」
ルナが叫びながら駆けてくる。
うるせえ……。
「当選したよ!」
「何がだよ」
「旅行券!」
「は?」
「今日、転移でパミーフクスにいって、3000ZR買い物したら、ガラガラできるみたいなのがやってて、それでガラガラ回したら「オリエンル、ペア旅行券」当たった」
どんだけ早口なんだよお前。小学生か!お前は……。
っていうか、あれって当たり入ってるもんなんだな。
ディスニーランドのペア入場チケットみたいに当たりは入ってないのかと思った (俺調べ)。
「当たったからにはさ、明日に行こうよ」
まじか。
というか「当たったから」と「明日行こ」は言葉としておかしいからね……。
全然つながらないからね……。
「それに息抜きも兼ねてさ」
いや、俺ここ来てからやった事って、敵との戦闘ぐらいなんだけど……。
息抜きもクソもないと思うのだが。
それ以前にオリエンルって外国だろ。
「俺ってそのオリエンルの言語話せるのか?」
「話せるよ。全世界で使う言葉は一緒だから」
「え?日本語が?」
「違うよ。ここ君たちでいう、異世界だよ?日本語なんて使ってるわけないじゃん」
「じゃあなんで俺が話せるんだよ」
「あれ?言ってなかったっけ」
言ってないな。
「異世界に来るとき、目の前が白くなったでしょ」
「あ~なったなった」
「あの時に、この世界の言語をを無理やり脳に入れたから、脳に負荷がかかって、少しでも、かかる負荷を少なくするために視界をシャットアウトしたんだよ」
へー。
「あれ?でも、バルメントから逃がされる時も白くなったけど……」
「あれは、光りに「包まれる」でしょ「視界が白くなる」とは全くの別物だよ?」
恥ずかしい質問をしてしまった……。
つらい。
こう、自分が間違えると死にたくなってくるよな。
本気で死のうとは思わないが。
ちなみに俺たちは、ルナが大災害後も使い続けている「魔王城(命名俺)」というところで、睡眠を摂っている。
ちなみに外観は「城」言っているもののただの一軒家だ。
大災害からたまたま助かった家を使ってるだけだからな。
翌日。
俺たちはサルジニルグを出て、旅行券に書かれている「パミーフクス都心。馬車乗合所」というところへ向かっていた。
いや、別に旅行に行くのはいいんだが……。
国の復興はどうした?
そう思わずいられない俺だった。
✕ ✕ ✕ ✕
パミーフクス都心、馬車乗合所に到着する。
俺たちは「10:45発オリエンル行き」の馬車に乗る。
そう、俺は馬車に乗るのだ。
馬車って格好いいよな。
馬車の前に乗って、馬をペシペシしたい。
あれ、楽しそうだよな。
この世界と俺の世界の時間の概念は同じらしい。
俺の世界の人々がこの世界の人々に時間の概念を教えたから、時間は同じらしい。
都合のいい世界でよかった。
これで時間の表現がちがったりしたら、覚えるのが面倒くさすぎて、何もできなかったかもしれない。
いや、やばそうだったら流石に死ぬ気で勉強して覚える。
やばそうだったら。だがな。
ルナが当選した旅行券は宿付きのものらしく、予約がいらない、らしい。
楽だぁ~。
本当にチケットに何かいてるかわかんない。
俺はこの世界の文字が読めない、勉強するしかないそうだ。
ルナ曰く、文字を一瞬で習得させるのは難しいらしいので、ちょこちょこ魔法で習得させていくらしい。
が、魔法のことは何度聞いてもよくわからない。
なんか、体の中にある「魔力」を形にするのが魔法らしい。
それで、魔法には人によって適性があって、親のからの遺伝の影響が大きいらしい。
この世界で大賢者と呼ばれる地位を得るには、基本五属性の上位魔法を使えればよいそうだ。
大賢者って響きいいよなぁ。
呼ばれたいなあ。と思ってルナに相談してみたが、俺には魔法が使えないので無理。だそうだ。
つらい。
基本五属性は「火」「水」「雷」「風」「地」のことらしい。
ルナは大賢者らしい。
いいなあ。かっこいいな大賢者。
まあ、でも無理らしいのでね。
諦めますよ。
現在時刻は10:50。
予定から5分過ぎて、馬車が到着する。
5分~30分程度なら過ぎることがあるらしい。
だいぶ時間にルーズだな。
日本なら謝罪されることすらあるのに。
乗合馬車に乗り込む。
馬車一台を使うとかは庶民はないらしい。
たくさんの人が馬車に乗り込む。
前には二十数頭の馬が紐で結び付けられている。
馬車もかなり大きい。
まるでバスみたいだ。
こういう馬車のことを「乗合馬車」と呼ぶらしい。
何だか思ってたのと違う。
俺とルナとその他大勢が馬車に乗り込み、馬車は動き出す。
速度は大体小走りより少し速い程度の速さだ。
……遅い。
~四時間後~
途中で緊急事態発生……なんてことはなく。
四時間程度、馬車に揺られ、オリエンルに着く。
馬車から降り立った時、俺はある種の感動に包まれる。
「オリエンル」そこは「発展した国」だった。
ここが俺の求めていた異世界!なーろっぱ!




