第13話 素手で石は叩き割れない
「なあ、粉々にしたらいいんだよな。別の素手で叩き割る必要はないんだよな」
「む。まあそうだが。粉々にすることで、個々の封印の力を弱めれたらそれでいいからな」
「じゃあいい」
俺は右手を石に手をかざすと、
「『万物製造』――――」
そう唱えると石が粉々に砕け散る。
今回は一瞬だったのでそんなに疲れていない。
「む。なんだ?その奇妙な技は。まあ良い。これで長い封印生活からおさらばだ」
「ちなみに長い封印ってどのくらい……」
「ん?気になるのか?まあ、ざっと7000年くらいか」
長っ!いや、いくらなんでも長すぎるだろ……。
「『解除』―――!」
邪神がそう唱えると「ピキ……パキ……。」と何かが割れる音がする。
「ふう……」
そう邪神は息を吐くと、姿を現す。
一言で表すなら、それはすごい美女だった。
黒髪に紺鼠の目。片目は塗れ絹のような黒髪に隠されている。
頭部には巻角のようなものがついており、胸元が広々と開いている藍色の洋服に、紺青の帯、黒のスカート。
それは、誰が見ても「美人」というような姿だった。
というか、この邪神って女性だったんだね。知らなかった。
「貴様。名は何という?」
「俺は、な…クロス=シャーロットだ」
あっぶねぇ中山翔琉って言ってしまうところだった。
「クロスか。我は「ベーゼル」邪神ベーゼルだ」
ベーゼルか。
「もう、ここにも人がいなくなったな。昔は賑わっていたんだがなぁ……」
ベーゼルは物悲しそうにそういった。
「クロス。少し視させてもらっても良いか?」
「見る?まあいいけど」
「視るぞ。『読描』」
ベーゼルがそう唱える。
なんかすごそう(小並感)
「おお、お主ルナと知り合いか。なら話は早い。ルナに伝えて欲しいことが……。いや、我が行く。クロス。方角はどっちだ」
話が進むののが早いなあ。
「北だ」
「そうか」ベーゼルはそう言うと、俺の腹に手を伸ばし……。
「ブオッ」と音と共に、足が浮く感覚がする。
腹のあたりに重力が感じる。
「あれ?浮いてる?」
そう言った瞬間には、高度は十分に上がっており、怖いと感じるほどにはlぷ度は上がっていた。
ちなみに抱えられているだけで、えらく不安定だ。
ジェットコースターよりも全然怖い。
「『速度上昇』――」
ベーゼルがそう唱える。
すると、肌で感じたことのない風を強烈に感じる。
いや、強烈というよりは、痛いかもしれない。
飛行機から顔を出している気分だ。
……出したことないけど。
というか、本当にどうかしてる。痛いぐらいの風ってどんなだよ。
もう少し、速度緩めてくれませんかね……。
俺のそんな思いは届くはずもなく、速度は上がるばかり……。
いや、上がるばかりってなんだよ。
「速度上昇」ってベーゼルが唱えた瞬間から、もう痛いんだよ。
飛ぶにしても、ゆっくり飛んでくれ~!!!!
という俺の悲痛な心の叫びはベーゼルには届かず、速度は上がり続けるのだった。
✕ ✕ ✕ ✕
私が転移した場所から、すぐ近くにざわめくような声がする。
間違いない。盗賊だ。
「『メテオ』――」
私がそう唱えると、大きな火の玉が現れる。
そして、盗賊目掛けて飛んでいく。
「うわっ!なんだ!?」
「敵だ!攻撃しろ!」
盗賊たちは突然の攻撃に慌てふためく。
一応、盗賊の人数確認はしておくか。
まあ、意味なんてほとんどないけどね。
「『隠結界』―――」
人数は……1004人!?。
この人数はおかしい!。盗賊の人数じゃない。
ましてや、こんな大人数の盗賊団、聞いたことがない。
これは間違いなく、裏ギルドが一枚噛んでるとしか思えない規模の人数だ。
世界政府に裏ギルドどれだけ私を殺したいんだ。
まあ、とにかく数を減らすか。
こんなにうじゃうじゃいても、気持ち悪いだけだしな。
「『昏倒魔法』――――」
この程度の魔法で倒れる奴は相手する必要なし。
人数は……56人!
激減したね。
つまりは雑魚の寄せ集めってところかな。
「なんだ!?どうした!?なにがあった!?」
私は慌て叫ぶ男の背後に近づき。
「『気絶』――――」
そう唱えた。
「なんだおま――――ぐあっ!」
気絶の魔法で、残りの盗賊54人を一掃する。
✕ ✕ ✕ ✕
「ありゃりゃ。こりゃまずいね。相手、相当強いらしい。というかバケモンだね」
「まじっすか、まずいっすか。いや、そんなことないと思うっすけどね」
「いやいや、まずいよ。お前何考えてるの。ここまで来てるよ。昏倒魔法」
「いや、俺魔法あんま詳しくないんで、よくわからないんすけど……」
「じゃあ馬鹿なお前でもわかるように説明してやる。この状況はな、覇気だけで1000人気絶させてんのと変わらねえんだよ」
「え。まじすか?バケモンじゃないすか」
「だろ?ていうか、どうやったらこんだけ昏倒魔法、広げれんだよ。意味わかんねえよ……」
「ちょ、ストロンさん。残り俺たちしか残ってないっす」
「え?まじかよ……。いつの間に50人倒したの……」
「てか、こっち来てますよ。そいつ」
「え?……戦闘は免れないかぁ……」
『ザッ』
「そこか!『毒球』―――!」
「え?どこすか?」
✕ ✕ ✕ ✕
毒々しい見た目の液状の球が私に向かって飛んでくる。
バレたかぁ……。
まあ仕方ないよね。相手、相当やり手だし。
う~ん。でも結構高度な隠蔽魔法を使ったんだけどなぁ……。
「てか、君誰?相当なやり手っぽいんだけど……」
互いに同じこと思っていたとは。私は思わず苦笑する。
「私は「ルナ=シャーロット」魔王だよ」
「え?まじすか。魔王すか」
リーゼントが少し戸惑っているようだ。
「君たちは?」
「え?名乗る流れ?じゃあ……。俺は「ストロン」こっちが……」
私がそう聞くと、ストロンが苦い顔をする。
「「ルック」っす」
リーゼントはまた、ちゃらけた様子を取り戻した。
ストロンは、ハゲで屈強でムキムキ。
ルックは茶髪でリーゼント。
「まあいいや、でも俺たちの目的はあんたじゃねえんだ。「クレイト」って知ってるか?俺たちの目的はそいつなんだが―――――」
「『炎』――――」
「うおっ!危ねえ!」
この盗賊団はどうやらバルメントが手向けたものらしい。
つまりはバルメントは裏ギルドと関りがあるということだ。
一国の時期王が、裏ギルドと関係があるってそれは国としてどうなのだろうか。
まあ、そんなことどうでもいい。
所詮は他人事。
クレイトくんとメイちゃんは私が守る!




